答弁本文情報
平成二十九年二月三日受領答弁第二六号
内閣衆質一九三第二六号
平成二十九年二月三日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出いわゆる共謀罪と東京五輪の関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出いわゆる共謀罪と東京五輪の関係に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「国内法が最低限具備すべき要件」の具体的に意味するところが必ずしも明らかでないが、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)を締結するためには、本条約が義務付けている内容を履行する必要があるものと認識している。
御指摘のホームページの記載は、平成十八年十月に掲示したものであり、我が国の現行法の内容を踏まえ、当時国会に提出していた犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案において新設することとしていた同法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六条の二の罪(以下「組織的な犯罪の共謀罪」という。)を設けず、現行法のままの状態であるとすれば、本条約が定める義務を満たすことができないことを述べたものである。
他方、政府は、現在、組織的な犯罪の共謀罪に関する過去の国会における御議論を踏まえ、本条約が定める義務を満たすための法整備の在り方として、テロ組織を含む組織的な犯罪集団と関わりがない方々が処罰の対象とならないことを明確にし、また、合意に加えて実行の準備行為が行われた場合に限り処罰の対象とするものとすること等を検討中である。そして、御指摘の安倍内閣総理大臣の答弁は、このような現在検討中の法整備の趣旨について、端的に「テロ等準備罪」と表現し、組織的な犯罪の共謀罪とは明確な相違があることを述べたものである。
一般的に、他国が条約を国内で実施するに当たりいかなる立法措置を講じているかについて、我が国として必ずしも網羅的にその詳細を承知しているわけではないことから、お尋ねの国数については、いずれについてもお答えすることは困難である。
三年後に差し迫った二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の開催に向けて、本条約を締結し、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と戦うことは重要な課題であり、テロを含む組織犯罪に対処するための万全の態勢を整えることは、開催国の当然の責務であると考えている。