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平成二十八年十一月十八日受領
答弁第一二六号

  内閣衆質一九二第一二六号
  平成二十八年十一月十八日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員福田昭夫君提出政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員福田昭夫君提出政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないかという疑問に関する質問に対する答弁書



一、二、四から六まで、九、十及び十三について

 御指摘の「月収三十万円の家計でローン残高が五一四三万円」という例えは、平成二十六年度当初予算において我が国の税収及び税外収入の合計額が五十四・六兆円程度である一方、当時の国の長期債務残高が七百八十兆円程度であることを分かりやすく示したものである。
 国の財政と家計に関して、それぞれの債務はいずれも期日までに返済する必要があるという共通点を踏まえ、我が国の財政状況について国民の理解を深めることを目的として、財務省のホームページにおいて我が国の財政を家計に例えた資料を掲載しているところであり、「国民の持つ将来不安を増大させる」との御指摘は当たらない。
 また、このような趣旨に鑑み、政府として、御指摘の「インフレのお蔭で国の借金を実質的に減らしている」ことを家計に例えて示すことは考えていない。
 我が国の財政状況は、極めて厳しい状況にあるが、政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)に沿って引き続き財政健全化の取組を着実に進め、国債に対する信認を確保していくとともに、今後とも、財政について、国民に理解を深めていただくよう取り組んでまいりたい。

三及び八について

 御指摘の「日銀はお金を刷って国債(国の借金)を買い取っている」及び「この家庭では離れでお札を印刷することが許されていて」の意味するところが必ずしも明らかではないが、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第五条本文においては、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない」とされており、これに抵触する日本銀行による公債の引受け等については禁じられている。したがって、御指摘のような例えを使用することは不適切である。

七について

 御指摘の「国の財政を家計に例えている限り、借金返済の方法は非現実的な第一の方法しかありえず」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国の財政は、極めて厳しい状況にあり、政府としては、経済・財政再生計画に基づき、平成三十二年度の財政健全化目標の達成に向けて、経済と財政双方の再生を目指す経済・財政一体改革に取り組むこととしている。

十一について

 先の答弁書(平成二十八年十月七日内閣衆質一九二第一八号。以下「一八号答弁書」という。)一及び十について及び先の答弁書(平成二十八年十月二十八日内閣衆質一九二第七六号。以下「七六号答弁書」という。)一、五及び八についてでお答えしたとおり、国債の価格や長期金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであると考えている。黒田東彦日本銀行総裁も、長期金利について、平成二十八年九月二十一日の記者会見において、「短期金利と同じように完全にコントロールできるかという議論であれば、それは短期金利と全く同じようにできるとは言っていません」と発言している。その上で、平成二十五年一月二十二日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」にもあるように、「持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」ことを含め、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び同行の政策連携を強化し、一体となって取り組んでいくこととしており、「政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っている」との御指摘は当たらない。

十二について

 七六号答弁書六についてでお答えしたとおり、一八号答弁書七についてでは、一般に、利子が付されておらず、かつ、元本の償還が約束されていない債券には経済的価値が認められないことを踏まえ、先の質問主意書(平成二十八年九月二十七日提出質問第一八号)七において御指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認を著しく損なうおそれがある旨を述べたものであり、「政府が国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っている現れではないか」との御指摘は当たらない。

十四について

 成長戦略において、国民生活を豊かにし、企業の生産性を向上させるため、必要な改革をちゅうちょなく断行してきた。
 例えば、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成二十七年法律第六十三号)により、農業協同組合制度を抜本的に改革し、企業が農業に参入しやすくした。環太平洋パートナーシップ協定では、原署名国になった。観光では、査証緩和措置に加え、継続的な訪日プロモーション、免税店や免税対象品目の拡大等観光客誘致のための取組等を実施しており、平成二十七年、訪日外国人観光客は、過去最高となった。加えて、電力の小売市場を全面自由化した。さらに、法人実効税率を二十パーセント台に引き下げた。
 こうした構造改革は、意欲ある者の創意工夫を促し、個人一人一人がその潜在力を開花する「生産性革命」につながり、日本経済の成長に貢献するものである。
 さらに、経済成長の果実を生かして、安心できる社会基盤を築き、成長と分配の好循環を強固なものとするものとしており、御指摘の「弱者切り捨て」を行うものではない。

十五について

 企業がどのような雇用形態の者をどの程度採用するかは、個別の事情によって様々であることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、正規雇用労働者数は、平成二十七年に八年ぶりに対前年比で増加に転じていることから、「改善したのは非正規だけである。いつでも解雇できる非正規の人しか採用しない」との御指摘は当たらない。

十六及び十七について

 我が国においては、安倍内閣の経済財政政策によって、名目GDPは増加している。
 また、我が国の財政状況については、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らんでいることは事実であり、「国の借金が多いと言って将来不安を煽っている」及び「将来不安を煽り、緊縮財政を行った」との御指摘は当たらない。一般論としては、経済再生を実現しGDPを拡大することと債務残高を抑制することが債務残高対GDP比の安定的な引下げにつながることになる。したがって、経済再生と財政健全化の両立に向けて、引き続き、基礎的財政収支の黒字化を目指し、その改善に取り組んでまいりたい。

十八について

 七六号答弁書一、五及び八についてでは、日本銀行は、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(平成二十八年九月二十一日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続する旨を述べたものであり、お尋ねのような、インフレ率が二パーセントを超えれば途端に金融政策が無効となり、国債が暴落することになることやインフレ率が安定的に二パーセントを超えていくことにより財政が健全化する旨を述べたものではない。なお、政府としては、今後とも、財政健全化の取組を着実に進め、国債に対する信認の確保に努めてまいりたい。



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