衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和五年十一月二十四日提出
質問第七四号

障害のある子どもの放課後を保障することに関する質問主意書

提出者  早稲田ゆき




障害のある子どもの放課後を保障することに関する質問主意書


 武見敬三厚生労働大臣は、十一月八日の厚生労働委員会における私の質問に対して、「昨今の高水準となる賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえますと、介護分野における賃上げを始めとする人材確保への対応は極めて重要な課題である」と述べ、「まず経済対策の中で、介護分野等において喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講」じた上で、「令和六年度の同時改定において、経済対策における様々な対応を踏まえつつ、政府として、産業全体の賃上げを考えていく中で、介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたい」と答弁した。
 今回、介護報酬と同時に障害福祉サービス報酬も改定されるところ、障害のある子どもの放課後を保障するための事業を地道に長く取り組んできた方々から、いわゆる放課後等デイサービスの報酬改定等に関してご要望を受けたので、以下質問する。

一 台風などの自然災害や感染症の流行などにおいて、現行の日割り・出来高払いの報酬制度では事業所の運営に大きな影響が出ることは、一般社団法人全国放課後連が本年九月二十一日にこども家庭庁と懇談した際にも説明があったとおりである。こども家庭庁所管の保育所や放課後児童健全育成事業など他の子どもに関する福祉施策では、日割り・出来高払いの報酬制度が行われていないことからも、その日ごとの子どもの出席に左右されないよう、基礎的な運営費が支弁されるしくみに見直すべきではないか。
二 現在報酬改定で検討されているいわゆる「総合的な支援」は、「遊び・生活・集団(仲間)」という価値を中心とするべきではないか。またそのために人員配置基準については、十対六程度の配置ができるよう見直すべきではないか。
三 「遊び・生活・集団(仲間)」という価値を実現する活動・支援は、その子どもを「全人的に受け止める」ところから始まるところ、その専門性は、これまで評価されてきていず、ようやく研修制度の構築に向けた動きが出ていると承知している。研修制度の構築の検討においては、「遊び・生活・集団(仲間)」を土台とした「放課後活動の専門性」についての徹底した議論を行い、人員配置基準や報酬上の評価によって、その専門性が担保されるしくみを作るべきではないか。
四 活動・支援の時間の長短を報酬上評価する方向でも検討が進められていると承知しているが、「遊び・生活・集団(仲間)」を中心とした活動・支援は、子どもの生活を分割するような三十分とか一時間程度の短時間では実現できないので、生活を支える一定程度の時間(平日二〜三時間程度、休日五〜八時間程度)を保障するものとするべきではないか。
五 最低賃金の引上げは、喫緊の課題でありきわめて重要であるが、障害福祉サービス報酬単価の引上げがないと事業の維持ができなくなる事業所が出てくる。報酬改定においては、すくなくとも最低賃金の賃上げに見合った報酬単価の引上げが必要ではないか。
六 これまでの処遇改善加算の見直しにより賃金の引上げが図られ、厚労省の調査によると賃金の上昇が確認されているようだが、基本報酬が下げられている中で、事業所の運営そのものが危機的な状況にあるのも事実である。処遇改善は、事業所の安定的な運営が担保されて初めて成立するものであり、処遇改善加算の見直しだけで労働条件が改善されるものではないことは武見大臣の答弁にあるとおりである。また、加算の申請事務の煩雑さは現場の負担を増大させており、そのために申請ができていない事業所も多くあると承知している。以上のことから、処遇改善は、加算というしくみではなく、基本報酬単価に組み入れる形で対応するべきではないか。
七 うち続く物価高騰対策についての予算措置はまだまだ不十分であるので、物価高騰の影響を価格に転嫁できない放課後等デイサービスに対して、公的補助の拡充や報酬単価の引上げといった物価高騰対策のさらなる拡充を検討するべきではないか。
八 近年多発した送迎・通園バス内の幼児置き去り事件を受けて、放課後等デイサービス事業の送迎車についても安全装置の装備が義務付けられたところだが、マイクロバスまでのサイズには確かに必須であるものの、聴覚過敏等の障がいを持つ中高生などが乗る放課後等デイサービス事業の送迎車については、運転手一名のみの場合、安全装置のブザーが鳴ることを防ぎきれず、その音によりパニックとなって飛び出してしまうなどかえって危険性が高まることも指摘されている。
 放課後等デイサービス事業者が運行する軽自動車のバンやワゴン車などの小型のサイズの送迎車については、添乗員をつけられるよう報酬を見直すとともに、大きな音で利用者がパニックに陥りかねない安全装置の装備については各自治体の裁量で柔軟な運用ができるよう、再検討すべきではないか。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.