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令和五年十二月五日受領
答弁第七四号

  内閣衆質二一二第七四号
  令和五年十二月五日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員早稲田ゆき君提出障害のある子どもの放課後を保障することに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員早稲田ゆき君提出障害のある子どもの放課後を保障することに関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「報酬制度」は、放課後等デイサービスの「報酬制度」を指すものと理解しているが、当該「報酬制度」は、障害児の障害の程度やそのニーズに応じた適切な支援が行われるよう、サービスの内容や特性に応じて単価を設定するとともに、その支払方式については、日々の利用実績に応じた日払方式としており、利用者が日ごとに複数のサービスを組み合わせて利用することが可能な利用者本位の仕組みとなっている。その上で、御指摘の「その日ごとの子どもの出席に左右されないよう、基礎的な運営費が支弁されるしくみ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、放課後等デイサービスの報酬は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の五の三第二項に基づき、放課後等デイサービスに通常要する費用を支払うこととされているところ、当該費用は、三年ごとに行われる報酬改定に当たって、放課後等デイサービス事業所等の収支差等について調査した障害福祉サービス等経営実態調査の結果等を勘案し、算定してきたところであり、現行の「報酬制度」においても、放課後等デイサービス事業所が運営を行うために必要な費用が支払われる仕組みであり、先に述べた利用者本位の仕組みとする観点も踏まえ、現在の仕組みを維持すべきものであると考えている。なお、児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成二十四年厚生労働省告示第百二十二号。以下「算定に関する基準」という。)に基づき、放課後等デイサービスの利用者が急病等によりその利用を中止した場合において、利用者又はその家族等への相談援助などを行った場合に、算定に関する基準に基づく欠席時対応加算の算定が認められており、御指摘の「台風などの自然災害や感染症の流行など」の場合においても、市区町村の判断により、当該加算の算定が適切に運用されているものと考えている。

二について

 前段のお尋ねについて、御指摘の「「遊び・生活・集団(仲間)」という価値」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「総合的な支援」については、令和五年三月二十八日に公表された「障害児通所支援に関する検討会報告書」(以下「報告書」という。)において、「児童発達支援については、・・・本人への五領域(「健康・生活」、「運動・感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)を全て含めた、総合的な支援を行うこと」及び「放課後等デイサービスについては、(中略)児童発達支援の五領域と同様の視点による総合的な支援を行うことが重要」とされており、政府としては、これを踏まえて、「総合的な支援」の在り方について引き続き検討してまいりたい。
 また、後段のお尋ねについて、御指摘の「人員配置基準」は、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成二十四年厚生労働省令第十五号。以下「人員に関する基準」という。)を指すものと理解しているが、人員に関する基準において、指定放課後等デイサービス事業所に置くべき従業者及びその員数については、児童指導員又は保育士を児童十人に対して二人以上配置するほか、児童発達支援管理責任者を一人以上配置することとしているところ、これらの配置の基準を引き上げることについては検討を行っていないが、人員に関する基準に定める従業者及びその員数に加え、保育士等の職員を配置した指定放課後等デイサービス事業所に対して、算定に関する基準に基づく放課後等デイサービス給付費の所定単位数に加算を認めており、当該加算を活用して、人員体制や支援の充実を図ることを可能としている。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「研修制度の構築」については、報告書において、「こどもの権利、発達支援、家族支援、地域支援、虐待予防等の内容についての基礎、中堅、専門といった段階的な研修体系の構築や、人材確保の観点からも、キャリアアップの仕組みの構築を進めることが必要」とされており、政府としては、これを踏まえて、現在、令和五年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業において、障害児支援における人材育成研修に関する実態把握を行っているところであり、当該事業の結果も踏まえ、障害児支援の専門性が確保される研修の在り方について、検討してまいりたい。

四について

 御指摘の「「遊び・生活・集団(仲間)」を中心とした活動・支援」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、放課後等デイサービスの報酬については、厚生労働大臣政務官の下、厚生労働省及びこども家庭庁の担当官を構成員とし、民間有識者がアドバイザーとして参画する「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」(以下「検討チーム」という。)において検討しているが、令和五年十月十八日に開催した検討チームにおいて示した「児童発達支援・放課後等デイサービスの基本報酬について、発達支援に対するきめ細かい評価とする観点から、・・・支援時間による区分を設けることを検討してはどうか」との「検討の方向性」に基づき、引き続き、同アドバイザーの意見も聴きながら、具体的な内容について検討しているところである。

五について

 お尋ねの「最低賃金の賃上げに見合った報酬単価の引上げ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、令和六年度障害福祉サービス等報酬改定においては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」(令和五年六月十六日閣議決定)において、「次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とされており、これを踏まえ、必要な対応を行ってまいりたい。

六について

 御指摘の「基本報酬単価に組み入れる形で」の報酬の引上げは、当該引上げ額が必ずしも賃金の引上げに充てられるものではないが、御指摘の「処遇改善加算」については、「加算というしくみ」にすることで、当該加算の加算額を賃金の引上げに充てることを担保しているものであり、処遇改善に重要なものであると考えている。その上で、令和六年度障害福祉サービス等報酬改定において、五についてでお答えしたとおり、必要な対応を行ってまいりたい。

七について

 お尋ねの「公的補助の拡充」については、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)において、「物価高により厳しい状況にある生活者・事業者を引き続きしっかりと支えるため、物価高対策として地方公共団体が地域の実情に応じて柔軟に活用可能な交付金を追加的に拡大する」とされており、これを踏まえ、現在、こども家庭庁においては、都道府県及び市区町村に対し、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用に向けた検討を進めていただくよう要請しているところである。また、御指摘の「報酬単価の引上げ」については、五についてでお答えしたとおり、必要な対応を行ってまいりたい。

八について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、人員に関する基準第七十一条において準用する人員に関する基準第四十条の三第二項において、指定放課後等デイサービス事業者は、障害児の送迎を目的とした自動車を日常的に運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の障害児の見落としを防止する装置を備え、当該装置を用いて、障害児の降車の際にその所在の確認を行わなければならないこととされているところ、当該「ブザーその他の車内の障害児の見落としを防止する装置」の設置については、御指摘の「大きな音で利用者がパニックに陥りかねない安全装置」の設置に限定しておらず、「各自治体の裁量で柔軟な運用」が可能となっている。また、令和四年十二月二十日に「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置の仕様に関するガイドラインを検討するワーキンググループ」が取りまとめた「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置ガイドライン」において、「乗員であるこども等が警報音に嫌悪感を覚えないような音にすること及び特に音に敏感なこどもが警報音を聞いてパニックを起こさない音にすることに配慮することが望ましい」とされているところ、各自治体においては、これも踏まえた運用がなされているものと承知している。したがって、御指摘の「報酬を見直す」ことや「再検討」することについては、現時点において考えていない。

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