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答弁本文情報

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平成二十一年二月二十日受領
答弁第一一一号

  内閣衆質一七一第一一一号
  平成二十一年二月二十日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出有明海漁業と干拓地農業の共存・有明海再生に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出有明海漁業と干拓地農業の共存・有明海再生に関する質問に対する答弁書



一について

 潮受堤防の防災機能については、主に、台風等による高潮を遮断すること、潮汐の影響に関係なく調整池の水位を一定に管理し、大雨時の調整池への排水を速やかに行うことにより、洪水被害の軽減を図ること及び調整池を淡水化することによって背後低平地にある潮遊池等への塩水の進入を防止し、潮風による背後低平地にある農地に対する塩害が抑制されることであると考えている。

二について

 一についてでお答えしたとおり、潮受堤防の防災機能については、御指摘の項目以外には、調整池を淡水化することによって背後低平地にある潮遊池等への塩水の進入を防止し、潮風による背後低平地にある農地に対する塩害が抑制されることがあると考えている。

三について

 諫早湾の一部を潮受堤防で締め切り高潮を防止するとともに、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理して、潮汐の直接的な影響を受けることなく河川、排水路等から調整池への排水が速やかに行われることにより、大雨時でも洪水被害の軽減が図られるなど、諫早市街地の一部を含む諫早湾周辺地域では、これまでに防災効果が発揮されているところである。

四について

 御指摘の「諫早水害誌」の記述については、その計算の根拠となる前提条件が明らかでないことから、お答えすることは困難である。

五について

 三についてでお答えしたとおり、潮受堤防を締め切ることにより諫早市街地の一部を含む諫早湾周辺地域に対する防災効果は既に発揮されているところであるが、国土交通省としては、農林水産大臣が決定した調整池の管理水位を基に、平成十七年三月に本明川水系河川整備計画を策定し、これに基づき河川改修の実施、洪水調節施設の建設により、一級河川本明川水系本明川の治水対策を進めているところである。

六について

 潮受堤防の排水門を常時開門すれば、調整池の水位が外海の潮位に連動し、調整池への排水が制限されることとなる。
 また、潮汐の影響に関係なく調整池への排水が速やかに行われるようにするためには、三についてでお答えしたとおり、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理する必要があると考えている。

七について

 御指摘の湛水状況については、平成十八年八月のデータ以外について、長崎県からの聞き取りにより把握している。

八について

 昭和五十七年から平成八年までの十五年間に湛水が生じた際、農業関連被害総額が三億円程度以上であったことが七回あったと承知している。
 一方、潮受堤防締切り後の平成九年以降は十七回の湛水を確認しているが、農業関連被害総額が同程度以上であったことは三回であると承知している。
 また、潮受堤防締切り前の昭和五十七年七月二十三日の日最大一時間降水量九十九ミリメートルの豪雨の際には、農地崩壊が百ヘクタール、床上浸水被害が九百三十戸に及んだが、締切り後、これに匹敵する日最大一時間降水量百一ミリメートルを記録した平成十一年七月二十三日の豪雨の際は、床上浸水被害は大幅に減少し、低平地の水田で一時的に湛水したものの、同日中に湛水が解消しており、このことからも、潮受堤防の締切りにより、湛水の程度は確実に軽減されていると考えている。

九について

 現時点における諫早湾周辺地域のすべての排水機場の設置状況は把握しておらず、お答えすることは困難である。

十について

 一についてでお答えしたとおり、潮受堤防締切りにより、潮汐の影響に関係なく調整池の水位を一定に管理することが可能となり調整池への排水が速やかに行われるようになるものと承知しているが、水田の汎用化等の観点から、更なる排水改良の強化のため、ポンプの設置を行うこともあるものと考えている。

十一について

 平成十五年度に農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所が一定の条件下で検討した結果によれば、潮受堤防の排水門を常時開門するとすれば、吐出量が毎秒〇・一三立方メートルから二・七〇立方メートルまでのポンプが背後低平地の十四地域に合計十五台、吐出量の合計で毎秒十一・五四立方メートル分が必要となるとされている。

十二について

 八についてでお答えしたとおり、潮受堤防締切りによる防災効果は既に発揮されていると考えており、現時点では、防災目的で排水機場を設置する予定はない。

十三について

 平成十五年度に農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所が一定の条件下で検討した結果によれば、潮受堤防の排水門を常時開門するとすれば、十一についてでお答えした十五台のポンプに加えて、吐出量が毎秒〇・九〇立方メートルから五・八八立方メートルまでのポンプが背後低平地の十四地域に合計三十四台、吐出量の合計で毎秒百四十四・一四立方メートル分が必要となるとされている。

十四について

 八についてでお答えしたとおり、潮受堤防締切りによる防災効果は既に発揮されていると考えており、潮受堤防の排水門を常時開門するとすれば、このような効果が失われると考えている。

十五について

 潮受堤防の排水門の常時開門については、既に発揮されている防災効果の維持の観点からも、ガタ土の堆積による排水不良の防止の観点からも、適当ではないと考えている。



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