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答弁本文情報

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令和五年六月三十日受領
答弁第一三八号

  内閣衆質二一一第一三八号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員櫻井周君提出実質賃金が十三か月連続マイナスの原因分析と対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員櫻井周君提出実質賃金が十三か月連続マイナスの原因分析と対策に関する質問に対する答弁書


一及び二について

 お尋ねの「実質賃金上昇率のマイナスが十三か月連続の原因」については、様々な要因が考えられることから、一概にお答えすることは困難であるが、毎月勤労統計調査の結果における実質賃金の対前年同月比が、令和四年四月から令和五年四月までの間マイナスが続いていることについては、主に消費者物価指数の上昇が寄与していると認識している。
 また、御指摘の「岸田内閣の経済政策の効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、賃上げの状況については、毎月勤労統計調査の結果によれば、名目賃金の対前年同月比は令和四年一月以降十六箇月連続プラスとなり、令和四年度の平均ではプラス一・九パーセントと三十一年ぶりの大きな伸びとなり、日本労働組合総連合会が公表している「二千二十三春季生活闘争」の「回答集計結果」における賃上げ率は三十年ぶりとなる高い水準となっており、賃上げに向けた力強い動きが出てきていると認識している。
 政府としては、引き続き、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二〇二三改訂版・成長戦略等のフォローアップ」(令和五年六月十六日閣議決定)に基づき、「構造的に賃金が上昇する仕組みを作」る観点から、「三位一体の労働市場改革」や「GXやDX等の中長期的成長が見込まれる戦略分野」への投資等により、付加価値の増大を図り、成長と分配の好循環の実現を図ることとしている。

三について

 「日本の実質賃金が低迷している原因」については、様々な要因が考えられることから、一概にお答えすることは困難である。なお、近年、日本の雇用者全体の賃金を表す総雇用者所得は名目・実質ともに増加しているものの、女性や高齢者の労働参加を背景に、相対的に賃金水準の低い非正規雇用労働者が増加したことが、賃金の平均値を押し下げている要因の一つとして考えられる。

四について

 お尋ねについては、「日本の賃金を、物価上昇率を上回る水準に引き上げるため」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府として成長と分配の好循環の実現を図ることについては、一及び二についてで述べたとおりである。
 なお、お尋ねの「最低賃金の大幅引き上げ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二〇二三改訂版・成長戦略等のフォローアップ」に記載のとおり、「全国加重平均千円を達成することを含めて、公労使三者構成の最低賃金審議会で、しっかりと議論をいただく」ことや、最低賃金の引上げや賃金引上げのための中小企業の生産性向上を図るための助成措置等を進めることにより、賃金の底上げを図ることが重要であると考えている。
 また、お尋ねの「非正規雇用の正規雇用への転換」については、キャリアアップ助成金による非正規雇用労働者の正規化の促進、同一労働同一賃金の実現、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)に基づく派遣労働者のキャリア形成の促進等の取組を通じて、労働者が納得できる待遇の下で、各々の希望に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現することが重要と考えている。
 さらに、お尋ねの「残業代未払いの取り締まり強化」については、労働基準監督機関においては、事業場に対し監督指導を実施した際に、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十七条第一項及び第四項に規定する割増賃金の不払が認められた場合には、使用者に対して、割増賃金の支払を指導しており、今後とも、事業場に対する監督指導を通じ、労働基準関係法令の遵守徹底に努めてまいりたい。
 加えて、お尋ねの「人手不足である保育や介護などの福祉関係職員の賃金引き上げ」のうち、保育職員等の処遇改善については、「こども未来戦略方針」(令和五年六月十三日閣議決定)において、「民間給与動向等を踏まえた保育士等の更なる処遇改善を検討する」等としたところである。介護職員の処遇改善については、まずは、令和四年二月から実施している介護職員処遇改善支援補助金及び介護職員等ベースアップ等支援加算による処遇改善を含めた介護職員の処遇改善の状況を把握することが重要であると考えており、令和四年度介護従事者処遇状況等調査の結果等を踏まえて検討を進める必要があると考えている。

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