答弁本文情報
令和七年十一月十四日受領答弁第三六号
内閣衆質二一九第三六号
令和七年十一月十四日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員屋良朝博君提出朝鮮国連軍の日本国内の基地使用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出朝鮮国連軍の日本国内の基地使用に関する質問に対する答弁書
一について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「在日国連軍基地」の意味するところが必ずしも明らかではないが、千九百五十年六月二十五日、六月二十七日及び七月七日の国際連合安全保障理事会決議並びに千九百五十一年二月一日の国際連合総会決議(以下「国際連合の諸決議」という。)に従って朝鮮に軍隊を派遣しており又は将来派遣する国であって日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定(昭和二十九年条約第十二号。以下「国連軍地位協定」という。)の当事国であるものの陸軍、海軍又は空軍で国際連合の諸決議に従う行動に従事するために派遣されているもの(以下「国連軍」という。)は、国連軍地位協定第五条2の規定に基づき、国連軍地位協定第二十条に規定する合同会議(以下「合同会議」という。)を通じ我が国政府の同意を得て、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)に基づき、米国の使用に供せられている施設及び区域を使用することができる。したがって、御指摘の「十九か国全て」ではなく、我が国が現在国連軍地位協定を締結している、オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、ニュージーランド、フィリピン、南アフリカ共和国、タイ、トルコ、英国及び米国が、米国の使用に供せられている施設及び区域を使用することができる。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「当該国名を明らかにしている文書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国連軍地位協定の締約国は、国連軍地位協定並びにタイ及びトルコから我が国政府に寄託された国連軍地位協定の加入書に明記されている。
二について
お尋ねの「在日国連軍基地」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、国連軍の運用の詳細に係ることであり、相手国との関係もあるため、お答えを差し控えたい。
三及び五について
お尋ねの「在日国連軍基地」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国連軍地位協定第三条1の規定に基づき、同条1に規定する国際連合軍司令部は、我が国政府に対し、国連軍の構成員、軍属及び家族について、それらの入国者及び出国者の数、入国及び出国の日付、入国の目的並びに滞在予定期間を適切に通告しなければならないとされているところ、当該通告を含め、国連軍地位協定の締約国の軍隊が、国連軍として国連軍地位協定に基づき日本国内において活動する際には、事前に我が国政府と調整を行っており、その際に、国連軍との間の様々なやり取りの中で、朝鮮半島の平和と安全の保持という目的の範囲内で活動することを確認している。お尋ねの「手続」に関するこれ以上の詳細については、国連軍の運用の詳細に係ることであり、相手国との関係もあるため、お答えを差し控えたい。
四について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「日本国内の施設」、「在日国連軍基地」及び「指定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国連軍地位協定第五条1に規定する日本国における施設として、合同会議を通じて合意されているものはない。
後段のお尋ねについては、国連軍の運用の詳細に係ることであり、相手国との関係もあるため、お答えを差し控えたい。
六の1について
お尋ねの「朝鮮議事録」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、仮に外務省が平成二十二年三月九日に公表した外務省調査チーム作成の「いわゆる「密約」問題に関する調査報告書」において「藤山外務大臣とマッカーサー駐日米大使との間で作成された「第一回安全保障協議委員会のための議事録」」と記載されている文書についてのお尋ねであれば、平成二十六年二月十四日の衆議院予算委員会において、岸田外務大臣(当時)が「第一回安全保障協議委員会のための議事録ですが、(中略)この文書につきましては、一九六九年の佐藤総理、ニクソン大統領の共同声明、さらには佐藤総理のナショナルプレスクラブにおける演説による対外的表明によって実質的に置きかわったものと考えられ、今日的な意味はないと考えております。そして、平成二十一年から二十二年、岡田外相時代に行われました外務省におけるこの調査結果を受けて、米国との間で、日米安保条約第五条の規定に基づいて行われるものを除き、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は事前協議の対象であること、さらには、御指摘の議事録の内容は有効ではないことを改めて確認している、このように承知をしております。」と答弁しているとおりである。
六の2について
御指摘の「在日米軍が朝鮮国連軍後方司令部の指揮下の部隊として行動する場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約及びその関連取極と、千九百五十年七月七日の安全保障理事会決議に従って設置された国際連合統一司令部の下にある米国の軍隊との関係についてのお尋ねであれば、平成三十年四月十三日の衆議院外務委員会において、河野外務大臣(当時)が「日米安全保障条約及びその関連取決めと朝鮮国連軍たる米軍との関係につきましては、吉田・アチソン交換公文等に関する岸総理・ハーター国務長官の交換公文において、国際連合統一司令部のもとにある合衆国軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、相互協力及び安全保障条約に従って行われる取決めにより規律されると了解をされております。つまり、朝鮮国連軍の一部を構成する米軍につきましては、日米安全保障条約第六条の実施に関する交換公文、岸・ハーター交換公文に言う事前協議の主題のうち、日米安全保障条約第五条に基づいて行われるものを除いた、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用に該当する、そういう場合には我が国との事前協議が行われることとなります。」と答弁しているとおりである。

