答弁本文情報
平成二十七年八月十四日受領答弁第三七一号
内閣衆質一八九第三七一号
平成二十七年八月十四日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員寺田学君提出国際武力紛争における先制攻撃の違法性判断に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員寺田学君提出国際武力紛争における先制攻撃の違法性判断に関する質問に対する答弁書
一について
外務省設置法(平成十一年法律第九十四号)第四条第五号は、条約その他の国際約束及び確立された国際法規の解釈及び実施に関する事務をつかさどる旨規定しており、お尋ねの点については、外務省の所掌事務である。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られている。同閣議決定にも明記されているとおり、我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然である。国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号。以下「国連憲章」という。)において自衛権の発動が認められるのは、武力攻撃が発生した場合であることから、何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、ある国家が自衛権を援用して武力を行使することは、国際法上合法とは言えず、その要請又は同意があるとしても、その場合に我が国が国際法上集団的自衛権を根拠とする「武力の行使」を行うことはできない。
平成十五年のアメリカ合衆国等によるイラク共和国に対する武力行使は、国際の平和及び安全を回復するという目的のために武力行使を認める国連憲章第七章の下で採択された国際連合安全保障理事会の決議第六百七十八号、第六百八十七号及び第千四百四十一号を含む関連する決議に合致し、国連憲章にのっとったものであるので、国際法上合法な武力の行使であると考える。