答弁本文情報
令和七年十一月七日受領答弁第一九号
内閣衆質二一九第一九号
令和七年十一月七日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出SORA2と著作権法第三十条の四に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出SORA2と著作権法第三十条の四に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「ユーザーのプロンプトに従い、新たな映像・画像・音声等を自動生成するAI技術の出現」の意味するところが必ずしも明らかではないが、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十条の四を立案する段階において想定されていた人工知能関連技術(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和七年法律第五十三号)第二条に規定する人工知能関連技術をいう。以下同じ。)については、令和五年三月二十九日の参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会において、政府参考人が「平成三十年の著作権法改正におきましては、・・・第三十条の四におきまして、情報解析の用に供する場合など、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない場合には、その必要と認められる限度において方法を問わず著作物を利用することが可能であるというふうに規定をされました。この改正は、・・・文化審議会著作権分科会におきまして平成二十七年度から平成二十八年度にかけて行われました検討及びその報告書において示された方向性を踏まえたものでございます。著作権分科会での当該検討に係る報告書におきましては、柔軟な権利制限規定に関する著作物利用のニーズとしまして、大量の情報の収集、蓄積、解析等々、これにより生まれた著作物を含み得る新たな知識、情報の出力を伴ういわゆるサイバーフィジカルシステムが挙げられておりますこと。また、先ほど申し上げました知的財産推進計画二〇一六におきましてはAIによって自律的に生成される創作物といったものがその検討対象とされていたことなどから、審議会における議論の段階で想定されていたAIとしては、従来からAIの用途として挙げられておりました画像認識等の用途に用いられるAIのほか、生成系AIなどが想定されていたというふうに考えられます。」と答弁したとおりである。
二について
お尋ねの「著作権者の利益を保護しつつ生成AIの発展を阻害しないための制度設計」の意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣に設置された「統合イノベーション戦略推進会議」が開催する「AI戦略会議」及びその下に設置された「AI制度研究会」が令和七年二月四日に取りまとめた「中間とりまとめ」では、「イノベーション促進とリスクへの対応の両立を確保するため、法令とガイドライン等のソフトローを適切に組み合わせ、基本的には、事業者の自主性を尊重し、法令による規制は事業者の自主的な努力による対応が期待できないものに限定して対応していくべきである。」と示されたところであり、第二百十七回国会で成立した人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律は、この考え方に立って立案したものである。
三について
お尋ねの「技術進展に応じた見直しを行わず、今日まで現行の運用を維持してきた」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、著作権法第三十条の四の規定と人工知能関連技術との関係に関する考え方については、令和七年四月十六日の衆議院内閣委員会において、政府参考人が「文化庁におきましては、クリエーター等の権利者からの懸念のお声を受けまして、AIと著作権の関係につきまして議論を行いまして、令和六年三月に、AIと著作権に関する考え方についてを取りまとめたところでございます。特に、AIと著作権に関するクリエーター等の権利者の懸念を払拭する観点から、AI学習のための著作物の利用であっても、いわゆる著作権法第三十条の四の要件を満たさず、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししております。文化庁におきましては、この考え方につきまして、セミナーなどを通じて周知啓発を行うとともに、文化庁において設けられております相談窓口等を通じた著作権侵害に対する具体的な事例の集積を行っているところでございます。こうした周知啓発や事例の集積、そしてAIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。」と答弁したとおりである。
四について
お尋ねの「政府の制度上の予見義務又は監督義務」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
五について
お尋ねの「平デジタル大臣が言及した「オプトイン方式」」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いわゆる「オプトイン」は、権利者の事前の許諾を意味する言葉として用いられているものと認識している。
六について
お尋ねの「SORA2に対する問合せ」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、内閣府では、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条に規定する所掌事務に基づき、人工知能関連技術を活用する事業者の状況を踏まえ、知的財産権に対する懸念の声に配意しつつ適切に対応しているところである。

