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答弁本文情報

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平成二十九年五月十二日受領
答弁第二六〇号

  内閣衆質一九三第二六〇号
  平成二十九年五月十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員逢坂誠二君提出国際組織犯罪防止条約の留保付き批准に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員逢坂誠二君提出国際組織犯罪防止条約の留保付き批准に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の外務省ホームページの記述において示された政府の見解に変更はない。

二及び三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、米国の国内法制については、我が国として必ずしも網羅的にその詳細を承知しているわけではないことから、お答えすることは困難であるが、米国は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)の締結に際し、「アメリカ合衆国は、本条約が定める義務について、連邦制度という自国の基本原則に合致するような方法で引き受ける権利を留保する。連邦制度の下では、本条約の対象とする行為に関して連邦刑法及び州刑法の双方を考慮することが必要とされる。・・・純粋に地域的な性質を有する僅かな犯罪に関し、本条約が定める義務を満たす上で合衆国連邦刑法及び州刑法が完全には十分でない可能性のある状況を少数ながら想定し得る。そこで、アメリカ合衆国は、このような狭い範囲の極めて地域的な活動に関する限りにおいて、本条約が定める義務を留保する。」という趣旨の留保を行ったと承知している。

四から六までについて

 御指摘の「個別にループ・ホール(処罰の抜け穴)をなくすような立法措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本条約第五条1は、犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪として、同条1(a)(@)が規定する行為であって故意に行われたもの又は同条1(a)(A)が規定する行為であって故意に行われたものの一方又は双方を犯罪とすることを義務付けているところ、我が国の現行の国内法制においては、同条1(a)(A)に規定する行為が処罰の対象とはされておらず、また、ごく一部の罪に係るものを除き、同条1(a)(@)に規定する行為も処罰の対象とはされていないことから、当該義務は担保されておらず、本条約を締結するためには、当該義務を誠実に履行するための法整備として、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六条の二の罪を設けることが必要であると考えている。

七及び八について

 本条約第十六条7は、本条約に基づく犯罪人引渡しが、請求を受けた締約国の国内法に定める条件又は適用可能な犯罪人引渡条約に定める条件に従う旨並びにこれらの条件には犯罪人引渡しのために最低限度必要とされる刑に関する条件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができる理由を含む旨を規定したものであり、御指摘のような「死刑廃止国が死刑残置国に犯罪人引渡しを拒否することができる規定」ではない。また、一般に、我が国が外国に対して逃亡犯罪人の引渡しを請求した場合における当該請求を受けた国の対応は、適用可能な条約の有無、当該国の法制度やその運用等にもよるものであり、一概に述べることは困難である。
 いずれにせよ、我が国が本条約を締結した場合には、本条約の締約国から捜査共助等の刑事司法上の協力を得ることが可能となる範囲が拡大し、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と戦う上で、大きな意味があるものと考えている。



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