答弁本文情報
令和七年十一月十一日受領答弁第三三号
内閣衆質二一九第三三号
令和七年十一月十一日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員緒方林太郎君提出所信表明演説の幾つかの点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員緒方林太郎君提出所信表明演説の幾つかの点に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、御指摘の「政策提案」に係る個別具体の内容や事情等により判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
二の1について
お尋ねの「政府債務残高」については、国際通貨基金や経済協力開発機構などが政府の債務残高に関する様々な指標を公表するなど、その定義は様々であるところ、政府としては、「政府債務残高」に関して、例えば、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」(令和七年八月七日経済財政諮問会議提出)において、国と地方の公債等である普通国債、地方債、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の各残高の合計を示しているほか、令和七年四月九日の財政制度等審議会財政制度分科会に、その事務局である財務省主計局が提出した資料においては、国際通貨基金が公表する一般政府の債務残高と当該債務残高から政府が保有する金融資産を差し引いた純債務残高の対GDP比の数値を示しているところである。
なお、御指摘の同年十月二十四日の高市内閣総理大臣の所信表明演説は、「政府債務残高の対GDP比」に関する様々な指標を確認し、「引き下げていく」ことにより、「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保して」いくという趣旨を述べたものである。
二の2について
二の1についてで述べたとおり、御指摘の「政府債務残高」の定義は様々であるが、例えば、二の1についてで例示した国際通貨基金が公表する一般政府の債務残高の対GDP比の数値は、令和二年をピークに、直近の実績値がある令和五年まで低下傾向にある。その背景については、例えば、令和六年四月五日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「ドーマーの定理によりますと、債務残高対GDP比の変動につきましては、名目成長率と名目金利の大小関係のほか、プライマリーバランスの水準にも左右される」と答弁しているところ、令和二年度に大きな赤字となった国・地方のプライマリーバランスが、その後改善傾向にあるとともに、令和三年度以降、名目経済成長率が名目金利を上回る状況にあるほか、令和七年六月九日の参議院決算委員会において、中山財務省主計局次長が「IMFが公表する一般政府債務残高対GDP比は債務を時価評価しておりまして、足下で金利が上昇する中、債務残高の大きい我が国では時価の減少が比率の低下に大きく寄与していると承知してございます。」と答弁しているとおりである。
二の3について
二の1についてで述べたとおり、御指摘の「政府債務残高」の定義は様々であるが、例えば、令和四年三月十六日の参議院財政金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「ドーマー条件とは、プライマリーバランスが赤字である中で債務残高対GDP比が安定するには成長率が金利よりも高くなければならないという学説であると、そういうふうに理解をいたしております。」と答弁しており、同条件に基づけば、経済成長率が金利を上回る必要があると考えている。
二の4について
二の1についてで述べたとおり、御指摘の「政府債務残高」の定義は様々であるが、例えば、令和六年二月九日の衆議院予算委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「財政の持続可能性を確保するためには、累積する債務残高を中長期的に減少させていくことが重要であります。」と答弁したところであり、政府の債務残高の対GDP比の数値についても引き下げていくことが重要と考えている。
二の5について
お尋ねの「政府債務残高の対GDP比が減少した分」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「今後の財政出動の財源」については、今後の予算編成過程等において検討するものであり、現時点でお答えすることは困難である。
二の6について
お尋ねの「過去に財務当局が累次答弁してきた「純債務残高」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、「純債務残高」に関する指標は、国際通貨基金や経済協力開発機構などが公表していると承知しており、政府としてもこれらの指標を参照することはあるが、ここでいう「純債務残高」の意味については、例えば、令和七年三月十三日の参議院財政金融委員会において、吉野財務省主計局次長(当時)が「IMFのWEO、ワールド・エコノミック・アウトルックにおきましては、総債務残高の数値の対GDP比に加えまして、総債務残高から金融資産のみを差し引いたネットの数値、純債務残高の対GDP比も公表されておりまして」と答弁しているところである。
二の7について
御指摘の「債務残高」の定義は様々である上、お尋ねの「政府の債務を分析する際に有効なもの」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年五月十四日の衆議院財務金融委員会において、中山財務省主計局次長が「我が国の財政状況につきまして、様々な指標を用いて検証し、議論していくこと、これは極めて重要だと考えております。」と答弁しているところであり、このことは、「債務残高」の指標についても同様であると考えている。
三について
御指摘の「ガソリン税の暫定税率」及び「軽油引取税の暫定税率」の廃止に伴い必要となるお尋ねの「安定財源」の確保については、令和七年十一月五日に自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党及び日本共産党の六党により合意された「ガソリン税及び軽油引取税の暫定税率の廃止について」を踏まえ、今後、政府としても適切に対応していくこととしている。
四について
お尋ねの「措置」の具体的な内容については、令和七年十月二十一日の閣議における内閣総理大臣指示(総合経済対策の策定について)に基づく経済対策及びその裏付けとなる補正予算の検討を通じて決定することとしているため、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。
五について
お尋ねの「所信表明演説で述べられた措置」については、現在、その具体化に向けた検討を行っているところであり、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。

