答弁本文情報
令和三年十一月十九日受領答弁第一八号
内閣衆質二〇六第一八号
令和三年十一月十九日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員長妻昭君提出岸田首相の就任前後の発言のブレに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出岸田首相の就任前後の発言のブレに関する質問に対する答弁書
御指摘の令和三年九月八日の記者会見における「小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する」及び「小泉改革以降の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした、他方で富める者と富まざる者の格差と分断を生んだ。コロナ禍で国民の格差がさらに広がった」の趣旨については、同年十月十三日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「アベノミクスは、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。我が国経済の成長、そして体質強化に大きな役割を果たしました。他方、世界における千九百八十年代からの新自由主義的な政策に伴い、各国において格差の拡大が生じたということが指摘をされています。」及び「この新自由主義的な政策には様々な捉え方があるとは思いますが、市場原理あるいは競争原理、優勝劣敗、こうした考え方に偏重したという評価が多くあります。私が目指すのは、そうした単に市場や競争に任せるのではなく、官と民が共に役割を果たしながら成長を実現し、そして果実をできる限り多くの方々に所得という形で実感いただける、こういった社会を目指していきたいと存じます。」と述べているところである。
また、御指摘の「コロナ禍で国民の格差が広がった」の根拠としては、例えば、同年一月から六月までの雇用者数の平均と、平成三十一年一月から令和元年六月までの雇用者数の平均とを産業別・雇用形態別に比べると、需要が増加している情報通信業や医療・福祉等では正規雇用が増加しており、正規雇用として相対的に高い収入を確保する者が増えた一方、新型コロナウイルス感染症の影響が大きい宿泊・飲食サービス業や生活関連サービス・娯楽業では、女性を中心に非正規雇用が大きく減少しており、収入が減少する者が増えたことが挙げられる。
御指摘の令和三年九月二日の報道番組における発言の趣旨については、同年十月十三日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「森友学園問題については、財務省において捜査当局の協力も得て事実を徹底的に調査し、自らの非を認めた調査報告、取りまとめております。また、会計検査院も二度にわたる検査報告を国会に提出をしております。さらに、第三者である検察の捜査も行われ、結論が出ているものと承知をしております。本件については、これまでも国会などにおいて様々なお尋ねに対し説明を行ってきたところと承知をしており、今後も必要に応じてしっかりと説明をしてまいります。」と述べているところである。
御指摘の同年九月八日の記者会見における金融所得課税の見直しに係る発言の趣旨については、同年十月十二日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「成長と分配の好循環を実現するための様々な分配政策の選択肢の一つとして掲げてまいりました。分配政策としては様々な政策を考えております。その優先順位が重要であると考えています。分配政策としては、賃上げに向けた税制の強化、そして下請対策の強化など、まずやるべきことがあると考えております。」と述べているところである。
御指摘の同年九月十五日の報道番組における発言の趣旨については、同年十月十三日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「選択的夫婦別氏制度の導入については、国民の間に様々な意見があると承知をしております。私は、政治家として選択的夫婦別氏制度の、制度に賛成の方の声にも反対の方の声にもしっかりと耳を傾けてきたつもりであり、それらの声を踏まえた上で、本件は引き続きしっかりと議論すべき問題であると考えているところであります。」と述べているところである。
御指摘の同月四日の記者会見における発言の趣旨については、同月十二日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「成長なくして分配なし。同時に、分配なくして次の成長もなしであります。成長の果実をしっかりと分配することで初めて次の成長が実現いたします。」と述べているところである。
いずれにせよ、「岸田文雄首相の首相就任前後の発言に大きなブレがみられる」との御指摘は当たらないと考えている。