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答弁本文情報

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平成十九年十一月九日受領
答弁第一六七号

  内閣衆質一六八第一六七号
  平成十九年十一月九日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出長崎県等における海岸の漂流・漂着ゴミの処理方策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出長崎県等における海岸の漂流・漂着ゴミの処理方策に関する質問に対する答弁書



一の1について

 漂流・漂着ゴミに係る問題への対処に当たっては、漂流・漂着ゴミに係る状況の把握、国際的な対応も含めた発生源対策及び被害が著しい地域への対策を、関係省庁が連携して進めていくことが不可欠であると認識している。

一の2及び三の2について

 漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議(以下「省庁会議」という。)とりまとめに示された関係省庁が実施する平成十九年度以降の当面の施策の概要は次のとおりである。現在、各省庁においてはこれらの施策を着実に実施しているところであり、お尋ねの「実績」については、現時点でお答えすることは困難である。
 (1) 内閣府においては、循環型社会形成推進交付金により、離島地域を含む沖縄における廃棄物処理施設等の整備に係る支援を行っている。
 (2) 総務省においては、頑張る地方応援プログラムにより、地方独自のプロジェクトに取り組む地方公共団体に対する地方交付税等の支援措置を講じている。
 (3) 外務省においては、近隣国との二国間の協議を行っているほか、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を通じて海岸清掃キャンペーンを実施するなど、各国国民の意識向上を図っている。
 (4) 水産庁においては、漁場漂流・漂着物対策推進事業による漁業系資材の処理費用の軽減方策及びリサイクル技術の開発及び推進並びに漁業活動中に回収された漂流物の処理への支援、漁場環境保全創造事業による堆積物の除去、市民参加による森・川・海を通じた漁場環境保全の推進のための民間団体を通じたゴミの除去作業に対する清掃資材の提供等を行っている。
 (5) 経済産業省においては、容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するため、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成十八年六月十五日法律第七十六号)の適切な実施を図っている。
 (6) 国土交通省においては、河川敷等における日常の監視、治水上支障となるゴミ回収の徹底、市民と連携した清掃活動及び回収活動状況のマップ作成による啓発、海岸における漂着ゴミ等に含まれる危険物への適切な対応を定めるガイドラインの策定、閉鎖性海域における海面浮遊ゴミ及び油の回収並びに海洋短波レーダを活用したゴミ等の位置を予測する技術開発を行っている。また、国土交通省及び農林水産省においては、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業により、海岸保全施設の機能阻害の原因となる洪水、台風、外国からの漂流等による大規模な漂着ゴミを緊急的に処理する海岸管理者に対する支援を行っている。
 (7) 気象庁においては、北西太平洋海域及び日本周辺海域の観測定線において、海上漂流物目視観測を実施している。
 (8) 海上保安庁においては、一般市民を対象とした海洋環境保全のための啓発活動の一環として漂着ゴミ分類調査を実施しているほか、同一の排出源からのものと思われる大量の漂着物が認められた場合には、関係地方公共団体等と連携した排出源及び排出原因を特定するための調査を実施している。
 (9) 環境省においては、漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査による漂流・漂着ゴミの実態把握並びに効率的かつ効果的な漂流・漂着ゴミの回収及び処理方法の検討、ゴミの漂流・漂着に関する予測手法の検討、災害等廃棄物処理事業費補助金による海岸保全区域外に大量に漂着したゴミの市町村等による処理の支援、循環型社会形成推進交付金による廃棄物処理施設の市町村等による整備の支援、廃棄物処理等科学研究費補助金による漂着ゴミの処理に係る技術開発の推進等を実施している。

一の3について

 「関係者間の相互協力が可能な体制作り」については、例えば、環境省が平成十九年度より実施している「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査」において、地方公共団体、研究者、NGO等で構成される検討会を設置し、地域の実情に応じた漂流・漂着ゴミ対策の推進方策について検討を行っているところである。
 「必要な対策の拡充」については、省庁会議とりまとめに示された平成十九年度以降の当面の施策を着実に実施した上で、当該施策の実施状況及びその結果を踏まえ、検討を行うこととしている。

二の1について

 御指摘の「全国の海岸における漂流・漂着ゴミの実態」については、これを都道府県又は市町村別に把握しておらず、お答えすることは困難である。

二の2について

 漂流・漂着ゴミの問題については、海岸機能の低下や生態系を含めた環境・景観の悪化、船舶の安全航行への支障や漁業への被害等が指摘されているところであり、重要な課題と認識している。

三の1について

 省庁会議は、現在までに計四回開催されており、各回の開催年月日及び協議内容は、次のとおりである。
 (1) 第一回会議 平成十八年四月四日
  @漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議の設置について
  A漂流・漂着ゴミに関する状況の把握について
  B漂流・漂着ゴミに関する取組の状況について
  C今後の検討スケジュールについて
 (2) 第二回会議 平成十八年八月三日
  @漂流・漂着ゴミ対策に関するアンケート結果について
  A漂流・漂着ゴミに関する対策について
  B長崎県内における流木の漂着状況について
 (3) 第三回会議 平成十八年九月七日
  @漂流・漂着ゴミ対策に関する平成十九年度概算要求について
  A医療系廃棄物の漂流について(速報)
 (4) 第四回会議 平成十九年三月一日
  @漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議とりまとめ(案)について
  Aとりまとめの公表及び漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議の今後について

四の1について

 平成十九年度の災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業は、洪水、台風等により海岸に漂着した流木、ゴミ等及び外国から海岸に漂着したものと思われる流木、ゴミ等が異常に堆積し、これらを放置することにより、海岸保全施設の機能を阻害することとなる場合において、緊急的に当該流木、ゴミ等の処理を実施するものであり、海岸に漂着したゴミも対象としているところである。
 また、同事業は、「一連の海岸」における海岸保全施設の区域等に漂着した流木、ゴミ等の漂着量の合計が一千立方メートル以上となる場合を対象として実施しているところであるが、いかなる状態の海岸が「一連の海岸」に該当するかどうかについては、個別具体的に判断されるものであり、点在する島の場合について同事業の対象となるかどうかを一概にお答えすることは困難である。
 平成二十年度以降の同事業の内容に係るお尋ねについては、現在、政府部内で調整及び検討をしているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
 「海岸保全区域」に係るお尋ねの意味が必ずしも明らかではないが、平成十八年三月三十一日時点において、海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条の規定により指定された海岸保全区域の総延長は、約一万四千百二十二キロメートルである。

四の2について

 漁場漂流・漂着物対策推進事業は、漁場を悪化させる要因となる漂流ゴミ、流木等の漂流物による被害の著しい区域において、漁業活動中に回収した漂流物を処分するための費用の一部を支援することにより、被害の拡大を防ぎ、漁場環境の保全を推進することを目的として、平成十九年度より実施している事業であるが、同事業は、広域的な漁場で操業する複数の都道府県の漁業協同組合等が実施主体となることが要件であり、補助率は二分の一以内となっている。
 また、同事業は漁業活動中に回収した漂流物の陸上における処理に要する費用の一部を支援するものであり、回収に要する費用は支援の対象となっていない。
 水産庁においては、漁場環境の改善を図るため、漁場環境保全創造事業を実施しているが、同事業は、漂流物ではなく効用の低下している漁場における堆積物の除去等に対する補助事業である。

四の3について

 廃棄物処理施設災害復旧費補助金は、市町村等が行う災害により被害を受けた一般廃棄物処理施設等の原状復旧に係る事業に要する経費に充てるため、当該市町村等に対して交付されるものであり、「漂流・漂着ゴミや流木の処理にかかる事業等」については、当該補助金の交付対象にはならない。
 また、災害等廃棄物処理事業費補助金は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二十二条の規定に基づき、市町村等が行う災害その他の事由により特に必要となった廃棄物の処理に係る事業に要する経費に充てるため、当該市町村等に対して交付されるものであり、「漂流・漂着ゴミや流木の処理にかかる事業等」についても、災害その他の事由により特に必要となった廃棄物の処理に係る事業に該当することその他の交付要件を満たす場合には、当該補助金の交付対象になる。

四の4について

 循環型社会形成推進交付金は、市町村等が行う廃棄物処理法第五条の二に規定する基本方針に沿って作成された循環型社会形成推進地域計画に基づく事業の実施に要する経費に充てるため、当該市町村等に対して交付されるものである。

四の5について

 頑張る地方応援プログラムは、魅力ある地方の創出に向けて、独自の取組を推進する地方公共団体を支援することを目的としているものであり、その概要は、成果目標を掲げたプロジェクトを策定し、公表した市町村に対し、その取組に要する経費について特別交付税により措置するとともに、客観的な成果指標を普通交付税の算定に反映させる等の措置を講ずるものである。なお、漂流・漂着ゴミ対策に係る取組に要する経費についても、本措置の対象になり得る。

五について

 漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査は、漂流・漂着ゴミによる被害の著しい地域の実態把握や地域の関係者が協力して行う効率的かつ効果的な漂流・漂着ゴミの回収及び処理方法の確立を目的として、全国七地域十一海岸のモデル地域において、地方公共団体、研究者、NGO等で構成される検討会を設置し、地域の実情に応じた検討を行っているものである。
 また、国土交通省においては、海岸における漂着ゴミ等に含まれる危険物への適切な対応を定めるガイドラインの策定に係る調査を、海上保安庁においては、一般市民を対象とした海洋環境保全のための啓発活動の一環としての漂着ゴミ分類調査を、それぞれ重点的に実施している。
 今後の漂流・漂着ゴミの実態把握のための国の体制については、施策の実施状況及びその結果を踏まえて検討してまいりたい。

六について

 地方公共団体においては、地域住民やボランティア団体等の協力を得ながら漂流・漂着ゴミの清掃活動が実施されているものと承知しているが、被害の著しい海岸を有する地方公共団体においては、当該団体では対応しきれない質及び量の漂流・漂着ゴミについての対策、処理費用の負担等が課題となっているものと認識している。

七について

 漂流・漂着ゴミ対策連絡協議会等においては、国から諸外国への対策の働きかけ、漂流している流木による船舶航行上の支障の除去を含む船舶航行の安全の確保、国、都道府県及び市町村の役割分担の明確化、漂流・漂着ゴミの処理等に対する国からの財政支援の強化、漂流・漂着ゴミの回収等に係るボランティア活動に対する支援等に係る要望が地方公共団体から出されている。



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