答弁本文情報
平成二十四年十一月六日受領答弁第五号
内閣衆質一八一第五号
平成二十四年十一月六日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員秋葉賢也君提出司法書士に対する懲戒に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員秋葉賢也君提出司法書士に対する懲戒に関する質問に対する答弁書
一について
司法書士に対する懲戒権者が法務局又は地方法務局の長とされているのは、法務局及び地方法務局が登記に関する事務を所掌していることから、登記手続の代理等を主たる業務とする司法書士の懲戒事由の存否を十分に知り得る立場にあり、かつ、会員である司法書士に対する指導及び連絡の権限を有する司法書士会との連携を十分に図り得る立場にあることに鑑みたものであり、この懲戒権者を変更する必要はないと考える。
御指摘の「除斥期間」の規定が弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)に設けられているのは、弁護士が、司法書士と異なり、事件が終了した時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れることとされていることなどに鑑みたものであると解されており、また、司法書士に対する懲戒に当たっては、当該非違行為による関係者及び社会に与える影響の大きさ等の個別具体的な事情をしん酌した上、公正かつ適正にこれを行っているところであることから、「除斥期間」の規定を司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)に設ける必要はないと考える。
司法書士に対する戒告の際の聴聞の手続については、戒告が被処分者を戒める旨の処分であり、行政手続法(平成五年法律第八十八号)に規定する不利益処分に当たらないため、戒告をしようとする場合、同法上は聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続も必要とされておらず、また、司法書士について、同法の特則として聴聞の手続を執らなければならないこととする規定を設ける理由も認められないことから、これを執る必要はないと考える。
また、法務局又は地方法務局の長は、一についてで述べたとおり、司法書士の懲戒事由の存否を十分に知り得る立場にあるが、必要に応じて、司法書士の懲戒に関する調査を司法書士会に委嘱することができ、司法書士会は、当該委嘱を受けたときは、その調査の結果を、意見を付して、委嘱をした法務局又は地方法務局の長に報告しなければならないとされており、当該意見を含む調査の結果は、法務局又は地方法務局の長が懲戒を行うに際してしん酌されているところである。