答弁本文情報
平成二十四年五月十八日受領答弁第二二八号
内閣衆質一八〇第二二八号
平成二十四年五月十八日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員木村太郎君提出路線高速バス及びツアーバスに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員木村太郎君提出路線高速バス及びツアーバスに関する質問に対する答弁書
一、五及び六について
高速ツアーバス(旅行業者が造成・販売する高速道路を経由する二地点間の移動を目的とする募集型企画旅行の実施のために貸し切られて運行される貸切バスをいう。以下同じ。)については、平成十二年二月の貸切バス事業に係る規制緩和の実施以降、低価格や多様なサービスの提供により急速に成長する一方で、経費削減を重視するあまり運行管理を適切に実施しない貸切バス事業者(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第九条の二第一項に規定する一般貸切旅客自動車運送事業者をいう。以下同じ。)が存在するなど、輸送の安全の確保が十分に図られていないとの懸念があったところである。
このため、国土交通省においては、公益社団法人日本バス協会等に対して、運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準の遵守の徹底や当該基準を遵守するための目安を示した指針の周知を行うとともに、過労運転による事故防止のためのマニュアルの配布等を行うなど過労運転の防止のための取組を行ってきたところである。
また、平成二十二年十二月から「バス事業のあり方検討会」を開催し、平成二十四年三月に、高速ツアーバスを利用した募集型企画旅行を実施する旅行業者の乗合バス事業者(同法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者をいう。以下同じ。)への円滑かつ着実な移行の促進等を内容とする「「バス事業のあり方検討会」報告書」(以下「検討会報告書」という。)を取りまとめ、検討会報告書を踏まえた対策に着手したところである。
しかしながら、その直後の平成二十四年四月二十九日に群馬県藤岡市の関越自動車道において高速ツアーバスの事故(以下「本件事故」という。)が発生したことは極めて遺憾である。交通機関において、安全確保は全てに優先されるべきであり、今後、本件事故に関する警察の捜査や同省の立入検査による調査結果を踏まえ、本件事故のような重大な事故の再発防止に万全を期してまいりたい。
先の答弁書(平成二十三年七月二十九日内閣衆質一七七第三三八号)でお答えしたとおり、「バス事業のあり方検討会」が平成二十三年六月十四日に取りまとめた「「バス事業のあり方検討会」中間報告」によると、高速乗合バス(乗合バス事業者が運行するいわゆる高速バスをいう。)の平成二十年度の利用者数は約一億千万人であり、高速ツアーバスの平成二十二年の利用者数は六百万人に達したとなっている。
また、国土交通省においては、本件事故を踏まえ、高速ツアーバスの運行実態を把握し本件事故のような重大な事故の再発防止に万全を期するため、現在、全国の高速ツアーバスを運行する貸切バス事業者及び旅行業者に対し、重点的な立入検査を実施しているところである。
御指摘の文書等は、道路運送法の解釈や運用方針を示すものであり、国土交通省としては、同法に違反する貸切バス事業者に対しては、同法に基づく行政処分等を行うこととしており、御指摘の文書等を踏まえた貸切バス事業者の同法の遵守の状況については、必要に応じ、立入検査等により確認してきたところである。また、旅行業者の旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)の遵守の状況についても、必要に応じ、立入検査により確認してきたところである。
お尋ねの有限会社陸援隊については、貸切バス事業者と認識しており、今般の同社に対する数次にわたる立入検査において、法令違反の疑いが多数認められたところである。また、本件事故を起こしたツアーの事業形態については、高速ツアーバスに係る事業であると認識している。
国土交通省においては、一、五及び六についてでお答えした取組により、事故を未然に防ぐための努力を行ってきたところであるが、結果的に本件事故のような重大な事故が発生したことは極めて遺憾であり、本件事故を踏まえ、過労運転の防止のための緊急対策として、平成二十四年五月九日に、公益社団法人日本バス協会及び高速ツアーバス連絡協議会に対し、自主的な安全確保策の確立を要請したところである。
また、検討会報告書において平成二十四年度及び平成二十五年度とされた旅行業者の乗合バス事業者への集中移行期間にとらわれず、できるだけ早期に円滑な移行が進むようその促進を図るとともに、運転者の勤務時間及び乗務時間の基準や乗務距離による交替運転者の配置の指針等を含め、過労運転の防止のための対策全般を見直すこととし、専門家による検討会を開催し、早急に検討を進めていくこととしている。
さらに、二についてでお答えしたとおり、現在、全国の高速ツアーバスを運行する貸切バス事業者及び旅行業者に対し、重点的な立入検査を実施しているところであり、当該立入検査によりこれらの事業者による過労運転の防止に関する取組等に係る問題点を把握し、今後の輸送の安全の確保に係る対策に反映させるとともに、貸切バス事業者に対する輸送の安全に係る規制の強化、車両及び道路の安全対策の強化等所要の対策を実施することとしている。