衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十四年六月二十九日受領
答弁第三〇四号

  内閣衆質一八〇第三〇四号
  平成二十四年六月二十九日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員木村太郎君提出食品検査における二重の基準による農家・生産者の被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員木村太郎君提出食品検査における二重の基準による農家・生産者の被害に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねにある「原発事故による風評被害により、観光客数が例年より一、二割減少した」という事例は具体的には承知していないが、一般論としては、本年四月から五月の大型連休中の観光需要については把握していないものの、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)を含めた東日本大震災の影響により減退した国内の観光需要は相当程度回復してきている一方で、依然、観光需要が十分に回復していない地域もあると認識している。

二について

 お尋ねの「ホットスポットの状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、森林における本件事故に起因して放出された放射性物質の監視については、関係省庁等により構成するモニタリング調整会議が平成二十三年八月二日に決定した「総合モニタリング計画」に沿って、農林水産省が福島県内の森林三百九十一か所において放射性セシウムの濃度等を測定し、本年三月一日に「福島県の森林における土壌等に含まれる放射性セシウムの濃度の測定結果について」として公表している。
 森林の除染については、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法に基づく基本方針」(平成二十三年十一月十一日閣議決定)において「森林については、住居等近隣における措置を最優先に行う」としていることを踏まえて対応していくこととしている。
 なお、本年六月二十五日現在における、除染の全体的な進捗状況としては、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十五条第一項に規定する除染特別地域として、十一地域を指定している。このうち五地域については、同法第二十八条第一項に規定する特別地域内除染実施計画を既に策定しており、今後、同法第三十条に基づき同計画に従って除染等の措置等を実施していくこととしている。同計画を策定中の六地域については、その策定を急ぐ考えである。また、同法第三十二条第一項に規定する汚染状況重点調査地域として、百四地域を指定している。このうち六十五地域については、同法第三十六条第四項に規定する除染実施計画の都道府県知事等から環境大臣への協議(以下単に「協議」という。)を既に終了しており、同法第三十八条に基づき除染実施者により除染等の措置等が進められていると承知している。同計画を策定中又は同計画の策定を検討中の三十九地域については、協議が行われた場合には、同大臣として早急に対応する考えである。

三について

 農林水産省においては、「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」(平成二十三年四月四日原子力災害対策本部策定)に基づき関係都県が実施することとされている山菜に含有される放射性物質の検査の結果を事前に確認するよう、森林において山菜を採取する者に対し、同省のホームページにおいて注意を呼び掛けているところである。また、当該関係都県に対し、「山菜採取者に関する注意喚起について」(平成二十四年四月六日付け林野庁林政部経営課特用林産対策室長事務連絡)を発出し、食品中の放射性物質に関する基準値(「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号)及び「厚生労働大臣が定める放射性物質」(平成二十四年厚生労働省告示第百二十九号)に規定する放射性セシウムの値であって、当該値を超えて食品に含有してはならないとされているものをいう。以下同じ。)を超える放射性物質を含有しているおそれのある山菜を採取しないよう、森林において山菜を採取する者に向け、広報誌の配布、巡回による指導等を通じて効果的な注意喚起を行うことを要請している。今後とも、このような取組により、食品中の放射性物質に関する基準値を超える放射性物質を含有しているおそれのある山菜が採取されることのないよう、注意喚起に努めていく考えである。

四について

 流通業者、小売業者等の一部においては、自らが取り扱う食品中の放射性物質について、品質管理の徹底等の観点から、自主的に検査を実施しており、その際の判断基準として、食品中の放射性物質に関する基準値より低い値を設定していると承知している。
 農林水産省としては、関係省庁等と連携して、流通業者、小売業者、消費者等を対象とした説明会を開催するほか、これらの者と個別に意見交換を行い、食品中の放射性物質に関する基準値が科学的根拠に基づき設定され、食品中の放射性物質に関する基準値に適合している食品の安全性は十分に確保されていること等について説明し、理解を求めてきたところである。今後とも、様々な機会を通じてこのような説明を行い、食品中の放射性物質に関する基準値の設定の考え方について、流通業者、小売業者、消費者等の理解を得る努力をしていく考えである。

五について

 農林水産省としては、関係省庁等と連携して、流通業者、小売業者、消費者等に対し、四についてで述べたとおり、食品中の放射性物質に関する基準値の設定の考え方について説明を行うほか、食品中の放射性物質の検査の結果に加え、食品の出荷を差し控えるよう流通業者、小売業者等に要請することを内容とする原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二十条第三項の規定に基づく原子力災害対策本部長による関係都道府県知事に対する指示の内容等に関する情報を発信している。また、東日本大震災の被災地及びその周辺地域で生産又は加工された食品を積極的に消費することを促進する取組を展開しているところである。
 今後とも、これらの取組により、正確で分かりやすい情報を提供するとともに、積極的に消費を促進していく考えである。

六について

 食品中の放射性物質に関する基準値については、国際連合食糧農業機関・世界保健機関合同食品規格計画の実施機関であるコーデックス委員会が定めた食品中の放射性物質に関する指標において、食品の摂取に伴う内部被ばく線量が年間一ミリシーベルトを超えないように設定されていること及び合理的に達成可能な限り被ばく線量を低く管理するという考え方が国際的に一般的であることを踏まえ、食品中の放射性物質の検査の結果、多くの食品から検出される放射性物質の濃度が時間の経過とともに相当程度低下傾向にあることから、食品の安全と安心をより一層確保するため、許容される被ばく線量が年間一ミリシーベルトとなるように放射性セシウムの値を定めたものである。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.