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答弁本文情報

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平成二十九年三月二十八日受領
答弁第一四〇号

  内閣衆質一九三第一四〇号
  平成二十九年三月二十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対する答弁書



一及び二について

 平成二十八年七月の相模原市の障害者支援施設における事件を受け、同年八月に厚生労働省において参集を求めた相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チームにおける事件の検証等を行うこと等により、精神保健医療福祉に係る制度について検討を行った。その結果、被告人は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「法」という。)第二十九条第一項の規定による入院(以下「措置入院」という。)から退院した後、必要な医療その他の援助を十分受けられておらず、現在の法については、措置入院又は法第二十九条の二第一項の規定による入院(以下「緊急措置入院」という。)をした者(以下「措置入院者等」という。)が退院後の医療その他の援助を確実に受けられる仕組みがない等の課題があり、こうした援助の強化等を行うことが今回のような事件を再び生まないことにもつながる点で極めて重要と考えている。
 現在、国会に提出している精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)については、先の答弁書(平成二十九年三月十七日内閣衆質一九三第一一四号)でお答えしたとおり、こうした現在の法の課題を踏まえ、措置入院者等の退院後の医療その他の援助の強化等を通じ、措置入院者等の社会復帰の促進等を図るため提出したものである。なお、政府としては、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していく考えである。

三について

 改正法案においては、措置都道府県(改正法案による改正後の法第四十七条の二第一項に規定する措置都道府県をいう。以下同じ。)に対し、措置入院者等について、必要に応じて関係都道府県等(同項に規定する関係都道府県等をいう。以下同じ。)と共同して、原則として退院後の医療その他の援助の関係者をもって構成する精神障害者支援地域協議会における協議をした上で、退院後支援計画(同項に規定する退院後支援計画をいう。以下同じ。)を作成することを義務付けるとともに、退院後支援計画を作成した措置都道府県又は関係都道府県等に対し、退院後支援計画に基づく相談指導等を行うことを義務付けている。この退院後支援計画は、措置入院者等が、その社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を適切かつ円滑に受けることができるよう、措置都道府県及び関係都道府県等を中心に、措置入院者等の退院後の医療その他の援助に関わる地域の関係者が協力して対応することができるようにするための仕組みである。これは、地域包括ケアシステムの考え方に沿った対応であり、行政による犯罪抑止のための継続的な管理や監視を目的とするものではない。なお、改正法案の成立後、こうした制度の趣旨に沿って改正法案が運用されるよう、精神障害者支援地域協議会を組織することとしている保健所を設置する地方公共団体に周知していく予定である。

四について

 退院後支援計画は、原則として、措置入院をした者についてはその入院中に作成することとしているが、緊急措置入院をした者又は措置入院をした者について入院期間が短い場合その他やむを得ない理由がある場合については、その退院後速やかに作成するものとしており、退院後支援計画の作成に時間を要することを理由として入院期間が長くなるようなことがない仕組みとしている。
 また、退院後支援計画の作成に当たっては、精神障害者支援地域協議会において、可能な限り患者本人及びその家族(以下「患者本人等」という。)から意見を伺い、退院後支援計画の内容について、患者本人等の意向を踏まえるよう努めるべきことを保健所を設置する地方公共団体に周知していく予定である。
 退院後支援計画に基づく医療その他の援助を行う期間については、改正法案において、退院後支援計画の記載事項とすることとしている。具体的には、措置入院者等が退院後にその社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を受けることができるよう、患者の病状等に応じた期間が設定されることを想定している。

五について

 法第三十三条第一項又は第三項の規定による入院(以下「医療保護入院」という。)については、実施に当たり法第十八条第一項に規定する精神保健指定医による医学的な判断に加えて、本人の利益を勘案できる者による入院の必要性の判断を行うことが、本人の権利擁護を適切に行う観点から必要と考えられる。このため、法では、原則として、本人についての情報をより多く把握していることが期待できる法第三十三条第二項に規定する家族等が、医療保護入院の同意を行うことが要件とされており、改正法案においてこの要件を廃止することは適当でないと考えている。



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