答弁本文情報
平成十九年十月十六日受領答弁第八〇号
内閣衆質一六八第八〇号
平成十九年十月十六日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員高井美穂君提出預け公金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員高井美穂君提出預け公金に関する質問に対する答弁書
一について
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条に規定する「収納」とは、地方公共団体が歳入を徴収する場合、その長が歳入内容の調査を行うことにより、収入金額を決定し、納入の通知のあった地方公共団体の収入を受け入れる行為をいうものである。
また、同条に違反した場合の罰則は、設けられていない。
公金の保管については、例えば、地方自治法第二百三十五条の四及び地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百六十八条の六は、地方公共団体は、歳計現金を指定金融機関その他の確実な金融機関への預金その他の最も確実かつ有利な方法によって保管しなければならないと規定し、また、地方自治法第二百四十三条は、公金の私人の取扱いを原則禁止し、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合に限り行うことができるものと規定している。
御指摘のように民間業者や料亭などに公金を預けることは、そもそも法律上認められていない。
お尋ねの「預け公金」について、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づき個別に判断すべきものであると考える。
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三十九条第二項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めているので、右の要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解される。
また、お尋ねの、「その職務を行うことにより」については、犯罪事実の発見そのものがその職務内容である必要は必ずしもないが、他方で、例えば、職務を行うに際して職務と関係のない犯罪を偶然発見したような場合はこれに当たらないものと解される。
公金の取扱い及び予算執行等については、これまでも地方自治法のほか関係法令にのっとって適正に行われるよう助言しているところであり、今後とも徹底してまいりたい。
会計検査院による過去五か年(平成十三年度から平成十七年度まで)の決算検査報告において、いわゆる「預け公金」に相当するものとして不当と認められる事項を掲記されたのは、外務省及び厚生労働省である。
これらの予算執行主務官庁においては、公務員倫理の徹底及び綱紀保持はもとより、職員に対する会計研修の徹底や会計監査の充実等の措置を講ずる一方、不正支出金の返還に努めるとともに、関係者に対しては、懲戒免職、停職、減給などの厳正な処分を行ったところである。
政府としては、予算執行の責に任ずる主務官庁のこうした不正行為の再発防止に係る取組状況や、独立機関としての会計検査院の対応等を見極めつつ、必要に応じて更なる不正行為の再発防止に向けて万全を期してまいりたい。