衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十七年十月二日受領
答弁第四五三号

  内閣衆質一八九第四五三号
  平成二十七年十月二日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員本村賢太郎君提出川内原発における火山の危険性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員本村賢太郎君提出川内原発における火山の危険性等に関する質問に対する答弁書



一について

 九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「川内原子力発電所」という。)の発電用原子炉の設置変更許可に係る申請(以下「設置変更許可申請」という。)に関する審査において、九州電力株式会社は、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を検討し、川内原子力発電所の運用期間中において、噴火の規模を噴出物の総体積に基づき指数化した火山爆発指数七以上の噴火が生じる可能性は十分小さいと評価しており、原子力規制委員会はこれを妥当であると判断している。
 その上で、念には念を入れて、火山爆発指数七以上の噴火の可能性が十分小さいことを継続的に確認することを目的として、九州電力株式会社は、火山活動のモニタリングを実施することとしている。

二について

 お尋ねの「火山が噴火した場合」の影響については、川内原子力発電所と火山との距離、噴火の規模等により異なるため、一概にお答えすることは困難であるが、原子力発電所の火山影響評価ガイド(平成二十五年六月十九日原子力規制委員会決定。以下「火山影響評価ガイド」という。)においては、「原子力発電所の運用期間中において設計対応不可能な火山事象によって原子力発電所の安全性に影響を及ぼす可能性が十分小さいと評価された火山について、それが噴火した場合、原子力発電所の安全性に影響を与える可能性のある火山事象」について、火山と原子力発電所との距離、噴火の規模等を踏まえて、その影響評価を行うこととしている。
 川内原子力発電所の設置変更許可申請に係る審査において、火山影響評価ガイドを踏まえ、原子力発電所への火山の影響を評価しており、その一環として、降下火砕物については、桜島における桜島薩摩噴火(約一万二千八百年前、噴火規模は約十一立方キロメートル)によるものが川内原子力発電所の敷地(以下「敷地」という。)において最も影響が大きいと評価し、文献調査によって層厚が十二・五センチメートル以下であること及び地質調査によって敷地付近に降下火砕物が認められないことを踏まえ、シミュレーションによる検討を行い、シミュレーション結果よりも保守的に降下火砕物の層厚を十五センチメートルと設定していることを確認している。
 また、降下火砕物以外の火山事象である火山性土石流、火山泥流等の影響については、いずれも敷地に影響を及ぼさないことを同審査において確認している。

三について

 敷地において最も影響が大きいと評価した火山事象である降下火砕物については、川内原子力発電所の設置変更許可申請に係る審査において、火山影響評価ガイドを踏まえ、原子力発電所への火山の影響を評価しており、その一環として、直接的影響によって実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)第二条第二項第八号に定める安全施設の安全機能が損なわれない設計方針であることを確認している。具体的には、安全機能を有する建屋及び屋外施設について降下火砕物の堆積等による荷重に対して安全裕度を有することにより構造健全性が失われないこと、外気取入口を有する安全施設についてフィルタ等の設置により降下火砕物の侵入防止対策を講じていること等により、安全機能が損なわれない設計方針であることを同審査において確認している。
 また、降下火砕物の間接的影響による外部電源の喪失等を想定し、そのような場合においても、原子炉及び使用済燃料プールの安全性を損なわないように、ディーゼル発電機、燃料油貯蔵タンク等を備えるとともに、ディーゼル発電機の七日間の連続運転が可能であることを同審査において確認している。
 さらに、降下火砕物の影響により、原子力災害時においてあらかじめ定めている避難経路が使用できない場合への備えについては、鹿児島県地域防災計画において講じられている。具体的には、同計画において、鹿児島県及び関係市町村は、代替経路の選定を行うとともに、被害を受けた道路について、速やかに復旧し、交通の確保に努めることとされている。また、同計画において、鹿児島県知事及び関係市町村長の要請により派遣される自衛隊の活動内容として、道路若しくは水路が損壊し、又は道路若しくは水路に障害物がある場合は、それらの啓開又は除去に当たることが挙げられている。

四について

 原子力発電所を再稼働させるか否かを判断し、法令上の手続に従って、必要な申請を行うのは、原子力事業者である。また、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」こととしており、これは、政府の一貫した方針である。さらに、同計画において、原子力発電所について、「万が一事故が起きた場合には、国は関係法令に基づき、責任をもって対処する」こととしている。
 したがって、原子力発電所について、万が一事故が起きた場合には、原子力災害の拡大の防止等に必要な措置の実施や原子力損害の賠償等について、その一義的な責任は、原子力事業者が負うこととなるが、政府としても、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)等の関係法令に基づき、緊急事態応急対策等の実施のために必要な措置を講ずる等の責務を有するものと認識している。

五について

 エネルギー基本計画において、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」こととしており、これが政府の方針である。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.