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平成二十四年六月二十六日受領
答弁第二九九号

  内閣衆質一八〇第二九九号
  平成二十四年六月二十六日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員河野太郎君提出衆議院決算行政監視委員会の仕分けに対する文部科学大臣の回答に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員河野太郎君提出衆議院決算行政監視委員会の仕分けに対する文部科学大臣の回答に関する質問に対する答弁書



一について

 科学技術・学術審議会は、文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)により文部科学省に置かれ、同法第七条第一項の規定に基づき、文部科学大臣の諮問に応じて科学技術の総合的な振興に関する重要事項等の調査審議等を行っており、御指摘のスーパーコンピュータ「京」(以下単に「「京」」という。)の開発を行った「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」(以下単に「プロジェクト」という。)についても、同審議会において、その推進のための方策について調査審議を行うとともに、「京」の概念設計等について評価を行った。
 一方、総合科学技術会議は、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)により内閣府に置かれ、同法第二十六条第一項の規定に基づき、科学技術に関する大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発の評価等を行っており、新たに実施が予定される総額が約三百億円以上の国費を要する研究開発については、大規模な研究開発として、各府省における評価結果を参考にしつつ評価を行っている。プロジェクトは、平成十八年度から平成二十四年度までの七年間で総額約千百五十四億円の国費を見込む事業として文部科学省において開始されたものであるが、同会議は、「科学技術を牽引する世界最高水準の次世代スーパーコンピュータ」を国家的な大規模事業として集中的に投資すべき国家基幹技術と位置付けるとともに、「京」の概念設計等について、同審議会における評価のプロセス及び結果の妥当性を中心に、評価を行った。

二について

 プロジェクトにおいては、平成二十四年度までに汎用性を重視した世界最先端・最高性能の次世代スーパーコンピュータを開発・整備することとし、そのシステム構成については、プロジェクトの実施主体である独立行政法人理化学研究所(以下「理研」という。)が、公募により参加した企業等と共同して検討することとしたところ、理研及び当該企業等が研究及び概念設計を実施した結果、スカラ部及びベクトル部からなる複合型のシステム構成を採用することとされた。その後、平成二十一年四月に、科学技術・学術審議会によるプロジェクトに関する評価において、米国のスーパーコンピュータ開発が加速しており、プロジェクトの目標を達成することが困難となっていることや、当時の開発状況を踏まえると、システム構成について見直しを行うことが必要であることが指摘され、理研において、システム構成の再検討を開始したところ、同年五月、当該企業等のうち、ベクトル部の開発を担っていた日本電気株式会社が経営環境の悪化等を理由に「京」の製造には参加しない旨表明したため、理研において、複合型ではなくスカラ部のみで構成されるシステム構成へと見直しを行い、これについて、同審議会において、プロジェクトの目標を達成できるなどとの評価を受け、このシステム構成により、スーパーコンピュータを開発・整備することとしたものである。

三について

 御指摘の「スパコン「京」関連予算」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、一についてで述べたとおり、プロジェクトにおいて平成十八年度から平成二十四年度までに次世代スーパーコンピュータの開発・整備に要するものとして予算に計上する経費(以下「総事業費」という。)は、当初、約千百五十四億円であると見込んでいたところ、二についてで述べたスカラ部のみで構成されるシステム構成への見直しにより、平成二十二年度予算を編成した際に総事業費を約三十四億円削減し、その後、プロジェクトの実施体制の見直し等による効率化を図るなどした結果、平成二十四年度予算を編成した際に更に約九億円削減している。なお、平成十九年度補正予算、平成二十年度第一次補正予算及び平成二十二年度補正予算において、それぞれ、約四十二億円、約五十五億円及び約百八十六億円を措置するなどしているが、これらは、いずれも、当該年度以降の予算に計上することを予定していた経費を前倒しするなどしたものである。
 また、総事業費とは別に「京」の運用に要する経費が必要になるところ、これについて、平成二十四年度予算においては約九十七億円を計上しており、平成二十五年度以降も当面同程度の経費を要するものと見込んでいる。

四及び五について

 「京」の共用開始後は、「京」を含む我が国の主要なスーパーコンピュータ等を国全体の研究開発基盤として機能させることが重要であると考えており、文部科学省において、「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ計画」(以下「HPCI計画」という。)を実施している。HPCI計画においては、「京」や東京大学等全国の九つの大学が保有するベクトル型のものを含むスーパーコンピュータ等をネットワークで結ぶとともに、これらのスーパーコンピュータ等を一つのユーザーアカウントにより利用するなどできるようにするシステム(以下「HPCIシステム」という。)を構築しているところであり、その共用を平成二十四年九月末に開始することを予定している。これにより、全国の利用者が、当該ネットワークを通じて「京」やベクトル型のものを含むスーパーコンピュータ等を利用できるようになるなど、多様なニーズに応えられるものと考えている。
 また、同省において、今後十年程度を見据え、「今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ」(以下「ワーキンググループ」という。)を開催して今後のHPCI計画推進の在り方を検討しているところであり、御指摘の「データ」については、ワーキンググループにおいて報告した全国のスーパーコンピュータの計算能力について同省のホームページで公表するとともに、将来必要となる計算能力について調査を実施しているほか、国全体の研究開発基盤の整備を目指すHPCI計画において、ネットワークで結ばれる全国の大学が保有するスーパーコンピュータのシステム整備や運営の状況も含め、HPCI計画の推進状況を適切に把握することとしている。さらに、ワーキンググループにおいては、民間企業等からなる団体からのヒアリングにより、産業界におけるスーパーコンピュータの利用についての期待等について聴取しているところである。今後、将来のHPCI計画推進の在り方について、平成二十五年夏ごろまでに中間取りまとめを行うべく、調査・検討を進めていくこととしている。

六について

 「京」の利用者の選定については、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(平成六年法律第七十八号)第八条の規定に基づき登録施設利用促進機関として登録を受けた一般社団法人高度情報科学技術研究機構が、学識経験を有する者からなる選定委員会の意見を聴きつつ、申請者の研究課題の科学的又は社会的意義等を考慮して、中立・公正な立場から行うこととされている。
 HPCI計画の推進に当たっては、HPCIシステムの整備及び運用、計算科学技術の振興に関わる事項等について幅広く関係者の意見を集約し、国や関係機関に提言を行うことを活動内容とする一般社団法人HPCIコンソーシアム(以下「コンソーシアム」という。)から提言を受けることとなるが、個別具体の「京」の利用者の選定にコンソーシアムが関与する仕組みにはなっておらず、また、コンソーシアムの一員であるか否かは選定の基準となっていないことから、御指摘の「懸念」は当たらないものと考えている。



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