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答弁本文情報

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平成十九年四月十三日受領
答弁第一六〇号

  内閣衆質一六六第一六〇号
  平成十九年四月十三日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員村井宗明君提出気候変動対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員村井宗明君提出気候変動対策に関する質問に対する答弁書



一から三までについて

 京都議定書目標達成計画(平成十七年四月二十八日閣議決定)においては、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(以下「京都議定書」という。)の目標を達成するため、国内温室効果ガスの排出削減対策及び国内吸収源対策を基本として、国民各界各層が最大限努力し、それでもなお京都議定書の目標の達成に不足する差分として見込まれる基準年総排出量比一・六パーセント分について、温室効果ガス排出削減量等に係る国際的な取引の仕組みである京都メカニズムを活用したクレジットの取得により対応することとしており、現時点において、これ以上のクレジットを取得することは想定していない。
 また、京都メカニズムを活用したクレジットについては、その需給動向等により将来にわたり価格が変動することから、今後のクレジットの取得に要する費用を具体的にお示しすることは困難である。

四について

 社団法人日本経済団体連合会(以下「経団連」という。)の環境自主行動計画における目標は、製造業、鉱業及び建設業並びにエネルギー転換部門に属する業種のうち同計画に参加している三十五業種を対象としているのに対して、京都議定書目標達成計画における産業部門の目安としての目標は、農林水産業並びに製造業、鉱業及び建設業に属する業種のうち経団連の環境自主行動計画に参加していないものも対象としている一方、エネルギー転換部門を対象としていないことなどから、これらの目標を単純に比較することは適当でない。
 また、京都議定書目標達成計画における産業部門の目安としての目標は、産業部門の各業種について、経団連の環境自主行動計画に基づく対策に加えて、それ以外の対策を進めること等により、基準年に比べ八・六パーセントの削減を見込んでいるものである。

五について

 我が国が締結している京都議定書は、これを誠実に遵守する必要がある。また、我が国としては、二千十三年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みについて、米国、中国及びインドを含む主要な温室効果ガスの排出国が参加する実効性のある枠組みの構築に向けて主導的な役割を果たしていく考えであり、そのためにも、我が国自身が京都議定書の目標の確実な達成に向けて、全力を挙げて取り組んでいく考えである。

六について

 我が国においては、平成十八年度から、効率的な二酸化炭素の排出量の削減、二酸化炭素の排出枠の取引等に係る知見や経験の蓄積を図るため、自ら削減目標を定めた企業に対して当該削減目標に相当する二酸化炭素の排出枠を割り当てるとともに、経済的なインセンティブを与え、当該企業が自らの削減努力や排出枠の取引の活用により削減目標を達成することを促す自主参加型の国内排出量取引を実施している。
 また、温室効果ガスの排出枠の交付総量を設定した上でその排出枠を個々の主体に配分するとともに、他の主体との排出枠の取引や京都メカニズムの活用を認めること等を内容とする国内排出量取引制度については、温室効果ガスの排出削減を進めるための他の手法との比較、当該制度の効果、産業活動や国民経済に与える影響等の幅広い論点について、総合的に検討していくべき課題であると考える。

七について

 産業界においては、現時点では、製造業等の多くの企業が自主行動計画に基づく対策等に積極的に取り組んでいるものの、革新的な温暖化対策技術の開発や実用化には長時間を要することから、京都議定書のような短期的な目標の下では持続的な温室効果ガスの排出削減効果を得ることが難しく、また、温暖化対策に取り組む上で投資サイクルと削減目標の達成に係る期間との整合性の確保が懸念されるといった意見があると承知している。我が国としては、「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる」という気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「条約」という。)の究極的な目的を実現すべく、従来から、条約の締約国会議等の場において、温室効果ガスの排出量と吸収量を同等のレベルとして地球上の炭素循環を均衡させるための長期目標とそれを達成する道筋に関する合意に向けた議論を行っていく必要があると主張してきたところである。

八について

 条約の究極的な目的を達成するための我が国における中長期的な目標の策定については、今後検討してまいりたい。

九について

 地球温暖化の問題は、ドイツで本年に開催される主要国首脳会議(G8サミット)においても取り上げられることとされており、我が国としては、G8サミットの場を含め、主要な温室効果ガスの排出国が参加する実効性のある国際的な枠組み作りに向けた主導的な役割を果たしていく考えである。

十について

 経済的なインセンティブを用いたいわゆる経済的手法は、市場メカニズムを前提とし、経済的インセンティブの付与を介して各主体の経済合理性に沿った排出抑制等の行動を誘導するものであり、地球温暖化対策の経済的支援策としての有効性も期待されているところである。その活用に際しては、あらゆる政策手法を総動員してそれらの特徴をいかしながらこれを有機的に組み合わせるといういわゆるポリシーミックスの考え方に沿って効果の最大化を図りつつ、国民負担や行財政コストを極力小さくすることが重要であると考えている。とりわけ、財政的支援に当たっては、費用対効果にも配慮し、予算の効率的な活用等に努めてまいりたい。



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