答弁本文情報
平成二十一年二月三日受領答弁第五三号
内閣衆質一七一第五三号
平成二十一年二月三日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出裁判員制度について国民が抱いている疑問点に対する政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出裁判員制度について国民が抱いている疑問点に対する政府の認識に関する質問に対する答弁書
一について
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下「裁判員法」という。)第五十二条の規定により、裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理をすべき公判期日等に出頭しなければならないこととされている。
裁判員法第十六条の規定により、同条各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができることとされている。
裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる場合に該当するか否かは、裁判員候補者の申立てを受けた裁判所が、個別の事案ごとに、具体的事情に照らし、裁判員法第十六条の規定に基づいて判断することとなるところ、同条第八号ハにおいては、その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあり、裁判員の職務を行うこと等が困難な者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができることとされている。
お尋ねの「任意の選出」の意味が必ずしも明らかではないが、裁判員法においては、裁判員法第十四条に定める欠格事由に該当する者は裁判員となることができないこと、裁判員法第十五条に定める就職禁止事由に該当する者は裁判員の職務に就くことができないこと並びに裁判員法第十七条に定める事件に関連する不適格事由に該当する者及び裁判所が不公平な裁判をするおそれがあると認めた者は当該事件について裁判員となることができないことが定められているほか、検察官及び被告人は、一定の員数の裁判員候補者について、理由を示さずに不選任の決定の請求をすることができることとされており、これらにより、裁判員の選任は適正に行われるものと考えている。
裁判所においては、平成十九年度までに、裁判員制度の広報のため約三十五億五千九百万円を支出しているものと承知している。この他に、裁判員制度の実施に必要な施設等の整備を行っているところ、裁判員制度関係以外のものと合わせて行っていることなどから、裁判員制度関係の支出額のみを特定することは困難であるものと承知しているが、平成二十年度までに、裁判員制度関連施設整備経費として約二百三十一億九千七百万円、その他裁判員制度施行準備経費として約五十五億七千百万円がそれぞれ予算計上されている。
法務省においては、平成十九年度までに、裁判員制度の広報のため約九億七千万円を支出している。
これらは、国民の感覚を裁判の内容に反映させ、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図るという裁判員制度の趣旨を実現するために必要なものであると考えている。
裁判員としての職務は、裁判員に選任された者に一定の思想又は信条を強制するものではないことに加え、裁判員法第十六条及び裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第十六条第八号に規定するやむを得ない事由を定める政令(平成二十年政令第三号)第六号の規定により、裁判員の職務を行うこと等により自己に精神上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があり、裁判員の職務を行うこと等が困難な者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができることとされており、御指摘は当たらないものと考えている。
お尋ねの「召集令状に該当する」の趣旨が明らかではないことから、お尋ねにはお答えすることができない。
衆議院議員鈴木宗男君提出裁判員制度の問題点に関する質問に対する答弁書(平成二十年十月十日内閣衆質一七〇第五九号)七及び八についてでお答えしたとおり、現段階において、裁判員法の施行を延期するなどの必要があるとは考えていない。