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答弁本文情報

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平成十九年四月十七日受領
答弁第一六二号

  内閣衆質一六六第一六二号
  平成十九年四月十七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出若年者の雇用政策と支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出若年者の雇用政策と支援に関する質問に対する答弁書



一の1及び3について

 総務省統計局の労働力調査によると、十五歳から三十四歳までの完全失業者数は、平成十八年平均で約百二十七万人である。また、いわゆるフリーターの数については、同調査(詳細結果)により、十五歳から三十四歳までで、男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者のうち、@雇用者のうち「パート・アルバイト」の者、A完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者、B非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で家事も通学も就業内定もしていない「その他」の者として@からBまでを集計すると、平成十八年平均で約百八十七万人である。いわゆるニートの状態にある無業者(以下「ニート」という。)の数については、同調査により、ニートに近い概念として、若年無業者を十五歳から三十四歳までの者であって非労働力人口のうち家事も通学もしていない「その他」のものと定義して集計すると、平成十八年平均で約六十二万人である。また、お尋ねの「バブル崩壊後のいわゆる就職氷河期に不本意な職業につかざるを得なかったフリーター」の数については把握していないが、同調査(詳細結果)によれば、いわゆる就職氷河期に就職の時期を迎えたと考えられる二十五歳から三十四歳までのフリーターの数は、平成十八年平均で約九十二万人である。
 近年の若者の雇用失業情勢については、新規学卒者の就職状況が改善傾向にあり、フリーターの数は三年連続で減少するなど、改善の動きが加速している。しかしながら、フリーター等にとどまっている若者やニートは依然として多い状況にあり、これらの者の雇用状況の改善は、重要な課題であると認識している。

一の2、5及び6について

 若年失業者、フリーター及びニートの数の増加及び高止まりの要因については、新規学卒者の採用を重視する企業が多く、いわゆる就職氷河期に正社員として就職できなかった者がその後正社員となる機会に恵まれないこと、新規学卒者で就職したとしても比較的早期に離職する者の割合が依然として高い水準にあること、企業の求める人材と若者の能力や希望する仕事の内容との間でミスマッチが存在していること等があると認識している。
 また、近年、経済・産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていると認識しており、政府としては、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにするための必要な改革を進めてきたところである。

一の4について

 政府としては、一の1及び3についてで述べたフリーターの数等を念頭に、「再チャレンジ支援総合プラン」(平成十八年十二月二十五日「多様な機会のある社会」推進会議決定)等における若年者雇用対策について各種の取組を推進しているものである。

二の1から4までについて

 フリーターやニート個人について見ると、正規雇用である場合に比べて、若年期に必要な技能及び知識の蓄積がなされず、その結果、将来の生活が不安定となるおそれがあるとともに、これらの者が増加すると、我が国を支える人材の育成が図られないことによる中長期的な競争力・生産性の低下、所得が低いために結婚や出産をためらうことによる少子化の一層の進行や、それに伴う社会保障の支え手の減少等の深刻な問題を引き起こしかねないものと認識している。

三の1及び2について

 「再チャレンジ支援総合プラン」にもあるとおり、「再チャレンジ」の考え方及びその目指すべき社会の仕組みは、国民一人一人がその能力や持ち味を十分発揮し、努力が報われ、公正であること、多様な機会が与えられ、仮に失敗しても何度でも再チャレンジができ、「勝ち組、負け組」を固定させないこと、また、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化し、人生の各段階で多様な選択肢が用意され、それを自由に選択することができることであると認識している。

三の3及び4について

 「再チャレンジ支援総合プラン」における「再チャレンジ支援策」は、フリーター、ニート、子育て中の女性、障害者、高齢者といった様々な事情・状況にある人々が、就業・起業、学習、居住等に関し、何事かを実現できるようになるための障害を取り除く、又は選択肢を多様化しようとするものであり、ここにおける「再チャレンジ」には、これらの人々の最初のチャレンジや新たなチャレンジも含まれている。

三の5、7及び8について

 フリーターやニートが自立し、また、安定した収入を得られるようにすることは、格差を固定化させない社会を構築していく上で重要な課題であると認識している。このため、厚生労働省では、平成十九年度において、ジョブクラブ方式による集団的な就職支援の実施等により、改善が遅れている二十五歳から三十四歳までのいわゆる年長フリーターの常用雇用化を支援するなど「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」を推進するとともに、ニートをはじめとする若者の働く意欲を高めるための「若者自立塾」の推進や、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談を行い、地域の支援機関のネットワークを活用した自立支援を実施する「地域若者サポートステーション」の拡充に努めること等により、フリーターの常用雇用化やニートの職業的自立を促進することとしている。

三の6について

 若者の正規雇用を促進していくためには、経済界における取組も重要であると認識している。このため、新規学卒者以外にも正社員への応募の機会を付与するなど、若者の応募の機会の拡大について、経済団体へ働きかけてきたところである。
 また、雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)を改正し、若者の能力を正当に評価するための募集方法の改善等を通じた若者の雇用機会の確保等について、事業主に対し努力義務を課すこととしている。

三の9について

 フリーター等の若者に対しては、多種多様な能力開発の場を効果的かつ積極的に整備し、実践的な職業能力を身に付けさせることで、安定した雇用に結び付けることが重要であると認識しており、厚生労働省では、平成十九年度において、「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」により、フリーター等の若者の職業能力の開発のための様々な施策を講ずることとしている。

三の10について

 「再チャレンジ支援総合プラン」に掲げられている正規労働者と非正規労働者の「均衡処遇」の確保については、正規労働者と非正規労働者双方の賃金等の処遇が改善される中で進められることが望ましいと考えている。また、労働条件の引下げが使用者の一存で合理的な理由なく行われることは、判例法理に照らして許されないものと考えている。



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