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平成二十二年十二月一日提出
質問第二二六号

名古屋市議会リコール署名の取り扱いに関する質問主意書

提出者  石川知裕




名古屋市議会リコール署名の取り扱いに関する質問主意書


 この秋、名古屋市の河村たかし市長の減税政策などを支持する市民の団体が市議会のリコール(解散請求)運動を行なった。
 その結果、名古屋市選挙管理委員会に提出された署名数は、四十六万五千五百九十四人分に達し、市議会解散を問う住民投票実施に必要な法定数三十六万五千七百九十五人を、二十七%以上も上回った。
 その後、名古屋市の選挙管理委員会は、署名を審査し、約十一万四千人分で署名集めを担当した「受任者」の欄が空欄になっている、などとして確認に付した。
 その確認方法として、選挙管理委員会は署名者に質問用紙を送付して確認を行なったというが、この質問用紙は、専門家でない市民にとり誤解を生じやすいものであり、誤解の結果、本人の意思とは逆に署名が無効となるような問い方であったとの苦情がある。
 また、署名の有効性の判断に際しても、長年親しんできた住居表示変更前の住所地名で記載してしまったため署名が無効とされたり、生年月日に元号が記載されなかったため無効とされた、あるいは住所が一行で書ききれなかったためにはみ出したものが無効とされていた、押印が濃すぎて無効とされた、悪筆で読みにくいものを無効とされた、などの苦情は枚挙に暇が無いほどである。
 このような「審査」の結果、「不適切な収集方法」や「記載ミス」として無効とされた署名数は全体の二十四%にも達し、一つの市の人口に匹敵する十一万人分にものぼる。
 リコール署名は単に、市議会の解散を問う住民投票を求めるものに過ぎず、直接議会を解散するものではない。しかも署名の有効要件については、事前に十分な説明も受けず、事後的な審査や確認手続きも非専門家である市民に対して、わかりやすいものではなかったとして多数の苦情が出されている。
 地方自治法に定められる住民の大切な権利であるリコール署名の集め方の周知や、事後審査基準が不明確であり、現実に、住所氏名生年月日までも記載した署名が、軽微な形式的な不備等を理由として、ほぼ四分の一も廃棄されるのは極めて異常である。
 通常、署名の有効無効は、本人の実在とその明確な意思が確認できればよいと考えるが、署名として通常要求される程度を著しく超えるほどの厳格さを求めることは、住民の真意の把握に役立つという側面よりも、真意の排除として作用する側面が大きいと考える。
 地方自治は民主主義の学校である。地方自治法が議会制民主主義を補完するものとして住民が直接参加する機会を多く設けているのは、住民の意思に基づく自治を何よりも尊重する故ではないのか。
 元来、選挙管理委員会が独立して置かれている趣旨は、市民の意思をいかに地方自治に反映するかを不偏不党の立場で公正中立に判断するためと理解するが、名古屋市選挙管理委員会による署名審査の取り扱いに関する苦情例を調査すると、選挙管理委員会は、議会を温存するために住民の意思をできるだけ排除しようとしているかのような印象を受ける。
 このように考える立場から、名古屋市のリコール審査に関し、当方の調査により得られた各種の問題点を挙げ、以下質問する。

1 そもそも署名の有効要件について、署名活動を始める前に十分な説明がなかった場合、署名が無効となるリスクは、非専門家である市民に帰すべきなのか。
2 署名の確認手続きにおいて、専門家ではない市民が誤解しやすいような質問状を送り、署名が無効となりやすいような回答を得る行為は、不偏不党、かつ住民の意思を忠実に反映する公正な手続きと言えるか。
 また、調査票の選択肢の持つ意味がよくわからないため、記述式で回答した人など定型を逸脱するものを内容の有無を問わず全て無効とすることは適切と言えるか。
 さらに、調査票を受け取ってもいないのに署名していないと回答したとされていると苦情を訴える署名者が複数いるが、この手続きは適切と言えるか。このような齟齬の生じた原因究明は必要ないか。
3 署名後に死亡した人の意思はすべて無効、転居により署名住所と名簿住所が違う市民も全て無効、住居表示の変更は、あくまでも行政の都合にすぎず、郵便でも旧住所で届くことも多いから、住民にとっては呼びなれた旧住所をうっかり使ったら存在しない住所とするなど、実在した署名者を極力減らす取り扱いはそもそも適切か。
4 自署であれば字の上手下手は問わないはずであるが、読みにくい文字を極力誤記あるいは存在しない住所ないし氏名として扱い、無効とすることは適切か。
5 市議会の解散の是非は、住民投票によって決するのであり、リコール署名活動そのものの効果ではない。相当数の市民が、議会は住民の意思から乖離していると考える現状を問題提起し、全市民の投票に委ねるだけに過ぎない。これは、市民による議会監視を強化し、政治参加の機会を広げるものである。それなのに、瑣末な手続的な瑕疵をもって住民の議会に対する不満の意思を排除することは、選挙管理委員会が、市民の不満を圧殺して議会の用心棒として振舞うかのような疑義を抱かせる。名古屋市の選挙管理委員四名のうち三名が、市議会議員OBであることも、いっそうその疑念を強くする。
 住民自治を尊重して無効のおそれのある署名を救済する姿勢こそ住民自治の理念にふさわしい選挙管理ではないかと考えるが、いかに。
6 署名受任者の要件等を著しく厳格に解することにより署名用紙全体を無効とする判断は署名した十二名の署名をまとめて無効にするものであるから、通常であれば同一性を十分に確認できるような誤記や通常なら許される程度の訂正などは認めるべきと考えるが、以下のような場合につき全てを無効とする判断は適切か。
 @ 高齢の受任者が建物名「〇〇シティーハウス」を一文字訂正したため無効とした判断。
 A 受任者住所欄に番地と部屋番号のみ記入していたので、マンション名を書き加えたが、その署名簿を無効とした判断。
 B ペンのインクが出にくかったので二〜三ミリの試し書きをした署名簿を無効とした判断。
 C 受任者氏名、住所欄に記載間違いがあったために修正テープあるいはホワイトで修正したものは無効とし、一文字でも修正があるものは全て無効とした判断。
 D 事前に区名が印刷されていた署名用紙を他の区で使うため、二本線で抹消訂正し区名を書き込んだ署名用紙を全て無効とした判断。
 E 署名簿が氏名、住所の順に作られているため、多くの人が住所、氏名の順に書き間違いかけ、途中で正しく書き直しても全て無効とした判断。
 F 二十二年九月二十日と書くべき受任者登録年月日を、九月から書き始めてしまい、気づいて二本線で抹消し、正しく書き直した署名用紙を全て無効とした判断。
7 請求代表者の印鑑が一つでも薄かったり、一人の印影が半分しか見えなかったりしたものは署名簿を全部無効とされ、ある区では二百名近い署名がまとめて無効とされたと聞くが、この判断は適切か。
8 印刷機の具合で、解散請求の用紙と請求代表者証明書の印刷がやや二重写しになっていた署名用紙は、たとえ判読可能でも全部無効とした判断は適切か。
9 個々の署名についても瑣末な誤記や訂正により無効とされたとの不服が相次いでいる。以下のような判断は適切と言えるか。
 @ 誕生日の年の勘違い、元号の記載漏れ、誤記の訂正などを全て無効とした判断。
 A 同一マンション内で署名を集めるためにマンション名をまとめて書いていたら、棟や部屋番号、氏名などが全て明らかに筆跡が違っても全員を無効とした判断。
 B 自署した署名であっても、似た筆跡は同一筆跡とし、全員を無効とした判断。
 C 家族に頼まれて代筆したものでも代理人印がないとの理由で全て無効とした判断。
 D 町名、マンション名があれば住所確認できるのに番地が抜けていたため無効とした判断。
 E 公団がURとなって通称はUR団地になっているためUR団地と書いたら、住居表示ではまだ公団団地であるために、無効住所とされた判断。
 F 高齢者に多いが、使い慣れた住居表示変更前の住所を書いたため、無効住所とした判断。
 G 同居家族が住所を「〃」と書いたら住所無効とする判断。選挙管理委員会の事前説明では同居を「〃」と書くことは有効と説明していた場合はどうか。
 H 押印が濃すぎて判別しにくかったものを押印なき場合同様に扱い無効とした判断。
 I 同姓の人が同じペンを使って署名したものを、筆跡が違うのに無効とした判断。
 J 選挙人名簿の名前が平仮名であったために漢字で書いた表記を無効とした判断。
 K 一行で書ききれなかったので、はみ出して書いたものを無効とした判断。

 右質問する。



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