答弁本文情報
平成十九年十月三十日受領答弁第一四二号
内閣衆質一六八第一四二号
平成十九年十月三十日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出海上幕僚監部による海上自衛隊補給艦給油量の誤差隠蔽に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出海上幕僚監部による海上自衛隊補給艦給油量の誤差隠蔽に関する質問に対する答弁書
一から六までについて
お尋ねに係る事実関係については、現在も調査中であること等から、すべてを確定的にお答えすることはできないものの、現時点では、防衛省として、おおむね次のとおり把握しているところである。
平成十五年二月二十五日、海上自衛隊補給艦ときわは、米補給艦ペコスに対して約八十万ガロンの給油を、米駆逐艦ポール・ハミルトンに対して約二十万ガロンの給油を行った。
平成十五年二月二十六日、当時の防衛庁海上幕僚監部防衛部運用課(以下「運用課」という。)等は、インド洋に派遣されている派遣海上支援部隊の指揮官から当該給油に係る報告を受領した。また、同日、海上幕僚監部装備部需品課(以下「需品課」という。)等は、当該部隊から当該給油に係る受領証の写しが添付された電子メールを受領した。運用課の担当者は、同日ころ、当該報告に記載された給油量をパソコンソフトを用いて作成された給油量の集計表に転記したが、その際、米補給艦ペコスへの給油量と米駆逐艦ポール・ハミルトンへの給油量とを取り違えて入力した。
平成十五年五月六日、イラクの自由作戦に従事したキティホーク空母戦闘群のマシュー・G・モフィット司令官が、海上自衛隊から米補給艦を経由して間接的に約八十万ガロンの燃料補給を受けた旨を発言したとの報道がなされた。
平成十五年五月八日、当時の石川統合幕僚会議議長は、当該集計表に基づき、記者会見において、海上自衛隊から米補給艦に約二十万ガロンの補給を実施している旨を述べた。
平成十五年五月九日、海上幕僚監部防衛部防衛課長等は、需品課の担当者からの指摘により、前記の取り違えによる誤りに気付いたが、米補給艦ペコスが我が国から補給を受けた直後に米空母キティホークに補給したことに係る問題が当時沈静化しつつあったこと等を考慮し、適切な報告を行わず、当該誤りに係る訂正の措置をとらなかった。
一方、平成十五年五月八日、防衛庁防衛局防衛政策課の担当者は、米補給艦ペコスが我が国から補給を受けた直後に米空母キティホークに補給したことに係る問題に関する防衛庁としての応答要領を前記の当時の石川統合幕僚会議議長の記者会見の内容を踏まえて作成した。この結果、当時の福田内閣官房長官が同月九日の記者会見において、また当時の石破防衛庁長官が同月十五日の参議院外交防衛委員会において、それぞれ海上自衛隊補給艦から米補給艦への給油量は約二十万ガロンである旨の説明をすることとなった。
現在、当時の海上幕僚監部及び防衛庁内部部局等に所属していた関係者について、事実関係の調査を行っているところであり、関係者に対する処分については、当該調査により認められた事実関係を踏まえ、厳正かつ適切に行うことを考えている。
平成十五年当時、一から六までについてで述べた取り違えによる誤りが生じていたことについて、海上幕僚監部防衛部防衛課長等が気付いていたにもかかわらず、適切な報告を行わず、当該誤りに係る訂正の措置やその旨を公表するための措置をとらなかったことは、防衛省や自衛隊の事務処理の在り方に対する信頼を損ねるとともに、文民統制に係る極めて重大な問題であると考えている。
シビリアン・コントロールは、文民統制のことを指し、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するものと考えている。