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平成二十四年五月十一日受領
答弁第二一六号

  内閣衆質一八〇第二一六号
  平成二十四年五月十一日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員馳浩君提出国家公務員の新規採用抑制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員馳浩君提出国家公務員の新規採用抑制に関する質問に対する答弁書



一について

 国家公務員の新規採用者数の抑制(以下「新規採用抑制」という。)による「歳出削減効果」については、抑制した人数分を国家公務員として採用した場合におけるそれらの者の任命される官職や勤続年数等を予見することができないため、直接算出することはできないが、仮に、平成二十一年度新規採用者数と平成二十五年度新規採用者数の上限値の差である四千七百三十一人に係る人件費について機械的な試算を行うと、四千七百三十一人に平成二十四年度の国家公務員の初任者一人当たりの年間の人件費として試算した額である約二百九十万円(行政職俸給表(一)の一級二十五号俸の俸給月額を前提とし、平均的な期末手当及び勤勉手当並びに国家公務員共済負担金を含めて計算したもので、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)に基づく給与減額支給措置を講ずる前のもの)を乗じたものは約百三十七億円となり、四千七百三十一人に平成二十四年度の国家公務員一人当たりの年間の人件費として試算した額である約九百四十万円(平成二十四年度予算における自衛官分を除いた人件費総額から追加費用、公務災害補償費及び休職者給与額を除いた額を、自衛官を除く国家公務員の定員の数で除したもの)と平均的な勤続年数として二十五年を乗じたものは約一兆千百二十五億円となる。

二、四、八及び十について

 国家公務員の新規採用抑制について、年齢構成のゆがみや組織としての活力低下などの懸念があることや、若者へのしわ寄せであるといった批判がなされていることは承知している。お尋ねの「組織のスリム化」や「組織の在り方」については、国家公務員の定員の削減について、今後、行政機関が担うべき仕事の範囲や行政サービスの適正な水準について議論を行った上で、行政改革実行本部において検討を進めることとしている。また、組織活力を維持する観点から、中高年齢層の自発的な離職・再就職を支援していく必要性も認識しており、早期退職に対するインセンティブを高めるための給付の措置や、民間の支援会社の活用も含めた再就職の支援等の措置の具体化に取り組むこととしている。なお、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十八条第四号は、職員の意に反して降任し、又は免職することができる事由の一つとして、官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合を定めているが、公務員の分限免職についての過去の裁判例において、任命権者が被処分者の配置転換が比較的容易であるにもかかわらず、その努力を尽くさずに分限免職処分をした場合には権利の濫用となると判示されており、分限免職については、このような考え方も踏まえ、同法に基づき適切に対処していく必要があると考えている。

三について

 国家公務員の新規採用抑制の取組は、平成二十三年度採用分から行っており、これに係る方針を決定した平成二十二年五月時点における直近の実績値として、平成二十一年度の採用実績を比較対象としたところであり、平成二十四年度及び平成二十五年度の新規採用抑制の方針を決定する際にも、平成二十三年度の取組との比較が可能となるよう、引き続き平成二十一年度の採用実績を比較対象としたところである。

五及び六について

 「平成二十五年度の国家公務員の新規採用抑制の方針について」(平成二十四年四月三日閣議決定。以下「平成二十五年度新規採用抑制方針」という。)に基づき、総務大臣が平成二十五年度の各府省の新規採用者数の上限値を決定するに当たっては、治安対策や国民の安全確保に配慮した結果、刑務官を採用する法務省及び海上保安官を採用する国土交通省の同年度の新規採用者数の上限値は、平成二十一年度の採用実績と比べ、それぞれ五十二パーセント減、五十パーセント減となっており、全体の平均である五十六パーセント減に対し、低い抑制割合となっている。

七について

 国家公務員の新規採用抑制により、東日本大震災の被災地における復旧・復興に係る業務遂行に支障が生じることのないよう、引き続き、被災地への定員配置の重点化や応援派遣、新規採用抑制の対象外である任期の定めのある職員の活用などにより、要員の確保に万全を期すこととしている。

九について

 平成二十五年度新規採用抑制方針における採用抑制のような大幅な採用抑制の取組は、平成二十五年度及び平成二十六年度の二年間に限り実施することとしている。

十一について

 現下の厳しい財政状況や、社会保障・税一体改革に関連し国民に負担をお願いせざるを得ないことを踏まえ、政府としては、総人件費削減のためあらゆることに取り組まなければならないと考えており、その一環として、国家公務員の新規採用抑制についても取り組んでいるものである。他方、現下の厳しい雇用情勢に鑑み、若者の雇用対策を行うことの重要性は認識しており、政府として、労働界、経済界、教育界と若者の厳しい就職環境についての切実な危機感を共有し、一体となって、若者が生き生きと働ける雇用の場を継続的に生み出し、若者を学校から職場へ円滑につなぐための取組を行っていくことが必要であると考えている。このため、「「日本再生の基本戦略」について」(平成二十三年十二月二十四日閣議決定)に盛り込んだ「若者雇用戦略(仮称)」を本年半ばまでに策定することとしている。



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