答弁本文情報
平成二十七年九月四日受領答弁第三九三号
内閣衆質一八九第三九三号
平成二十七年九月四日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員福田昭夫君提出実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問に対する答弁書
一について
景気は、このところ改善テンポにばらつきもみられるが、緩やかな回復基調が続いているものと認識している。
現時点で補正予算による経済対策を策定することは考えていない。政府としては、平成二十六年度補正予算や平成二十七年度予算に基づく施策を着実に実行するとともに、より力強い賃金上昇を促し、過去最高水準の企業収益からの投資を喚起することにより、経済の好循環を更に拡大・深化させていく。いずれにせよ、経済動向を引き続き注視し、経済財政運営に万全を期してまいりたい。
内閣府が平成二十七年八月十四日の閣議に配布した「平成二十七年度年次経済財政報告」では、デフレからの脱却と経済再生に向けた取組が進み、デフレ状況ではなくなる中、経済の好循環が着実に回り始めた結果、企業活動や雇用を含む幅広い分野で、およそ四半世紀ぶりとなる良好な経済状況がみられるようになった旨を記述しているところであり、「不適当」との御指摘は当たらないものと考えている。
「平成二十七年度年次経済財政報告」では、平成二十六年四月の消費税引上げに伴う駆け込み需要の反動減が、平成二十六年度のGDP全体を前年度比一・二パーセントポイント程度押し下げたとの試算をお示ししている。
他方、「経済財政の中長期試算」(平成二十四年一月二十四日内閣府公表)では、社会保障・税一体改革を考慮した場合としない場合の平成二十五年度から平成二十八年度の実質GDP成長率について、年平均で〇・一パーセントポイント程度の差が出るとの試算をお示ししている。
それぞれの試算においては、試算の考え方や、前提となる経済状況等が異なることから、御指摘の計数をもって単純に比較することは困難である。
我が国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にある。安倍内閣としては、経済と財政双方の一体的な再生を目指しており、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」の三本柱の改革を一体として推進することとしている。平成二十九年四月の消費税率の十パーセントへの引上げについては、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、経済環境を整える中で、実施することとしている。引き続き、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」からなる経済政策を一体的に推進することにより、経済の好循環を確かなものとしてまいりたい。
「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十七年七月二十二日経済財政諮問会議提出)は、経済・財政・社会保障を一体的にモデル化した内閣府の計量モデルに基づき試算を行ったものであることから、金利の上昇が経済に与える影響等も織り込まれており、「ずさんな計算」との御指摘は当たらないものと考えている。
なお、お尋ねの金融緩和の「出口戦略」について、日本銀行総裁は、平成二十七年七月十五日の記者会見において、「出口について具体的に議論するのはやはり時期尚早であると思っています」と発言したと承知している。政府としては、日本銀行が、その時々の経済・物価情勢や市場動向を踏まえつつ、適切な対応を行うものと考えている。
お尋ねについては、仮定の御質問であること、また、日本銀行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性は尊重されなければならないことから、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、同行の財務の健全性については、まずは同行において関係法令の規定に則して適切な運営が図られるべきものであると考えている。
また、同行は、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律(平成十三年法律第百三十一号)第三条第一項に規定する「銀行等及びその子会社等」に該当しないため、同項及び同条第二項の規定は適用されない。