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平成十九年十二月十二日提出
質問第三二〇号

学童保育の拡充に関する質問主意書

提出者  石井郁子




学童保育の拡充に関する質問主意書


 学童保育が、「放課後児童健全育成事業」として児童福祉法に位置づけられて、今年で十年になる。今年十月には「放課後児童クラブガイドライン」も策定され、学童保育の水準向上に向けた一歩が築かれた。これを機に、学童保育の新・増設による大規模化の解消や学童保育の質的な拡充を緊急に行うべきと考える。
 そこで以下質問する。

一 「放課後児童クラブガイドライン」にかかわって
 地域の実情やさまざまな設置・運営主体があることから柔軟な対応をと、一定水準の確保にさえ、消極的だった厚生労働省が「放課後児童クラブガイドライン」を策定したことは学童保育の制度拡充にとって意義あるものと考える。
 一方、「放課後児童クラブガイドライン」の内容には大きな問題もあり、学童保育や指導員が役割や責任を果たすことができるよう「放課後児童クラブガイドライン」の見直し、改定も必要と考える。
 (一) 今後こうした方向での「放課後児童クラブガイドライン」の見直し、改定は行うのか。あわせて、「質の向上」をめざすための財政措置も不可欠と考えるがいかがか。
  また、ガイドラインにとどまることなく、子どもたちが放課後や学校休業日を過ごす施設にふさわしい設置基準や運営基準を早急に政府の責任で策定すべきと考えるがいかがか。
 (二) 「放課後児童クラブガイドライン」では、放課後児童指導員を必置としながらも配置にかんすることや勤務体制などの記述がまったくなく、問題である。
  現状では、非常勤や嘱託、臨時職員といった不安定雇用の指導員が非常に多く、日替わりやローテーション勤務をしている。指定管理者制度や民間化の導入もすすんでおり、代行先等との契約見直しによっては慣れ親しんだ指導員が一気に全員入れ替わる事態もおこりかねない。「放課後児童クラブにおける職員と児童との関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員にはできる限り継続していただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要」(二〇〇六年三月十五日・衆院厚生労働委員会、川崎二郎厚生労働大臣・当時)との政府・厚生労働省の認識は、今日重要であると考える。この認識にたって、緊急に施策を構ずるべきと考えるがいかがか。
 (三) 放課後児童指導員が「放課後児童クラブガイドライン」に示された役割や活動を行うには、開所時間前後に一定の準備時間が必要である。開所時間のみを勤務時間としてみなす学童保育も少なくないが、指導員の勤務時間にはそうした準備時間も含めるべきと考えるがいかがか。
二 学童保育の大規模化解消について
 七十一人以上の子どもたちが入所している学童保育への補助金が、二〇一〇年度で廃止されることになった。安全面や子どもたちの情緒面で問題のある大規模学童保育の解消につながる措置である。
 厚生労働省は補助単価の引き上げを行ってはいるが、学童保育の新・増設に消極的な自治体も少なくない。全国学童保育連絡協議会は、公営以外で自治体から助成金がでている学童保育の助成額を調査しており、二〇〇七年度調査によれば平均は四百三十万円となっており、二〇〇六年度の国の補助単価は、二十人から三十五人以下で約百六十二万円、三十六人から七十人未満でも二百四十八万円であるから、自治体が国の補助単価の倍近くを上乗せして助成していることになる。この調査結果によれば、国の補助単価は学童保育の運営実態にみあっていない。
 そこでうかがうが、国からの補助単価算定の根拠を具体的に示していただきたい。あわせて早急に、学童保育の運営実態に照らし補助単価の抜本的な引き上げを検討すべきと考えるがいかがか。
三 放課後子どもプランにかかわって
 今年四月から実施されている「放課後子どもプラン」は放課後子ども教室と学童保育の「一体的あるいは連携」によって実施されていくこととしている。
 政府は、「放課後子どもプラン」を子育て、教育施策の柱の一つと位置づけ全国展開することを掲げている。ところが、二〇〇七年六月十四日の衆院青少年問題に関する特別委員会でも指摘したように、「放課後子どもプラン」=「放課後子ども教室」と受け取れる内容となっている。これでは関係者らに、学童保育を吸収した形での両事業の「一体的」実施なのかと誤解させるばかりか、「学童保育がなくなってしまう」とか、「学童保育の質が低下するのではないか」との懸念を抱かせている原因ともなっている。
 そこで、以下質問する。
 (一) 「放課後子どもプラン」で、放課後子ども教室と学童保育を「一体的」に実施すれば、学童保育の固有の役割である継続した生活の場の保障ができなくなる。両事業の目的や性質が異なることは政府も認めているところであり、「放課後子どもプラン」は両事業を拡充させながら「連携」させていくことですすめるべきと考えるがいかがか。
 (二) 学童保育においては、生活の場としての機能を確保するために専用室を必要としている。一方、放課後子ども教室が実施されている場所では、つねに不特定多数の子どもたちが出入りすることが想定される。同じ学校施設内で両事業を実施する場合、専用室をどのように確保すべきと考えるか。
  あわせて、「間仕切り等」で仕切ることを求めているが可動式の間仕切りでは専用室の確保とはならないと考えるが、「間仕切り等」とは具体的に何をさしているのか。

 右質問する。



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