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平成二十四年三月二十三日受領
答弁第一四〇号

  内閣衆質一八〇第一四〇号
  平成二十四年三月二十三日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員秋葉賢也君提出原子力損害賠償紛争審査会指針の賠償対象区域に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員秋葉賢也君提出原子力損害賠償紛争審査会指針の賠償対象区域に関する第三回質問に対する答弁書



一について

 平野文部科学大臣は、平成二十四年三月八日に能見善久原子力損害賠償紛争審査会会長(以下「能見会長」という。)と会談し、御指摘の同月五日の衆議院予算委員会第四分科会等における質疑の中で、宮城県伊具郡丸森町を「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」(平成二十三年十二月六日原子力損害賠償紛争審査会決定。以下「中間指針第一次追補」という。)における「自主的避難等対象区域」に含めるべきであるとの御指摘があったことを伝えた。これを踏まえ、平成二十四年三月八日に開催された第二十五回原子力損害賠償紛争審査会において、能見会長から、同町の状況について言及され、その上で議論が行われた結果、同月十六日に開催された第二十六回原子力損害賠償紛争審査会において、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)」(平成二十四年三月十六日原子力損害賠償紛争審査会決定。以下「中間指針第二次追補」という。)が決定されたところである。中間指針第二次追補においては、「自主的避難等」により、同年一月以降に生じた損害について、「@第一次追補とは、対象期間における状況が全般的に異なること、A他方、少なくとも子供及び妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていると考えられること等から、第一次追補の内容はそのまま適用しないが、個別の事例又は類型によって、これらの者が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には賠償の対象とすることとする。」とし、また、「中間指針、第一次追補及び第二次追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。その際、これらの指針に明記されていない損害についても、個別の事例又は類型毎に、これらの指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、その全部又は一定の範囲を賠償の対象とする等、東京電力株式会社には合理的かつ柔軟な対応が求められる。」としている。

二及び四について

 原子力損害賠償紛争審査会では、法律、医療及び原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者が、公正中立な立場から審議を行い、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)に基づき賠償されるべき損害の範囲等についての指針を示してきたところであり、政府としては、中間指針第一次追補、中間指針第二次追補等の趣旨を踏まえ、今後とも東京電力株式会社に対して被害の実態に沿った適切な賠償金の支払を促してまいりたい。

三について

 文部科学省においては、文部科学大臣から東京電力株式会社代表取締役社長に対し、被害者への賠償金の支払を迅速かつ適切に進めるよう要請するなどしている。また、平成二十三年十二月二十七日より、文部科学大臣政務官、経済産業副大臣、原子力損害賠償支援機構理事、東京電力株式会社代表取締役副社長等から構成される「原子力損害賠償円滑化会議」において、迅速かつ円滑に被害者を救済するための方策を検討するなどしている。

五及び六について

 原子力損害賠償紛争審査会では、法律、医療及び原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者が、公正中立な立場から審議を行い、原子力損害の賠償に関する法律に基づき賠償されるべき損害の範囲等についての指針を示してきたところであり、原子力発電所からの距離、「避難指示等対象区域」との近接性、政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、住民の自主的避難の状況等の要素を総合的に勘案して、「自主的避難等対象区域」を設定している。その際、安定ヨウ素剤の配備状況については、これが、福島県により、原子力発電所に近い市町村に対して順次配備されたという経緯に鑑み、配備された地域の住民が不安を抱いたと考えられるという観点から、判断材料の一つとされたものである。「自主的避難等対象区域」の設定に当たっては、これらの要素のほか、原子力損害賠償紛争審査会の各委員の知見に基づき、多岐にわたる要素を勘案しており、その全てをお答えすることは困難である。



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