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答弁本文情報

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平成十九年十二月十一日受領
答弁第二八〇号

  内閣衆質一六八第二八〇号
  平成十九年十二月十一日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員保坂展人君提出パレスチナ人の子どもの国籍等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出パレスチナ人の子どもの国籍等に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 御指摘の調査(以下「調査」という。)は、出生により重国籍となり、国籍選択を要する者であって国籍の選択期限が到来した者のうち、国籍選択を行った者のおおよその割合を把握することを目的として行ったものである。

一の(2)について

 調査の対象者は、任意に選択した十二の法務局又は地方法務局において国籍選択を要すると判断した者のうち、昭和六十年一月から同年五月までに出生した者とした。

一の(3)について

 調査の対象者数は三百二十人であるが、国籍選択を行っていた者の数は、管轄法務局外に転籍したため国籍選択の有無について調査を行わなかった七十五人を除いた二百四十五人のうち、四十九人であった。

一の(4)について

 調査の目的は、一の(1)についてで述べたとおり、国籍の選択期限が到来した者のうち、国籍選択を行った者のおおよその割合を把握することにあり、国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第十五条の催告を行うためのものではない。

二の(1)について

 国籍法では、国籍は一つであることが望ましいという国籍唯一の原則の理念に基づき、重国籍を解消するため国籍選択制度を採用し、所定の期限内に国籍の選択をせず、その上で法務大臣からの国籍選択の催告を受けたにもかかわらず国籍の選択をしない場合には日本の国籍を失うとされているものであり、法務省としては、このような国籍選択制度は合理的なものであると考えている。
 なお、法務省としては、国籍選択義務の履行は重国籍者の自発的な意思に基づいてされるのが望ましく、また、日本国籍の喪失については本人はもとよりその家族の身分関係にも重大な影響を及ぼすことから、催告の要否については慎重に判断すべきものと考えている。

二の(2)について

 御指摘の法律に基づいて刑事罰が科されるか否かは事案ごとに判断されるべきものであり、二の(1)についてで述べたとおり、国籍法が採用している国籍選択制度は、国籍は一つであることが望ましいという国籍唯一の原則の理念の下に設けられた合理的なものであると考えている。

二の(3)について

 二の(1)についてで述べたとおり、国籍法が採用している国籍選択制度は、国籍は一つであることが望ましいという国籍唯一の原則の理念の下に設けられた合理的なものであると考えている。

三の(1)について

 二の(1)についてで述べたとおり、催告の要否については慎重に判断すべきものと考えているが、国籍選択の催告を行うことが相当と判断される場合において、催告を受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によって催告をすることができないやむを得ない事情があるときは、官報への掲載によって催告を行うこととなる。

三の(2)について

 国籍法が採用している国籍選択制度は、二の(1)についてで述べたとおり合理的なものであると考えており、法務省としては、官報への掲載による催告制度も必要なものであると考えている。

三の(3)について

 昭和六十年一月一日から施行された国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律(昭和五十九年法律第四十五号)によって新たに設けられた国籍法第十七条に基づく国籍の再取得の制度は、帰化の場合と異なり、法務大臣に対する届出のみによって日本国籍を簡易に取得することを可能とするものであり、また、その届出に際し提出すべき書類についても、国籍法施行規則(昭和五十九年十一月一日法務省令第三十九号)等において、同法第十七条の要件該当性及び戸籍の編製のために必要な事項の判断に係るものに限られているものであって、法務省としては、国籍の再取得の手続を更に簡素化することは考えていない。

四の(1)について

 従来、パレスチナ人については、国籍法上、国籍を有しない者として取り扱ってきたが、パレスチナは国家として承認されていないものの、最近のパレスチナ地域における諸情勢、国家に近い形態が整備されているパレスチナ暫定自治政府(以下「パレスチナ自治政府」という。)の体制整備等の現状にかんがみると、パレスチナ人を国籍を有しない者と取り扱い、御指摘のような子に日本国籍を取得させる必要はないものと考えられることから、御指摘の通知により取扱いを変更したものである。

四の(2)及び(3)について

 法務省からの照会に対し、外務省は、近年のパレスチナ情勢やパレスチナ自治政府の体制整備等の現状を説明した上で、(1)オスロ合意T(千九百九十三年)に基づき、ガザ地区及び西岸地区におけるパレスチナ人による自治が合意され、イスラエルからパレスチナ自治政府に対し段階的に土地の管轄権が委譲されてきており、この委譲された地域においてパレスチナ人は居住する権利を有していると言うことができる、(2)仮に、パレスチナ人が日本において不当な扱いを受けた際には、在京パレスチナ常駐総代表部に必要な保護や支援を求めることができる、(3)オスロ合意U付属書V第二十八条の二、七、八において、パレスチナ人に対し旅券を発行するパレスチナ自治政府の権限が明示的に規定されており、同旅券は多数の国々で有効なものとして認められており、我が国も平成十四年十月十八日の閣議決定により、関連政令の一部を改正し、同旅券を承認している旨の回答を行った。

四の(4)について

 平成七年一月二十七日最高裁判所第二小法廷判決は、ある者が父又は母である可能性が高くても、これを特定するに至らないときは、国籍法第二条第三号の「父母がともに知れないとき」に該当すると解釈し、子に日本国籍の取得を認めたものである。御指摘の法務大臣の発言は、パレスチナ人父母が特定されている場合について、その子が日本国籍を取得することに疑義がある旨を述べたものであり、右判決の趣旨に反するものではない。

四の(5)について

 外国人登録、戸籍等においては、「パレスチナ」と記載することになるものと考えている。

四の(6)について

 国籍法上、パレスチナ人については、従来、国籍を有しない者として取り扱ってきたが、他方、台湾の権限ある機関の発行した旅券等に相当する文書を所持する者については、国籍を有しない者として取り扱ってきておらず、御指摘のように両者を同列に論ずることは困難である。



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