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平成三十年十一月二十日受領
答弁第五五号

  内閣衆質一九七第五五号
  平成三十年十一月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員山井和則君提出政府が進める「外国人材の受入れ」による外国人労働者への適正な賃金の支払い等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出政府が進める「外国人材の受入れ」による外国人労働者への適正な賃金の支払い等に関する質問に対する答弁書



一について

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案による改正後の出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「改正後入管法」という。)により設けられる「特定技能」の在留資格をもって在留する外国人(以下「特定技能外国人」という。)については、改正後入管法第二条の五第一項において、「本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約」は、「外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇」について、「差別的取扱いをしてはならないことを含」め「法務省令で定める基準に適合するものでなければならない」こととしており、改正後入管法第十九条の十九から第十九条の二十一までにおいて、「特定技能所属機関による特定技能外国人の受入れが出入国又は労働に関する法令に適合すること」等を確保するため、出入国在留管理庁長官に「特定技能所属機関」に対する指導及び助言のほか、報告徴収、立入検査及び改善命令等の権限を付与することとしている。
 また、一般に、使用者が、労働者の国籍を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをすることは、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三条の規定により禁止されており、労働基準監督署においては、監督指導を実施した際に、同条の違反が認められた場合には、使用者に対して、その是正の指導等を行っているところであり、同条の規定に違反した者は、同法第百十九条により、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するとされている。

二について

 お尋ねについては、先の答弁書(平成三十年十一月二日内閣衆質一九七第一三号)三及び四についてでお答えしたとおり、改正後入管法により設けることとしている「特定技能」の在留資格に係る制度においては、改正後入管法第二条の五第一項において、「外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約」は、「法務省令で定める基準に適合するものでなければならない」とし、同条第三項において、「特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関」は、「法務省令で定める基準に適合するものでなければならない」とするとともに、改正後入管法第十九条の十九から第十九条の二十一までにおいて、「特定技能所属機関による特定技能外国人の受入れが出入国又は労働に関する法令に適合すること」等を確保するため、出入国在留管理庁長官に「特定技能所属機関」に対する指導及び助言のほか、報告徴収、立入検査及び改善命令等の権限を付与することとしている。

三について

 お尋ねの「特定技能一号の外国人労働者」が健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第一項に規定する被保険者に該当し、かつ、お尋ねのその「出身国に居住する配偶者」が同条第七項に規定する被扶養者等に該当する場合には、当該「特定技能一号の外国人労働者」は同法第百十四条に基づく家族出産育児一時金等の支給を受けることができる。

四について

 お尋ねの「特定技能一号の外国人労働者」に限らず、一般に、本邦に在留中の外国人が婚姻できるかは、婚姻の成立に関する準拠法によることになるため、一概にお答えすることは困難である。

五について

 お尋ねの「特定技能一号の外国人労働者」に限らず、一般に、求職者はハローワークの職業紹介事業を利用することができ、全てのハローワークにおいて、お尋ねの「中国語、ベトナム語」を含む十言語による職業相談に対応するため、通訳を交えて三者で通話を行う「多言語コンタクトセンター」を設置しているほか、全国五百四十四か所のハローワーク中、百二十八か所のハローワークにおいて相談窓口に通訳員を配置するなどの対応を行っている。

六について

 民法(明治二十九年法律第八十九号)においては、当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、労働者側から契約の解除をすることができるところ、お尋ねの「特定技能一号の外国人労働者」に限らず、特定技能外国人は、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約」に基づいて活動を行うものであり、在留資格の変更の許可を受けた場合には、別の「本邦の公私の機関との雇用に関する契約」に基づいて活動を行うことができる。
 また、五についてで述べたとおり、お尋ねの「特定技能一号の外国人労働者」に限らず、一般に、求職者は、ハローワークの職業紹介事業を利用することができる。

七について

 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第一項の規定に違反した者は、同法第四十条により、五十万円以下の罰金に処するとされているほか、労働基準法第三十二条又は第三十七条第一項の規定に違反した者は、同法第百十九条により、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するとされている。
 また、お尋ねの「摘発」の意味するところが必ずしも明らかではないが、全国の労働基準監督署が技能実習生を受け入れている実習実施者に対して監督指導を行い、労働基準関係法令違反が認められた件数は、平成二十五年が千八百四十四件、平成二十六年が二千九百七十七件、平成二十七年が三千六百九十五件、平成二十八年が四千四件、平成二十九年が四千二百二十六件である。
 労働基準関係法令違反が認められた件数がこのような状況である理由は必ずしも明らかではないが、技能実習制度においては、制度の趣旨が理解されずに安価な労働力の確保策として使われ、労働関係法令違反が生じていた等の問題があったことなどから、問題点の改善を行うなどするため、平成二十八年に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)が制定されたところであり、政府としては、その運用状況について注視しつつ、今後とも事業主に労働関係法令を遵守させることに努めてまいりたい。

八について

 お尋ねについては、把握していない。

九について

 お尋ねの「特定技能一号ないしは二号の外国人労働者」が健康保険法に定める被保険者の要件に該当する場合には健康保険の被保険者となり、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める被保険者の要件に該当する場合には国民健康保険の被保険者となる。

十について

 お尋ねの「特定技能一号ないしは二号の外国人労働者」が厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に定める被保険者の要件に該当する場合には厚生年金保険の被保険者となり、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)に定める被保険者の要件に該当する場合には国民年金の被保険者となる。

十一について

 「特定技能」の在留資格においては、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」は、原則として、一の公私の機関とすることを想定しており、また、法務省令において、フルタイムの労働条件でない場合は、原則として、改正後入管法第二条の五第一項の基準に適合しないものと定めることを予定している。

十二について

 お尋ねの「特定技能一号ないしは二号の外国人労働者の配偶者」が国民年金法第七条第一項第三号に定める第三号被保険者の要件に該当する場合には国民年金の第三号被保険者となり、同法に基づく年金たる給付の支給要件を満たす場合には、その給付を受けることが可能である。



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