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平成十九年四月五日提出
質問第一六〇号

気候変動対策に関する質問主意書

提出者  村井宗明




気候変動対策に関する質問主意書


 京都議定書の約束期間の開始される二〇〇八年が目前に迫っているが、CO2排出量が二〇〇五年に一九九〇年比八・一%増加となっている状況をみると、政府が本気で京都議定書を達成しようとしているとは思えない。企業や個人の自主的取組による効果も見られるが、自主的取組のみではこれ以上の温室効果ガス削減には限度があり、京都議定書の目標達成は不確実かつ難しい。よって、京都議定書目標の確実な達成のためには、平成十九年度中に効果的な国内対策の制度導入が必要と考えられる。
 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第四次報告書にて、気候変動の原因が人為的起源の温室効果ガスであるとほぼ断定された報告がなされ、米国が気候変動対策に対し積極的になったことで、世界はまさに低炭素社会への移行を本格的に模索し始めた。この機会に、京都議定書を確実に達成できる制度を導入し、積極的な姿勢を見せていかないとポスト京都への発言力は失われると思われる。わが国が京都の名前を冠した議定書の目標を達成できなければ、わが国の国際的な発言力が完全に失われるほか、世界の低炭素経済への移行に遅れを取り、結果としてわが国の経済が競争力を失うことになる。
 地球温暖化は、気候変動による我々人類への脅威はもとより、わが国にとって、財政、外交、経済の観点からも、現在最も大きな問題であると認識している。このような問題意識から、以下、質問をする。

一 京都議定書目標達成計画において、京都メカニズムによる削減は、九〇年排出量に対して一・六%とされている。京都議定書目標達成計画では、二〇一〇年度のCO2排出量が九〇年比六%増であることを前提とした計画であるが、実際には、二〇〇五年度のCO2排出量は、九〇年比八・一%増となった。仮に、二〇〇五年度までの想定外の増加分二・一%をすべて京都メカニズムでまかなうとした場合、三・七%分の排出権を京都メカニズムにより取得することが必要となる。三・七%分を排出権取引により取得するとした場合、二〇〇八年から二〇一二年までの五年間で費用が総額いくら必要になるか示されたい。(CO2の取引価格など、計算の前提として、仮定しなければならない数値があれば、適宜仮定をおき、その仮定を明らかにした上で示されたい。)
二 問一においては、京都議定書目標達成計画の計画どおりに削減されることを前提としたが、仮に今後もほとんど削減できずに、二〇〇五年時点における九〇年比一四・一%増加分のうち、森林吸収の三・八%を除く、一〇・三%のすべてを京都メカニズムにより取得するとした場合、問一と同様にいくら必要になるか示されたい。
三 問一や問二のような財政負担が、十分にありえる状況であるが、このような財政負担のリスクについて政府はどのように考えているのか認識を示されたい。仮に、京都議定書の目標達成のために、現在政府が予定している量よりも多くの排出権を購入しなければならなくなった場合、そのための財源を措置する準備はできているのか政府の見解を示されたい。
四 京都議定書目標達成計画において産業部門の二〇一〇年の排出量は、九〇年比でマイナス八・六%とあるが、産業界の自主行動計画の目標はプラス・マイナス〇%以下に抑制することになっている。なぜこのようなギャップがあるのか、このギャップの削減量不足分はどこで削減される計画なのか示されたい。
五 わが国が京都の名前を冠した議定書の順守ができない場合、わが国の外交的な発言力にもマイナスの影響があると考えるが、これについての政府の認識を示されたい。また、米国が離脱している上に、仮にわが国が京都議定書の目標を達成できない場合、今後の協調した国際的取組が破綻する可能性もあると考えているか、これについての政府の認識を示されたい。
六 EUでは、EU−ETS(排出量取引制度)で排出量取引市場が整備され、取引が盛んに始まっており、アメリカでも一部の地域で排出量取引市場が整備された。わが国で排出量取引市場が整備されず、世界の炭素取引市場から遅れをとった場合、わが国が世界の経済の流れに遅れをとり、わが国の経済にマイナスの影響が考えられるが、政府の認識を示されたい。
七 将来的には、現在の世界のCO2排出量を五〇%以上削減する必要があると言われている。わが国においては、将来、いつ頃にどの程度削減する計画になっているのか、不明確になっており、積極的に取り組んでいる企業においても、将来見込みが立たず不安の中で対策が実施されている。逆に言えば、企業としては、将来的に削減しなければならないことは、すでに明らかであり、その削減プロセスを早期に示されないことが、企業が対策に二の足を踏む原因になっているという意見がある。わが国において、中長期的な削減目標が立たないことが企業の積極的な対策を阻害しているという意見について、政府の認識を示されたい。
八 EUでは、二〇二〇年にマイナス二〇%という大きな目標が決定された。問七にも述べたとおり、早期に中長期的な削減量を掲げることが必要と考えているが、その必要性に対する政府の見解を示されたい。
九 今年のドイツG8では、各国が低炭素社会に向けた姿勢や取組の計画をアピールしてくる可能性があると考えられる。そこで、ドイツG8において日本が世界に示す姿勢や取組の計画について、現状検討されている段階での政府の見解を示されたい。
十 企業の自主的取組と、普及啓発によるライフスタイルの推進は重要な取組ではあるが、実績としてCO2排出量が増加している。これは、積極的に取り組んでも何も得しない骨折り損の状況にあるからで、誰もが低炭素なエネルギーや製品を選択するためには、経済的インセンティブが有効であると考えられる。経済的インセンティブに係る施策の導入については、環境省が提案しているが他省の反対に遭うなど、導入が実現できていない。これについて内閣総理大臣のリーダーシップが必要と考える。経済的インセンティブに係る政策導入について内閣総理大臣の見解を示されたい。

 右質問する。



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