答弁本文情報
令和七年十一月十一日受領答弁第三一号
内閣衆質二一九第三一号
令和七年十一月十一日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出公正取引委員会による労働組合結成の促進の適否に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出公正取引委員会による労働組合結成の促進の適否に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「労働組合や協同組合の結成を促進・勧奨する権限」について、公正取引委員会がこれを有する旨定められた法令上の規定は承知していない。
二及び三について
公正取引委員会の職員が、その職務を行うに当たって、事業者等に対し、御指摘の「「労働組合をつくるべき」といった趣旨の発言」及び「特定業界の不公正な取引条件や報酬格差の是正を労働組合の結成に委ねるような対応」を行うことはないため、このことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。
その上で、同委員会は、その所管外の事項についても、必要に応じて、事業者等に対し、その利便に資すると考えられる情報を提供している。例えば、同委員会のホームページにおいては、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和五年法律第二十五号)の適用関係について、「発注事業者との関係で、受注事業者が本法の「特定受託事業者」に該当する者であっても、労働組合法・・・における「労働者」と認められる場合があります。この場合、当該発注事業者との関係では、本法が適用されるほか、団体交渉等について同法による保護を受けることができます。」と記載している。また、令和五年十一月に内閣官房及び同委員会が策定した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」においては、「中小企業等協同組合法等に基づく団体協約等・・・を利用すれば、独占禁止法の適用が除外されるため、大企業に対して団体で労務費の転嫁に係る価格交渉を行うことも可能である。」と記載している。加えて、同委員会の職員が、その職務を行うに当たって、必要に応じて、事業者等に対し、同様の情報を提供する場合がある。
四について
御指摘の「実態調査」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、公正取引委員会による事業者等の取引実態を把握するための調査は、これらの調査に係る報告書の公表を通じ、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)上又は競争政策上の問題点及び論点を周知し、事業者等による取引慣行の自主的な改善を促すこと等を図るために実施するものである。
一方で、同委員会においては、その所管する独占禁止法第三条等の規定、下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)第四条第一項等の規定又は特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第三条第一項等の規定に違反する疑いのある行為がみられた場合には、これらの法律の規定に基づき、必要な調査を行うとともに、調査の結果、法令違反等の事実があると認めるときは、行政処分等も含めて厳正に対処することとしている。
五について
御指摘の「公正取引委員会の職員が、所掌外の行政行為(労働組合結成の勧奨等)」を行った事例があるとは承知していないが、いずれにせよ、お尋ねの「ガイドラインの整備や研修の実施」については検討していない。

