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令和七年十一月十八日受領
答弁第五二号

  内閣衆質二一九第五二号
  令和七年十一月十八日
内閣総理大臣 高市早苗

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員長友よしひろ君提出外国人による森林取得に関する制度運用及び監視体制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長友よしひろ君提出外国人による森林取得に関する制度運用及び監視体制に関する質問に対する答弁書


一について
  
 前段のお尋ねについては、御指摘の「モニタリング・実態把握」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)において、同法第二十五条第一項並びに第二十五条の二第一項及び第二項に規定する保安林については、同法第三十四条第一項、第三十四条の二第一項及び第三十四条の三第一項の規定による立木の伐採を制限する仕組み等が、また、保安林に該当しない民有林については、同法第十条の二第一項の規定に基づく開発行為に対する許可制度並びに同法第十条の八の規定に基づく伐採及び伐採後の造林の届出制度が、それぞれ設けられており、開発や伐採の状況を把握している。
 後段のお尋ねについては、新たに森林の土地の所有者となった者に対する同法第十条の七の二の規定に基づく届出制度(以下「所有者届出制度」という。)により届出が行われた森林について、前段で述べた各種制度の適切な運用が図られるよう、農林水産省としては、保安林制度の事務に係る処理基準、民有林における開発行為の許可基準、伐採及び伐採後の造林の届出をした者に対して市町村が実施する行政指導の留意事項等を定めた通知等を発出し、都道府県や市町村に対し必要な技術的助言等を行っているところである。

二について
  
 前段のお尋ねについては、「外国人・外国法人による森林取得」であるか否かにかかわらず、森林について「リゾート開発、大規模太陽光発電施設、別荘地造成等の用途転換」が森林法及びその関係法令にのっとって適切に行われない場合、森林の公益的機能の発揮に支障を及ぼすおそれがあると考えており、特にこれが要請される保安林については、森林以外の用途に供することを抑制する仕組みが、また、保安林に該当しない民有林については、一定規模を超える開発について、公益的機能の発揮が確保される場合に限り、都道府県知事が許可する仕組みが、それぞれ措置されている。
 後段のお尋ねについては、御指摘の「用途転換が疑われる取得案件」も含めて、一についてで述べた対応を講じているところである。

三について
  
 前段について、お尋ねの「地域偏在の実態」については、農林水産省が都道府県を通じて行った「外国法人等による森林取得に関する調査」によれば、「居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林取得」は、平成十八年から令和六年までに三十道府県で四百十五件が確認されており、取得が確認された森林の所在地としては北海道虻田郡ニセコ町及び倶知安町が二百十八件と多くを占めているところ、これらの森林取得に係る森林の土地の利用の目的としては、「資産保有」、「別荘地開発」その他これに類するものが半数以上を占めている。また、御指摘の「地域資源循環、地元林業、土地取引の透明性の観点から」の「分析」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「地域偏在」により森林の公益的機能に影響が生じているとの事例は承知していない。
 後段のお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「情報公開」については、同調査により外国法人等による森林の取得状況を把握し、調査結果を公表していることに加え、御指摘の「優先的監視体制」については、「外国人等による森林取得が集中」している地域であるか否かにかかわらず、一についてで述べた対応を行っているところである。

四について
  
 お尋ねの「森林取得」の「審査」及び「監視制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、所有者届出制度又は国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十三条第一項の規定による届出により都道府県又は市町村が把握した森林の取得状況に係る情報については、それぞれにおいて必要に応じて情報共有を行っていると承知している。また、水資源の保全の観点から、山間部における水源の涵養の機能を有する森林の土地の取引行為を行う者に対して事前の届出を求める旨の条例を制定している都道府県及び市町村においては、当該条例に基づき把握した森林の土地の取得状況の情報について、関係する都道府県及び市町村との間で必要に応じて情報共有を行っていると承知している。さらに、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号)第五条第一項に規定する注視区域内の土地及び建物(以下「土地等」という。)については、同法第六条に規定する土地等利用状況調査により所有及び利用状況を把握しているほか、同法第七条の規定に基づき、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関は、内閣総理大臣からの求めに応じて、土地等の利用者その他の関係者に関する情報を提供している。
 後段のお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、同法第五条第一項に規定する注視区域においては、同法第六条に規定する土地等利用状況調査を実施し、土地等の所有及び利用状況の実態把握を行うとともに、当該土地等が、同法第二条第二項に規定する重要施設の同条第四項に規定する施設機能又は同条第三項に規定する国境離島等の同条第五項に規定する離島機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、同法第九条に基づき、当該土地等の利用者に対し、勧告又は命令の措置を講ずることができることとされている。

五について
  
 御指摘の「こうした措置」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、「取得後一定期間毎の報告義務」については、一についての前段で述べた各種制度により、開発や伐採の状況を把握するとともに、森林の有する公益的機能の維持を図っていることから、現時点において検討していない。また、「取得目的の詳細把握」については、所有者届出制度において、届出書の備考欄に森林の土地の用途の記載を求めており、これにより取得目的を把握することとしている。「林地開発許可要件の厳格化」については、民有林における開発行為に係る状況の変化に応じて許可基準の厳格化を図ることにより必要な対応を措置してきている。
 なお、農林水産省としては、令和七年十一月の「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」における内閣総理大臣指示を受けて、森林の土地の取得の届出時において国籍を把握する仕組みを検討している。また、当該指示において、「外国人の土地取得等のルールの在り方を検討する」こととしている。

六の第一文について
  
 お尋ねの「未届取引の規模等の実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土利用計画法第二十三条第一項の規定による届出については、これを運用している都道府県等において、登記事項証明書との照合等により同項の規定による届出が行われているかの把握に努めるとともに、届出を行っていない者に対しては届出を行うよう指導すること等により、制度の適切な運用に努めているものと承知している。

六の第二文及び第三文について
  
 森林法第十条の七の二においては、国土利用計画法第二十三条第一項の規定による届出をしていないときは、森林法第五条第一項に規定する地域森林計画の対象となっている民有林について、新たに当該森林の土地の所有者となった者は、市町村の長にその旨を届け出なければならない旨定められている。お尋ねの「森林の取得者把握の実効性」については、これらの制度の適切な運用により確保されるものと考えており、また、お尋ねの「今後の是正策・監視強化の方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、引き続き、都道府県及び市町村と連携し、これらの制度の適切な運用により、森林取得の状況の把握に取り組んでまいりたい。

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