答弁本文情報
平成二十四年七月六日受領答弁第三二三号
内閣衆質一八〇第三二三号
平成二十四年七月六日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出虚偽の捜査報告書を作成した検察官に対する検察庁の処分等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出虚偽の捜査報告書を作成した検察官に対する検察庁の処分等に関する再質問に対する答弁書
一について
最高検察庁が平成二十四年六月二十七日に公表した「国会議員の資金管理団体に係る政治資金規正法違反事件の捜査活動に関する捜査及び調査等について」(以下「本件捜査・調査結果」という。)によれば、御指摘の検事は、「上司への報告用であろうなどと考え」て御指摘の捜査報告書(以下「本件報告書」という。)を作成したものであり、本件報告書に記載された内容の中には、平成二十二年五月十七日の取調べにおけるやり取りの趣旨とは「実質的に相反するものではないとみることができる」が、「その趣旨のやり取りを問答式かつ口語調で具体的かつ詳細に記載しているため、読み手に対して、」「実際にそのような具体的なやり取りがあったという点で誤解を与えかねないという面において不正確」な部分があるところ、この点について、「本件取調べの状況と同じ状況が勾留中の取調べでもあったことなどから、記憶がごっちゃになってしまい、勾留中の取調べの際にあった具体的発言によるやり取りが本件取調べでもあったと勘違いしてしまったものと思うなどと説明している」ものとされていると承知している。
御指摘の検事が、本件報告書に不正確な内容を記載したことは、誠に遺憾である。
御指摘の「検事が虚偽の捜査報告書を作成し、それを東京第五検察審査会に提出したこと」に関しては、本件報告書を作成した検察官を被告発人とする虚偽公文書作成罪等の告発がなされ、検察当局において、当該告発を受理して捜査し、平成二十四年六月二十七日、「嫌疑不十分」を理由に不起訴処分としたと承知しており、この事件については、検察当局において、法と証拠に基づいて、適切に処理したものと考えている。
本件捜査・調査結果において、御指摘の部長が、本件報告書の「虚偽の部分にアンダーラインを引き、大幅に加筆修正をしていた」との事実があったものとはされていないと承知している。
なお、本件捜査・調査結果によれば、御指摘の部長は、本件報告書を引用した捜査報告書の原案を起案した際、関係者の供述については、御指摘の事件に係る「起訴相当議決において、共謀に関する直接証拠と位置付けられている重要な証拠であり、他方、検察は、そのやり取りについて具体性に欠けるなどと評価していたので、そのやり取り部分等が検察審査会に分かりやすいように」するため、その原案の一部にアンダーラインを引いたものとされていると承知している。
御指摘の調査は、最高検察庁監察指導部において実施されたものであるが、それ以外のお尋ねについては、今後の同部の調査に支障を来すおそれがあること等から、答弁を差し控えたい。
御指摘の「検事により作成された虚偽の捜査報告書と思われる文章が、インターネット上で掲載されていること」については把握しているが、当該文章をインターネット上に流出させた者については把握していない。
御指摘のとおりである。
御指摘の検事に対する退職手当は、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づき支給することとなるが、その金額については、個人に関する情報であるため、答弁を差し控えたい。
「弁護士資格」については、一般的には、弁護士となる資格という意味で用いられていると承知しており、弁護士となる資格は、司法修習生の修習を終えた者等、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第四条、第五条及び第六条に規定する者が、同法第七条に規定する欠格事由のいずれにも該当しない場合に有するものとされている。御指摘の検事については、平成十年四月に司法修習を終えており、当該欠格事由のいずれにも該当しない場合には、弁護士となる資格を有することとなる。
また、同法第八条は、弁護士となる資格を有する者が弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならない旨規定しているところ、御指摘の検事が当該弁護士名簿に登録されているか否かは承知していない。