答弁本文情報
令和七年十一月七日受領答弁第二〇号
内閣衆質二一九第二〇号
令和七年十一月七日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出AI導入による実質的生産性低下の懸念に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出AI導入による実質的生産性低下の懸念に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「投資回収または業務効率化が実際に達成された事例の割合」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
二について
お尋ねの「政府が支援するAI導入補助金・実証事業」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
お尋ねの「行政機関や自治体において、AIを用いて生成された文書・報告書等が、一次情報の裏付けを欠いたまま意思決定資料として用いられた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(令和七年五月二十七日デジタル社会推進会議幹事会決定。以下「ガイドライン」という。)において、「AI統括責任者(CAIO)は、」「生成AIが事実と異なる情報を出力し(ハルシネーション)、利用者がその情報を利用したことによって利用者もしくは第三者に不利益を与えた」等の「生成AIシステム特有のリスクケースの発生時及び対応後に先進的AI利活用アドバイザリーボード(事務局)に報告する」こととされているところ、これまでその旨の報告は行われていない。また、地方公共団体については、ガイドラインにおける「生成AIシステム特有のリスクケース」について、政府として把握する立場にないため、把握していない。
四について
お尋ねの「企業・自治体におけるAI人材育成研修の多くが操作説明等に偏重し」及び「実効性のある研修体系」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「統計的理解や倫理的判断、業務設計の能力育成」を進めることは重要であると考えており、例えば、経済産業省では「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」において人工知能に係る技術等を習得するための教育訓練講座を認定している。
五について
お尋ねの「「生産性のパラドックス」についてどのように分析しているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ガイドラインにおいて、「生成AIの政府での利活用は、」「様々な事務作業や事務手続の効率化・高度化を実現し、働き方改革や国民サービスの向上等行政の進化と革新を飛躍的に進める可能性がある」とされている一方で、「業務に生成AIを利活用することで行政上の判断の根拠等が不明瞭または追跡不可能となり、行政過程について国民等への説明責任が果たせないリスク」等が「あることにも留意した上で、生成AIの利活用とリスク管理を表裏一体で進めることが必要である」とされているところである。
また、お尋ねの「政策立案においても同様の傾向が生じていないかを検証」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、令和七年八月二十九日の記者会見において、平国務大臣(当時)が「デジタル庁では、本年五月以降、「ガバメントAI」に係る取組の一部として、庁内全職員が利用できる生成AI利用環境、・・・プロジェクト名「源内」を内製開発で構築し、国会答弁検索AIや法制度調査支援AIなど、行政実務を支援する複数の生成AIアプリケーションを提供することで、行政の現場での利用状況や課題を把握するための検証を進めてまいりました。」と述べているところである。
六について
お尋ねの「懸念」があることは承知しているところ、ガイドラインにおいて、「業務に生成AIを利活用することで行政上の判断の根拠等が不明瞭または追跡不可能となり、行政過程について国民等への説明責任が果たせないリスク」等が「あることにも留意した上で、生成AIの利活用とリスク管理を表裏一体で進めることが必要である」とされているところである。

