答弁本文情報
平成十九年十一月二十七日受領答弁第二三七号
内閣衆質一六八第二三七号
平成十九年十一月二十七日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員泉健太君提出ヒト胎盤エキス含有製品の安全性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員泉健太君提出ヒト胎盤エキス含有製品の安全性に関する質問に対する答弁書
一について
厚生労働省としては、ヒト胎盤加水分解物及びヒト胎盤絨毛分解物(以下「ヒト胎盤抽出成分」という。)を含有する医薬品及び医薬部外品(以下「ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等」という。)について、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づく生物由来原料基準(平成十五年厚生労働省告示第二百十号)を定め、その製造について規制するなど、その安全確保に努めるとともに、化粧品について、同法に基づく化粧品基準(平成十二年厚生省告示第三百三十一号)を定め、ヒト胎盤抽出成分を化粧品に配合することを禁止しているが、ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等については、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の伝播のリスクを完全には排除できないものと考えている。このため、ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等を含め、同法第二条第十項に規定する特定生物由来製品を取り扱う医師その他の医療関係者(以下「特定医療関係者」という。)に対して、当該製品の有効性及び安全性その他当該製品の適正な使用のために必要な事項について、当該製品の使用の対象者に対する適切な説明(以下「適正使用説明」という。)を行い、その理解を得るように努めるよう求めているところである。
また、お尋ねの研究の意味が必ずしも明らかでなく、その実施の有無についてお答えすることは困難である。
ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等については、その製造に当たり、生物由来原料基準に基づき、ヒトに対して感染性及び病原性を示す可能性のあるウイルスを検出するために必要な試験を行わなければならないこととされている。また、ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等のうち薬事法第十四条の規定に基づく承認を受けているラエンネック及びメルスモンについては、製薬企業において、その製造に当たり、その原料が欧州等への渡航歴等を有する者から採取した胎盤ではないことが確認されているものと承知している。
厚生労働省としては、統計法(昭和二十二年法律第十八号)第二条の規定に基づく総務大臣の指定を受けた薬事工業生産動態統計調査において、医薬品に関する毎月の生産数量等を調査しているが、同法第十四条及び第十五条第一項において、その徴集結果の秘密の保護及び指定統計を作成するために集められた調査表の統計上の目的以外への使用禁止が規定されていることから、特定の医薬品の生産数量に関わる答弁は差し控えたい。また、ラエンネック及びメルスモンの消費本数及び投与者数並びに適応外使用(薬事法上の製造販売の承認(以下単に「承認」という。)を受けた医薬品の承認外の効能、効果等を目的とする使用をいう。以下同じ。)による消費本数及び投与者数については把握しておらず、プラセンタについても薬事法に基づく承認を受けていないことから、国内の生産本数、消費本数及び投与者数並びに適応外使用による消費本数及び投与者数については把握していない。
ラエンネック及びメルスモンについては、製薬企業は、その製造に当たり、国内において採取された胎盤を使用することとしており、そもそも海外で採取されたものは使用されていないものと考えている。
御指摘の「報告」は、メルスモン製薬株式会社が製造した、ヒト胎盤を小片に切り滅菌し、密閉したガラス容器に小分けした製品について、その使用目的や引渡し等の実態を正確に把握する必要があることから、平成十六年九月二日に同社に対し薬事法第六十九条第三項の規定に基づき報告を命じ、同月九日に同社から報告があったものであるが、その内容は、当該製品の製造工程、出荷数量、出荷先等、当該製品に用いられた原料であるヒト胎盤の入手先等の事項に関するものである。
厚生労働省としては、御指摘の「埋没療法」に係る健康被害については承知していない。
お尋ねについて、過去の症例すべてをお答えすることは困難であるが、本質問主意書が提出された平成十九年十一月十六日以前の過去三年間に、御指摘のヒト胎盤エキス注射剤に係る副作用として、薬事法に基づく報告があったものは五症例である。このうち、四十歳代の女性で薬剤誘発性アレルギー性肝炎を呈した症例が二例、二十歳代の女性でアナフィラキシーショックを呈した症例が一例、六十歳代の女性で慢性糸球体腎炎を呈した症例が一例、二十歳代の女性で呼吸困難を呈した症例が一例あり、これらの症例については、肝炎ウイルスを原因とするものはない。
御指摘の被害救済制度においては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)第四条第八項に規定する許可生物由来製品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合における感染等による健康被害を救済の対象としていることから、許可生物由来製品が適応外に使用された場合には、その使用については原則として不適正な使用に該当し、当該制度の対象とはならない。
また、御指摘の被害救済制度の内容については、これらの点を含め、国民が当該制度の趣旨及び仕組み等を知ることができるよう、政府広報、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ等を通じて、広く国民に対する周知を図っているところである。
御指摘の努力義務が何を指すか必ずしも明らかではなく、お尋ねの実施状況についてお答えすることは困難であるが、厚生労働省としては、各都道府県を通じ、製薬企業に対して、特定生物由来製品の添付文書に、特定医療関係者は適正使用説明を行う必要がある旨を記載するよう指導するとともに、社団法人日本医師会等を通じ、特定医療関係者に対して、適正使用説明の必要性について周知を図っているところである。
また、献血については、厚生労働省としては、現在、御指摘のヒト胎盤エキス注射剤の投与を受けた者の献血を制限する措置を講じるとともに、当該措置の内容について、日本赤十字社に通知しており、同社においても、国民に対する当該措置の内容の周知に努めているところである。
さらに、臓器の提供については、厚生労働省としては、ヒト胎盤エキス注射剤の投与を受けた者からの臓器の提供を原則として見合わせる措置を講じるとともに、当該措置の内容について、社団法人日本臓器移植ネットワーク等の臓器あっせん機関に通知しており、同ネットワークのホームページ上において当該措置の内容が公表されているところである。