答弁本文情報
平成二十九年六月二日受領答弁第三四〇号
内閣衆質一九三第三四〇号
平成二十九年六月二日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出一般の方々が共謀罪の嫌疑対象にならないという金田法務大臣の発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出一般の方々が共謀罪の嫌疑対象にならないという金田法務大臣の発言に関する質問に対する答弁書
一から四まで、七及び八について
現在国会で審議中の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六条の二第一項又は第二項の罪(以下「本罪」という。)は、同法別表第四に掲げる罪に当たる行為で、「組織的犯罪集団・・・の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」又は「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は・・・組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるもの」の遂行を「二人以上で計画」し、「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われた」と認められる場合に限り、処罰の対象とするものとしている。
また、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百八十九条第二項が「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする」と規定していること等から、捜査は、特定の犯罪についての具体的嫌疑がある場合に限り行われるものである。
その上で、お尋ねの「一般の方々が当該対象になった時点で一般の方々ではなくなる」の意味するところが明らかではないが、御指摘の平成二十九年五月十九日衆議院法務委員会における金田法務大臣の答弁(以下「本件答弁」という。)は、「組織的犯罪集団とかかわりのない一般の方々」、すなわち、何らの団体にも属しておらず、又は通常の団体に属して通常の社会生活を送っている方々については、故意により「組織的犯罪集団」に係る犯罪の遂行を計画することがそもそも考えられないことから、本罪について具体的嫌疑が生じて捜査の対象となることはなく、また、仮に告発があった場合にも、本罪の嫌疑が生じることはないため、告発人から告発内容を聴取する等の行為を超えて右に述べた具体的嫌疑の有無についての調査・検討の対象となることもないとの趣旨を述べたものである。
一から四まで、七及び八についてで述べたとおり、本件答弁における「調査、検討」とは、本罪について告発があった場合において、本罪の具体的嫌疑の有無について調査・検討をする行為を指して用いたものであり、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第二条に規定する警察の責務を達成するための業務について述べたものではない。
その上で、同条の責務を果たすために行う情報収集等の活動は、公共の安全と秩序の維持のために必要な場合に行っているものであり、その対象となるかどうかは、本件答弁にいう「一般の方々」に当たるかどうかとは観点が異なり、お尋ねにお答えすることは困難である。