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平成十六年二月二十七日受領
答弁第二号

  内閣衆質一五九第二号
  平成十六年二月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出諫早湾干拓事業の中・長期開門調査と調整池の水質悪化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出諫早湾干拓事業の中・長期開門調査と調整池の水質悪化に関する質問に対する答弁書



(一)について

 諫早湾干拓事業の開門調査検討会議に関する質問に対する答弁書(平成十五年五月二十日内閣衆質一五六第五三号)(一)についてで述べたとおり、国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)に係る中・長期開門調査(以下「本調査」という。)については、その実施の可否を含め技術面や環境面等から様々な意見があることから、農林水産省においては、本調査に係る必要な論点を取りまとめるため、中・長期開門調査検討会議(以下「検討会議」という。)を設置するとともに、検討会議の委員として、環境と水産、環境と農業、環境と河川に関する行政等の経験を有し、その視点に立って事項を整理することができる者を委嘱したものである。
 本調査の取扱いについては、平成十五年十二月二十五日に取りまとめられた中・長期開門調査検討会議報告書(以下「検討会議報告書」という。)を踏まえ、関係者から意見を聴いた上で、今後、農林水産省が判断することとしているところである。

(二)について

 平成十五年十二月三日に開催された第七回検討会議において、検討会議の委員から、農林水産省農村振興局に対し、それまでの議論を踏まえて本調査を実施する場合の影響と対策について取りまとめることを求められたため、同局において必要な検討を行い、その結果を第八回検討会議の資料として提出したところであり、当該資料は同月十九日の時点で公表されている。検討会議報告書は、当該資料に基づく委員の議論を踏まえて取りまとめられたものである。
 工事費用の積算根拠と期間の算定については別表のとおり概算しているが、事前の調査、設計及び各種の協議に必要な費用は含まれていない。期間についても工事に要するおおむねの期間を示したものであり、事前の調査、設計及び各種の協議に必要な期間は含まれていない。

(三)及び(四)について

 農林水産省においては、農林水産省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(以下「委員会」という。)が平成十三年十二月十九日に発表した「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」の趣旨等を踏まえ、短期の開門調査を含む開門総合調査を行うとともに、本調査に係る必要な論点を取りまとめるため、検討会議を設置したところであり、検討会議報告書を踏まえ、今後、農林水産省が、その取扱いについて判断することとしているところである。
 一方、本事業については、平成十三年度に行われた本事業の再評価に当たり、農林水産省九州農政局国営事業管理委員会に設置された第三者委員会の意見を踏まえ、予定された事業期間の厳守等の四つの視点に立って、総合的に検討を行った結果、事業計画の見直しを行うとともに、平成十八年度に事業を完了することとしたところである。また、平成十四年四月十五日の農林水産大臣と長崎県知事、長崎県議会議長、長崎県漁業協同組合連合会会長、佐賀県有明海漁業協同組合連合会会長、福岡県有明海漁業協同組合連合会会長、熊本県漁業協同組合連合会会長等との会談において、「短期開門調査を実施し、平成十八年度に事業を完了させる」との農林水産省の方針について理解が示され、現在、この方針に沿って事業の推進に努めているところである。
 このように本事業を平成十八年度に完了させるとの方針は、本調査とは別の観点から決定されたものであり、本事業の完了が本調査を行わないことを意味するものではない。
 なお、御指摘の佐々木克之氏らの意見は検討会議の委員に提示されており、これも踏まえて検討会議報告書が取りまとめられたものと考えている。

(五)について

 諫早湾干拓事業の見直しと「防災」機能等に関する質問に対する答弁書(平成十三年十二月七日内閣衆質一五三第二一号)(六)についてで述べたとおり、諫早湾周辺地域における排水不良対策については、潮受堤防の設置により可能となった調整池の水位を標高マイナス一メートルに保つことを基本に、関係機関が連携を図りながら、排水路の整備等を順次実施していく必要があると考えている。
 現在、諫早湾周辺地域においては、六地区で県営かんがい排水事業が実施されているが、これらの事業は調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるよう管理することにより、計画に即した効果が発揮されるものである。

(六)について

 農林水産省においては、確保すべき防災機能として、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるよう管理することにより発揮される排水機能及び調整池の淡水化により背後低平地において塩害が発生していない現状の確保を想定しており、本調査の実施によりこれらの機能が損なわれることのないようにするため、別表に示されている対策を検討したものである。
 この場合における洪水時の対策については、常時開門を行う場合の背後低平地の湛水の状況を想定し、常時開門による影響相当分を排水するのに必要なポンプの規模と費用を算定したものであり、検討に当たっては、長崎県が実施しているかんがい排水事業で整備される排水施設を利用することを前提としている。

(七)について

 検討会議報告書において、本調査の取扱いを判断する論点として、「漁業関係者や諫早湾周辺住民の方々に配慮しつつ・・・行政として時間意識や費用対効果にも照らして判断をしていく必要がある」と整理されているところであり、農林水産省においては、本調査の取扱いについて、御指摘の意見書も考慮した上で、総合的に判断する考えである。

(八)について

 検討会議においては、有明海海域環境調査、有明海の海洋環境の変化が生物生産に及ぼす影響の解明及び開門総合調査等の各種調査の結果、委員会の委員、有明海海域環境調査検討委員会の委員及び有明海関係の学識経験者から聴取した意見、有明海・八代海総合調査評価委員会における学識経験者の研究発表、学会等に発表された文献等を踏まえ、本調査の取扱いの判断に必要な論点を整理し、検討会議報告書が取りまとめられたところである。
 (一)についてで述べたとおり、本調査の取扱いについては、検討会議報告書を踏まえ、今後、農林水産省が判断することとしているところである。

(九)について

 潮受堤防締切り後の平成九年度から平成十四年度までの調整池中央の水質は、季節や降雨の影響等により変動はあるものの、化学的酸素要求量(以下「COD」という。)は一リットル当たり七ミリグラム前後、全窒素は一リットル当たり一ミリグラム前後、全リンは一リットル当たり〇・二ミリグラム前後で推移しており、経年的に悪化しているとは認められない。
 また、調整池中央の水質は、本明川下流の水質と比較して、CODがやや高い傾向にあるものの、全窒素はやや低く、全リンは同程度であることから、これらの各水質項目の濃度を踏まえて、諫早湾干拓事業の進行に伴う漁業被害と環境破壊拡大への対応に関する質問に対する答弁書(平成十五年八月二十九日内閣衆質一五六第一二五号。以下「第一二五号答弁書」という。)(十)についてで、調整池の水質は、基本的には流入河川の水質を反映しており、最大の流入河川である本明川下流の水質と比較して特段汚染しているものではないと述べている。

(十)について

 (九)についてで述べたとおり、調整池の水質は、経年的に悪化しているとは認められない。

(十一)及び(十二)について

 調整池水質調査における調査地点P1は、調整池に位置するものの、本明川の現河口の近傍に位置し、本明川河口の水質を最も良く反映している調査地点であることから、諫早湾干拓事業の進行に伴う環境破壊拡大と短期開門調査結果の評価に関する質問に対する答弁書(平成十五年十月七日内閣衆質一五七第九号)別表一において、位置を示した上で、本明川河口と表記したものである。
 また、第一二五号答弁書で述べたとおり、中央干拓地の農業用水の取水口の設置位置は、水質調査地点P1よりも調整池中央寄りとなる、本明川の現河口から約千四百メートルの地点に決定したものであり、調整池から取水するとしたこれまでの答弁に誤りはない。

(十三)について

 有明海における漁業の健全な発展を確保するため、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律(平成十四年法律第百二十号)に基づく基本方針に即して、有明海の環境の保全及び改善並びに有明海における水産資源の回復等による漁業の振興を図ることとしており、これにより漁業経営の安定及び発展に努めてまいりたい。
 なお、災害による被害を受けた漁業者等に対しては、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金等の低利の融資制度が措置されているところである。また、農林漁業金融公庫資金、漁業近代化資金等の既往借入制度資金については、災害による被害を受けた漁業者等からの申出に基づき、金融機関等が一定の範囲内で据置期間の延長、償還猶予等を行うことができることとされている。


別表 1/8


別表 2/8


別表 3/8


別表 4/8


別表 5/8


別表 6/8


別表 7/8


別表 8/8


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