答弁本文情報
令和七年十二月十九日受領答弁第一二〇号
内閣衆質二一九第一二〇号
令和七年十二月十九日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員神津たけし君提出米国関税措置及び日米間の合意に基づく投資イニシアティブに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員神津たけし君提出米国関税措置及び日米間の合意に基づく投資イニシアティブに関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは困難である。
なお、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ二十二において、「この覚書のいかなる内容も、日米両国のそれぞれの関係法令と矛盾してはならない」(仮訳)とされているとおり、株式会社国際協力銀行(以下「JBIC」という。)は、JBICの業務に係る各勘定の収入が支出を償うに足るよう貸付金の利率等を定めるものとする株式会社国際協力銀行法(平成二十三年法律第三十九号)第十三条第二項の規定等に従って、また、株式会社日本貿易保険(以下「NEXI」という。)は、貿易保険の事業の収入が支出を償うに足るよう保険料率を定めることを求める貿易保険法(昭和二十五年法律第六十七号)第四十条第二項の規定等に従って、それぞれ業務を行うこととなる。
二について
御指摘の「日米間の合意に基づく投資イニシアティブ」については、例えば、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ九において、「米国は、米国連邦の土地のリース、交通アクセス、水、電力、エネルギーを投資に関するプロジェクトに可能な場合にアレンジする意思を有するとともに、オフテイク契約をアレンジするよう努める」(仮訳)とされているとおり、米国側による様々な貢献が見込まれるところ、日本側が一方的にJBIC及びNEXIによる出融資等を行うものではない。
また、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ五において、「協議委員会は、とりわけ、それぞれの国の関連する戦略的及び法的な考慮事項について、投資委員会にインプットを提供する」(仮訳)とされているとおり、プロジェクトの選定に当たっては、我が国の政策の方針や法令が考慮されるものと考えている。加えて、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ二十二において、「この覚書のいかなる内容も、日米両国のそれぞれの関係法令と矛盾してはならない」(仮訳)とされているとおり、JBIC及びNEXIは、それぞれ、我が国の利益に資する事業を行うことを前提とする、株式会社国際協力銀行法及び貿易保険法の枠組みの下、業務を行うこととなる。これらにより、我が国の利益に資するようプロジェクトが選定されることとなると考えている。
以上のことから、お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、「対等な関係からは程遠いと考える」との御指摘は当たらないと考えている。
三について
御指摘の「大規模な投資」及び「大規模な投資案件」の規模については、プロジェクトの形成の動向によるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、政府として、民間企業等によるプロジェクトの形成を積極的に促すとともに、JBIC及びNEXIが、出融資等を迅速かつ円滑に行うことができるよう、令和七年度補正予算において、それらの財務基盤の強化等に要する経費を計上したところである。今後も、必要に応じて、適切な措置を検討してまいりたい。
四について
御指摘の「了解覚書」は法的拘束力のある国際約束ではなく、国会の承認を要するものではない。
また、個別のプロジェクトについても、JBIC及びNEXIの出融資等を活用して、民間企業等において形成されるものである。
五について
御指摘の「利用可能なキャッシュフローの分配割合」は、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ九において、「米国連邦の土地のリース、交通アクセス、水、電力、エネルギーを投資に関するプロジェクトに可能な場合にアレンジする意思を有するとともに、オフテイク契約をアレンジするよう努める」(仮訳)とされているとおり、米国側による様々な貢献が見込まれることから、これを踏まえ、日米間の協議を通じて合意されたものであり、当該分配割合に見合った米国側の貢献が見込まれることを前提としている。
六について
お尋ねについては、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ十二において、「投資による全てのフリーキャッシュフローをこの覚書に従って分配させるものとする」(仮訳)とされていることから、個別のプロジェクトの契約等に基づいて、当該プロジェクトの実施期間中、キャッシュフローが分配されることとなる。
七について
お尋ねの「国益」については、御指摘の「了解覚書」に記載されている「経済・国家安全保障上の利益」等について述べたものである。
お尋ねの「日本企業のメリット」については、個別のプロジェクトにより異なるものと考えられることから、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、御指摘の「了解覚書」のパラグラフ十において、「投資及び投資に関連するプロジェクトに商品・サービスを提供するベンダー及びサプライヤーを選択するに当たり、投資委員会は、可能かつ利用できる場合には、比較可能な外国のベンダー及びサプライヤーの代わりに、日本のベンダー及びサプライヤーを選択する」(仮訳)とされていることから、「ベンダー及びサプライヤー」として、御指摘の「日本企業」が、プロジェクトに機器、設備及び原材料を供給することが想定される。
お尋ねの「日本が受ける利益」は、個別のプロジェクトの内容により異なるものと考えられるため、お尋ねのように「評価指標を示し、実績を公表する」ことは想定していない。
八について
JBIC及びNEXIが出融資等を行う、御指摘の「投資イニシアティブ」のプロジェクトについては、政府としては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づく情報開示等を通じ、「透明性」の「確保」に努めてまいりたい。
その上で、御指摘の「協議委員会」は、「了解覚書」のパラグラフ五のとおり、我が国政府と米国政府の「両国から指名される者で構成される」ものであるが、お尋ねの「議事録や提出された資料」の「公開」については、個別企業の経営上の秘密に属する事項や、外交上のやり取りの詳細が含まれ得るため、現時点で一概にお答えすることは困難である。
また、御指摘の「投資委員会」は、「了解覚書」のパラグラフ四のとおり、「米国商務長官が議長を務め」る米国政府が設立する委員会であるため、お尋ねの「議事録や提出された資料」の「公開」について、我が国政府としてお答えする立場にない。

