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平成二十六年六月十七日提出
質問第二三三号

「検察の理念」を踏まえた法務省の過去の反省への取り組み等に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木貴子




「検察の理念」を踏まえた法務省の過去の反省への取り組み等に関する第三回質問主意書


 本年四月三十日、法務大臣の諮問機関であり、録音・録画等による取り調べの可視化の制度化等を検討してきた法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が開催され、過去二十五回の議論をまとめた試案(以下、「試案」とする。)が提示された。右と「前々回答弁書」(内閣衆質一八六第一七三号)並びに「前回答弁書」(内閣衆質一八六第一九四号)を踏まえ、再度質問する。

一 前文で触れた法制審議会による議論の経緯に関して、「前々回答弁書」で縷々書かれているが、要するに一九九〇年に栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出て、二〇〇九年六月四日、千葉刑務所から釈放され、後に無罪となったことや、同年、郵便料金の割引制度が悪用された事件に関連し、当時の厚生労働省の村木厚子局長が逮捕され、容疑者とされた事件を受け、最高検察庁が「検察の理念」という指針を出し、検察の捜査のあり方が取り調べや供述調書に過度に依存しているという状況を変えるためという、過去の反省の上に始まったものと理解してよいかと、前回質問主意書で簡潔な答弁を求めたが、「前回答弁書」では「先の答弁書(平成二十六年五月三十日内閣衆質一八六第一七三号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおりである。」と、同じ答弁が繰り返されているだけである。政府、法務省として、当方の質問に誠実な答弁をしない理由は何か。右は谷垣大臣の指示であるのか。
二 谷垣大臣として、現在の法務省は、「検察の理念」を十分に踏まえた上で職務にまい進していると言えると認識しているかと前々回質問主意書で問うたところ、「前々回答弁書」では「法務省及び検察当局においては、検察の再生及び国民の信頼回復のための多岐にわたる改革に取り組んできたところであり、検察当局においては、その一環として『検察の理念』が策定され、勉強会の開催、各種研修における講義、日常の業務の決裁を通じた指導等によってその浸透が図られ、『検察の理念』を踏まえた職務の遂行がなされているものと承知している。」との答弁がなされている。右答弁にある「勉強会」、「各種研修」について、それぞれが実施された日にち、場所、内容並びに講師の人選等について問うたが、「前回答弁書」では「個々具体的な機会を念頭に置いたのではなく、法務本省及び各検察庁において、幹部職員や外部有識者等を講師とするなどして広く行われている勉強会や各種研修を含むあらゆる機会を通じて『検察の理念』の浸透が図られている旨を述べたものである。」との答弁がなされている。「検察の理念」の浸透がいかに図られているかについて、個々の取り組みの詳細を説明できないこと自体が、検察自身の反省の色が国民にとって見えない理由の最たるものであると考えるが、谷垣大臣の見解如何。
三 二の答弁にある「勉強会」、「各種研修」とは具体的にどのようなものか、具体的な日にちや対象職員の範囲、また「外部有識者等」の具体的な人選を明らかにした上で、その具体例を明示することを再度求める。
四 村木元局長の事件に関連し、村木元局長の取調べを担当していた当時の大阪地方検察庁特別捜査部の前田恒彦主任検事が、証拠として押収したフロッピーディスクを改竄したとして、二〇一〇年九月二十一日、最高検察庁に逮捕された。また、前田容疑者による証拠改竄を知りながら、その事実を隠蔽していたとして、同地検特捜部前特捜部長の大坪弘道京都地方検察庁次席検事、佐賀元明神戸地方検察庁特別刑事部長が、翌月一日、犯人隠避罪の容疑で最高検により逮捕された。右に関し、同月四日、佐賀容疑者の弁護人である秋田真志氏が最高検に対し、佐賀容疑者の意向を受け、同容疑者に対する取調べの全過程を録画し、可視化することを求めていた。前田氏も佐賀氏も、現職の検察官時代は取り調べの可視化に反対しておきながら、自身が被疑者となった時、可視化措置を講ずることを求めている。このことに鑑みても、取り調べの可視化が冤罪の防止に必要であることが明白であると考えるが、「前回答弁書」では右に関し何も触れられていなかったところ、谷垣大臣の見解を再度問う。
五 谷垣大臣として、「検察の理念」を踏まえて法務省、検察庁が真摯な反省をしているというのなら、取り調べの全過程可視化を一刻も早く法制度化し、菅家さんや村木元局長のような事例を二度と繰り返させない具体的な措置を講ずるべきではないかとの問いに対し、「前回答弁書」では「被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入については、現在、特別部会において、具体的な検討が進められているところであり、法務大臣として、まずは、その議論の状況を見守っていきたいと考えている。」との答弁がなされている。右で挙げたような深刻な人権侵害の事例を繰り返さないためには、「議論の状況を見守っていきたい」と法務大臣が悠長な構えを見せるのではなく、法務大臣が議論を引っ張り、取調べの可視化の法制度化を急がせるべきではないのか。

 右質問する。



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