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平成二十三年三月一日受領
答弁第八六号

  内閣衆質一七七第八六号
  平成二十三年三月一日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員佐藤茂樹君提出平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤茂樹君提出平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「新大綱」(以下「新大綱」という。)における「動的防衛力」とは、我が国を取り巻く安全保障課題や不安定要因に起因する様々な事態に対し、より実効的な抑止と対処を可能とし、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善のための活動を能動的に行い得る動的なものとして、即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた防衛力をいう。

二について

 新大綱で示した「動的防衛力」は、安全保障環境のすう勢を踏まえ、御指摘の「多機能で弾力的な実効性のある防衛力」を発展させ、構築することとしたものであるが、これとは、防衛力の運用を重視し、抑止力の信頼性を高めることとしているほか、グローバルな安全保障環境の改善のみならず、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化を図ることを防衛力の役割として明確化しているなどの点で異なっている。

三について

 防衛力の整備に関し、新大綱においては、「厳しい財政事情を踏まえ、・・・自衛隊全体にわたる装備・人員・編成・配置等の抜本的見直しによる思い切った効率化・合理化を行った上で、真に必要な機能に資源を選択的に集中して防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源でより多くの成果を達成する。また、人事制度の抜本的な見直しにより、人件費の抑制・効率化とともに若年化による精強性の向上等を推進し、・・・防衛予算の構造の改善を図る」こととしており、動的防衛力の構築は、このような考え方に基づき進めるものである。
 具体的には、新大綱及び御指摘の「中期防衛力整備計画(平成二十三年度〜平成二十七年度)」(以下「新中期防」という。)において、戦車・火砲を削減するなど冷戦型の装備・編成を縮減する一方、警戒監視、輸送等の機能を重点的に整備し、燃料の確保等により運用基盤の充実を図ることとしている。また、新型の戦闘機等能力の高い新たな装備品等の導入とあわせて、既存の装備品等の延命、能力向上等を図るほか、人事制度改革を実施すること等としている。
 平成二十三年度の防衛省の予算においても、このような考え方に基づき、各種能力の強化や運用基盤の充実を図ることとしている。また、防衛省においては、新大綱及び新中期防を踏まえ、防衛力の実効性向上のための構造的な改革に向けた具体的な検討を行っているところである。

四について

 「基盤的防衛力構想」は、冷戦構造が国際関係の基調をなし、また、国際平和のために自衛隊が貢献するという考え方が確立していない中で、防衛力の存在自体による抑止効果を重視して、御指摘の「五一大綱」において初めて取り入れられた考え方であり、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組織及び配備において均衡のとれた態勢を保有することを主眼としていたが、御指摘の「一六大綱」までの累次の防衛計画の大綱における「基盤的防衛力構想」の位置付けは、その時々の安全保障環境等を踏まえ、変化してきていたところである。
 政府としては、我が国周辺地域で多数の国が軍事力を近代化し、各種の活動を活発化させていることや、安全保障課題に対し、各国が協力して取り組むことが重要となっていること等の我が国を取り巻く安全保障環境のすう勢を踏まえ、新たな時代にふさわしい防衛力を構築することが必要と考え、我が国の防衛力の在り方について総合的な検討を行った結果、防衛力の運用を重視し、抑止力の信頼性を高めるとともに、国際的な協力により積極的に取り組むこと、及び三についてで述べた防衛力の構造的な変革を図ることが必要であることから、新大綱では、従来の「基盤的防衛力構想」によることなく、一についてで述べた「動的防衛力」を構築するとの方針を示したところである。

五及び六について

 新大綱においては、「我が国の安全保障における基本理念」の中で、「我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を整備するとの我が国防衛の基本方針を引き続き堅持する」としており、動的防衛力の構築等は、この方針の下で行うこととなる。
 さらに、新大綱の別表において、我が国が保有すべき防衛力の水準として、自衛隊の主要な編成、装備等の具体的規模を示すとともに、新中期防において、新中期防の実施に必要な防衛関係費の総額の限度及び計画対象期間における主要装備品の整備規模を示している。



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