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答弁本文情報

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平成二十年四月四日受領
答弁第二二七号

  内閣衆質一六九第二二七号
  平成二十年四月四日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員平野博文君提出閣僚等の答弁・説明義務及び「あたご」事故の調査等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員平野博文君提出閣僚等の答弁・説明義務及び「あたご」事故の調査等に関する質問に対する答弁書



一について

 憲法第六十三条において、内閣総理大臣その他の国務大臣は、議院で答弁又は説明のため出席を求められたときは出席しなければならないとされており、これは、国会において誠実に答弁する責任を負っていることを前提としていると認識している。
 また、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十四条に基づく質問に対し、政府としては、誠実に答弁すべきものと考えている。

二及び三について

 「国会議員が質問主意書により、国会審議に必要と考える資料を要求する権利」に関するお尋ねについては、議員の内閣に対する質問に係る国会法第七十四条第一項に規定する議長の承認に関する事項であり、政府としてお答えする立場にはないが、衆議院においては、「議員の質問は、国政に関して内閣に対し問いただすものであるから、資料を求めるための質問主意書は、これを受理しない」との先例があるものと承知している。また、内閣に転送された質問主意書に対しては、政府としては、同法の規定に従い、並びに平成十六年八月及び平成十八年六月の衆議院議院運営委員会理事会における質問主意書制度に関する合意等を踏まえ、答弁することとしており、例えば、質問事項につき調査を行うことが膨大な作業を要する場合に、お答えすることは困難である旨の答弁をしているところである。
 国会議員からの国会審議に必要な資料の要求は、議院の国政調査権を背景としたものであり、一私人としてのそれではなく、国会がその機能を発揮する上で重要なものであると認識しており、政府としてはこれに可能な限り協力をすべきものと考えている。しかしながら、要求された事項が、例えば、個人に関する情報に係るものである場合、所管外の事項である場合、他国との信頼関係が損なわれるおそれがある場合、捜査の具体的内容にかかわる事柄である場合等合理的な理由がある場合には要求に応じないことも許容されるものと考えている。

四の1及び2について

 議院において答弁を求められた事項が、例えば、個人に関する情報に係るものである場合、所管外の事項である場合、他国との信頼関係が損なわれるおそれがある場合、捜査の具体的内容にかかわる事柄である場合等合理的な理由がある場合には、答弁を差し控える旨の答弁をすることも許容されるものと考えているが、答弁を差し控えることとする理由は様々であり、そのすべてを列挙することは困難である。

四の3について

 捜査機関においては、捜査中の事件に関する情報については、関係者の名誉やプライバシーを保護する必要があるほか、当該情報を開示することにより罪証隠滅を招くなどして捜査・公判への支障が生じるおそれがあることから、基本的にはその開示を差し控えることとしている。
 その他の行政機関においても、捜査中の事件に関する情報の開示については、関係者の名誉やプライバシーへの影響を考慮し、また、捜査への協力の観点から捜査・公判への影響等にも配慮し、慎重に対応しているところであり、今後もそのような方針を変える必要があるとは考えていない。

五の1について

 防衛省としては、本件事故に関する情報については、捜査に支障等が生じないよう配慮しつつ、可能な限りその開示に努めているところである。

五の2について

 お尋ねの防衛省による公表については、海上自衛隊の艦船事故調査委員会が平成二十年三月六日から二十日までの間に乗組員への聴取等の調査を行い、防衛省として、その内容の確認、整理等を行った上で、捜査に支障等が生じないと判断したものについて公表したものであり、結果として公表の月日が同月二十一日となったものである。

六の1から3までについて

 お尋ねについて時系列に沿ってお答えすると、次のとおりである。
 平成二十年二月十九日、防衛省において護衛艦「あたご」航海長から本件事故について聞き取りを行った。
 平成二十年二月二十一日、防衛省から海上保安庁に対して、海上自衛隊の艦船事故調査委員会による護衛艦「あたご」乗組員に対する聴取について問い合わせたところ、海上保安庁第三管区海上保安本部横須賀海上保安部長から、「現在、海上保安庁側で捜査中であり、それを優先させる必要がある。支障がなくなった時点で連絡する。」旨の回答があった。防衛大臣は、かかる回答を踏まえて、同月二十六日の衆議院安全保障委員会において、「「あたご」の乗組員と接触ができない状態でございます。」との答弁をしたものである。
 また、お尋ねの「上陸・接触禁止命令」が何を意味するのか明らかではないが、上陸許可権者及び休暇承認権者である護衛艦「あたご」艦長は、第六十三護衛隊司令部(当時)等の上級司令部等の指示を仰ぎつつ、捜査に協力するとの立場から、平成二十年二月十九日に横須賀に接岸してから同年三月二十四日までの間、護衛艦「あたご」乗組員に対して、入院等の特段の理由がある場合を除き、上陸の許可又は休暇の承認を与えなかったところであるが、同月二十五日以降、捜査への影響を考慮しつつも、乗組員の精神的健康を保つこと等を目的として、上陸を許可し、又は休暇を承認することとした。
 なお、海上保安庁が、お尋ねのような身柄拘束を行ったり、このような上陸の制限を要請した事実はない。

六の4及び6について

 本件のような事故が発生した場合、防衛省として事故発生直後からその状況を把握するとともに、海上自衛隊の艦船事故調査委員会において事故原因の究明と再発防止を講じるための調査を行うことは必要であると考えており、捜査において強制の処分がなされている場合は格別、捜査が行われている場合にこのような調査ができない旨を定めた法令の規定があるわけではない。
 また、国会議員からの国会審議に必要な資料の要求については、政府としてはこれに可能な限り協力をすべきものと考えており、捜査への協力といった要請がある場合には、その点も踏まえつつ総合的に判断し、適切に対応することとしている。
 本件事故については、平成二十年二月二十一日、防衛省から海上保安庁に対して、海上自衛隊の艦船事故調査委員会による護衛艦「あたご」乗組員に対する聴取について問い合わせたところ、海上保安庁から、「現在、海上保安庁側で捜査中であり、それを優先させる必要がある。支障がなくなった時点で連絡する。」旨の回答があった。
 これを受け、防衛省としては、事故の一方当事者として捜査に協力することとし、海上自衛隊の艦船事故調査委員会による調査やこれに係る国会議員への資料の提出等に当たっても捜査に支障等が生じないよう配慮すべきものと判断したものである。

六の5について

 本件事故発生後、海上保安庁から防衛省に対し、捜査状況に応じて捜査への支障等があり得ると認められる範囲で、護衛艦「あたご」の乗組員について、海上自衛隊の艦船事故調査委員会による事情聴取を控えるよう申し入れている。

七について

 お尋ねの「防衛機密」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、また、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄については、お答えすることを差し控えるが、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)においては、公務員又は公務員であった者が保管し、又は所持する物について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ、押収をすることができないこと及び当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができないことが規定されている。



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