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平成二十一年七月三日受領
答弁第五九四号

  内閣衆質一七一第五九四号
  平成二十一年七月三日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員阿部知子君提出原爆症認定却下処分の取消を求める訴訟に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出原爆症認定却下処分の取消を求める訴訟に関する質問に対する答弁書



1について

 政府としては、御指摘の千九百六十三年の東京地方裁判所判決以降、被爆者の健康の保持及び増進並びに福祉を図るため、医療特別手当等の増額、健康管理手当の支給要件の撤廃など施策の拡充に取り組んできたところであるが、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号。以下「法」という。)第十一条に基づく認定の申請者が、それぞれの事例について訴訟を提起したことから、これに対応して司法判断を求めているものである。

2について

 御指摘の長崎原爆松谷訴訟最高裁判決については、当該訴訟における原告について、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号。以下「行訴法」という。)第三十三条第二項の規定に基づき、判決の趣旨に従い、法第十一条に基づく認定を行ったところである。
 御指摘の小西京都訴訟大阪高裁判決、東数男東京訴訟東京高裁判決、仙台高裁判決、大阪高裁判決、大阪第二次訴訟大阪高裁判決及び東京高裁判決については、個別の事実認定の問題であり、法令解釈違反、経験則違反があるとまではいえないと判断し、上訴しなかったものである。鹿児島地裁判決については、事実認定について争う必要性がないと判断し、控訴しなかったものである。これらの訴訟における原告についても、行訴法第三十三条第二項の規定に基づき、それぞれの判決の趣旨に従い、法第十一条に基づく認定を行ったところである。
 また、お尋ねの疾病は、関連する他の情報と照合することにより、個人が特定されるおそれがあることから、原子爆弾被爆者医療分科会議事要旨で公表されている範囲でお答えすることとしたいが、悪性腫瘍、造血機能障害、視機能障害等である。

3の(1)及び(2)について

 お尋ねの論者及び論拠は、放射線被曝者医療国際協力推進協議会による「原爆放射線の人体影響1992」、小佐古敏荘氏による「広島・長崎における原爆の被曝線量評価に関する意見書」及びShunzo Okajima氏らによる「Measurement of 239Pu in Soil and Plants in the Nishiyama District of Nagasaki. Health Physics.1990;58:591-6.」、財団法人放射線影響研究所による「原爆被爆者の長期健康影響調査に関する「Q&A」」等のそれぞれに記載されている科学的知見である。

3の(3)について

 御指摘の「広島破滅の報告(放射能に関して)」が何を指すのか明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

4並びに5の(1)、(6)及び(7)について

 お尋ねの点については、現在、係争中の訴訟において争点となっており、お答えすることは差し控えたい。

5の(2)について

 平成十九年十月四日の原爆症認定の在り方に関する検討会において、沢田氏が御指摘の趣旨の発言をしたことは承知しているが、同年十二月十七日に取りまとめられた原爆症認定の在り方に関する検討会報告書には、同氏の指摘については触れられておらず、同検討会の委員の共通認識ではないと認識している。

5の(3)について

 現在、世界的に確立している内部被曝線量の算定方法としては、線量換算係数を用いて、摂取した放射性核種の量から内部被曝線量を特定する方法があると承知している。

5の(4)について

 政府としては、御指摘の訴訟等においては、「自然放射線による年間の内部被曝線量は一・六ミリシーベルト(〇・〇〇一六シーベルト、すべてガンマ線であった場合〇・〇〇一六グレイ)」と主張しているところであるが、これは、前原子爆弾被爆者医療分科会長である佐々木康人氏が、その意見書において、引用文献として、「日本アイソトープ協会.「放射線のABC」,5−15P,丸善,1997」を挙げつつ、「自然放射線による被曝線量の世界平均値は年間二・四ミリシーベルトで、そのうち内部被曝によるものは年間一・六ミリシーベルト(後略)」と述べていることを根拠とするものである。

5の(5)について

 国際放射線防護委員会が、千九百九十一年十一月に採択した「皮膚の線量限度のための生物学的根拠」の中で、いわゆる「ホットパーティクル理論」の正当性を否定していることを根拠とするものである。



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