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平成二十一年一月二十八日提出
質問第六六号

海賊対策に関する質問主意書

提出者  平岡秀夫




海賊対策に関する質問主意書


 防衛大臣は、今月二八日、海上自衛隊に対して、ソマリア沖の海賊対策として海上警備行動をとる準備をするよう指示を出した。そこで、海賊対策としての自衛隊の艦船(以下、「自衛艦」と言う)による海上警備行動に関し、政府に対して以下の事項について質問する。

1 東南アジア等における海賊対策
 (1) 海賊行為の実態
  @ 世界各海域での海賊行為の海域別発生状況(過去一〇年間)を明らかにされたい。
  A 海賊行為の発生している世界各海域における日本船籍の船舶の年間通過数(過去一〇年間)を明らかにされたい。
  B 世界各海域における日本船籍の船舶の海賊被害の状況(過去一〇年間)を明らかにされたい。
 (2) 対策の枠組み
  @ 世界各海域における海賊行為に対してどのような対策がとられているか。そのうち、国際的協力が行われているものには、どのようなものがあるか。
  A 〇六年九月に発効したアジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)における各国による国際的協力の内容及びその実績如何。
  B アジア海賊対策地域協力協定への参加国はどこか。インドネシア、マレーシアが参加していないと聞くが、不参加の理由は何か。
 (3) 我が国の対応
  @ アジア海賊対策地域協力協定に基づいて、我が国はどのような協力(活動)を行っているのか。
  A アジア海賊対策地域協力協定の下で海上保安庁が東南アジア海域に巡視船を派遣していると聞くが、どのような活動をするために派遣されているのか。
  B 派遣される巡視船は、東南アジア海域でどのような活動を行うことが可能なのか。また、その活動の法的根拠は何か。
  C 我が国からインドネシア海上警察に巡視船を提供したことがあると聞くが、その事実関係を問う。また、武器が装備されている巡視船や巡視艇を外国に提供することは、武器輸出禁止三原則とどのような関係となるのか。
  D 海上保安庁がアジア各国の海上保安機関に対して「海上犯罪取締り研修」を実施していると聞くが、その実施についての法的根拠と実績を問う。
2 実態認識等
 (1) ソマリア沖の船舶
  @ ソマリア沖を通過する各国別の船籍の船舶数(過去一〇年間)を明らかにされたい。
  A ソマリア沖を通過する船舶のうち、日本人が乗船している外国船舶及び日本の貨物を積んだ外国船舶の数(過去一〇年間)を明らかにされたい。
  B ソマリア沖で海賊行為にあった船舶の各国別被害状況(過去一〇年間)を明らかにされたい。
 (2) ソマリア沖の海賊
  @ ソマリア沖の海賊の実態(どのような人達がどのような目的で組織しているのか、組織数、組織別の人数、海賊用船舶の性能と大きさ、海賊用の武器の内容と数等)を明らかにされたい。
  A 海賊行為の具体的内容を明らかにされたい。
  B ソマリア沖で海賊対策に従事する近隣国(イエメン等)の活動状況を明らかにされたい。
 (3) ソマリアの現状と見通し
  @ ソマリア沖で海賊行為が多発している理由は何か。
  A ソマリア暫定連邦「政府」(TFG)を承認している国はどこか。我が国が承認していない理由は何か。
  B ソマリアの統一政府の確立に向けて、我が国はどのように対応するつもりか。
 (4) 我が国政府に対する要請
  @ ソマリア沖の海賊対策に関し、米国その他の外国政府より、我が国に対し何らかの行動要請はあったか。あったとすれば、その詳細(時期、内容、要請の理由など)を問う。
  A ソマリア沖の海賊対策として近隣国からどのような協力要請(資金協力、技術協力等を含む)が我が国になされているのか。
  B 元防衛庁事務次官が会長を務める「海洋政策研究財団」が、昨年一一月一八日に、政府に対して、自衛艦の派遣要請を出しているが、それ以前に、我が国政府に対して同様の要請が出されたことはあるのか。あるとすれば、いつ、どこから、どのような要請だったのか。
3 法制上の問題
 (1) 海賊対策
  @ 海賊対策としての活動には、どのようなものが想定されるか(護衛活動、立入り検査、取締り活動、阻止活動、哨戒活動等)。
  A 想定される海賊対策としての活動は、法的(国際法、国内法)にはどのようなものと評価されるのか。海上警察権の行使と理解してよいか。
  B 海賊対策としての活動のうち、法的(国際法、国内法)に「武力の行使」又は「武力による威嚇」と評価されるものは、あり得るのか。
 (2) 国連安保理決議との関係
  @ ソマリア沖の海賊対策として、近隣国以外で軍(軍艦、軍用機等)を派遣している国とその派遣内容(派遣時期、派遣規模、派遣先での活動内容等)を問う。
  A 安保理決議(一八一六、一八三八、一八四六、一八五一)は、国連憲章の中ではどのような位置づけになるのか。例えば、決議一八四六や一八五一は、武力行使を認める第四二条(第七章)の規定に基づく決議なのか。
  B 上記の安保理決議は、ソマリア沖の海賊はどのような実態(組織、団体、人の集まり等)であるとの認識に立って、なされているのか。例えば、ソマリア沖の海賊が「国に準じる組織」である可能性もある、との認識に立っているのか。
 (3) 海上警備行動
  @ 自衛隊法に基づく海上警備行動は、立法趣旨として、その行動の範囲は日本の沿岸に限られているのではないか。
  A ソマリア沖の海賊対策に海上保安庁の巡視船では対処できない理由は何か。
  B 自衛隊法第九三条で準用する海上保安庁法第一七条第一項、第一八条及び第二〇条第二項(同項において準用する警察官職務執行法第七条を含む)は、我が国の領域内で適用される規定であるにも拘らず、国連決議があれば我が国の領域外でも適用されるとする法的根拠を示されたい。
 (4) 武力行使
  @ ソマリア沖の海賊対策として、派遣された自衛艦が武力行使又は戦闘行為に至る事態は想定されないのか。仮に想定されるとすると、その場合の自衛隊の活動は、法的にどのように規制されるのか。
  A ソマリア沖での日本船籍の船舶(含む、自衛艦)に対する海賊行為に対して、我が国として、いわゆる「個別的自衛権」が発動できる場合もあり得ると考えているのか。
4 「海上警備行動」のあり方
 (1) 過去の実績
  自衛隊法に基づく海上警備行動が実施された実績を問う(どの海域で、どのような状況の下で、どの程度の規模で、どの程度の活動をしたか等)。
 (2) 派遣組織
  @ ソマリア沖に派遣する自衛艦は、どのような性能を持った艦船で、何隻くらいか。また、どの程度の期間派遣されるのか。
  A 派遣された自衛艦が海上警備行動の対象として警護等できる船舶は、どの程度か(何隻について、どの程度の期間等)。
  B 派遣された自衛艦が海上警備行動の対象とする船舶は、誰が、どのようにして決定するのか。
 (3) 具体的活動
  @ 海上警備行動の対象に「日本人、日本の貨物を積んだ外国船舶」を含める場合、そのような外国船舶であることは、どのように確認するのか。
  A 自衛艦による海上警備行動として、具体的にどのような活動を想定しているのか。
  B 武器使用の基準をどのように考えているのか。
  C 海賊と外国の軍の艦船が抗争している場合、自衛艦はどのような行動をとりうるのか。
  D ソマリア沖で海上警備行動を行う自衛艦は、現地でどのようにして燃料調達をすることになるのか。
  E 所要の自衛艦をソマリア沖に一年間派遣する場合、我が国からソマリア沖への往復の費用も含め全体でどの位の費用が掛かるのか。また、その大まかな内訳を共に示されたい。
 (4) 各国との関係
  @ 各国が派遣した軍艦等が護衛等の対象としている船舶には、何らかの限定があるのか。
  A 各国が派遣した軍艦等は、国際法上及び国内法上、どの範囲の活動が認められているのか。
  B 各国が派遣した軍艦等の活動の調整は、誰がどのようにして行っているのか。自衛艦と他の国の軍艦等の活動の調整は、誰がどのようにして行うのか。
  C ソマリア沖はCTF150(米国中央海軍支配下の合同海上部隊が統括する第一五〇合同任務部隊)の作戦海域となっているが、CTF150は、どのような海賊対策をこれまでとってきたのか。
  D 現在、海賊対策の一環としてEU司令部がロンドンに置かれているが、同司令部が指揮する作戦の具体的内容は何か。同司令部の指揮下に入っている軍艦等の国籍はどこか(インド、中国などEUに加盟していない国の軍艦も指揮下に入っているのか)。
  E バーレーンに海賊対策を目的とするCTF151が設置された。CTF151、CTF150、EU司令部の間に指揮権、活動海域の重複が発生していると考えられるが、この点、どのような調整が行われているのか。
  F CTF151及びEU司令部の指揮下で海賊対策で活動する艦船に対し、海上自衛隊補給艦は、補給新法に基づいて給油を行うことは法的に可能なのか。
 (5) 司法手続き
  @ 各国が派遣した軍艦等は、どのような法的根拠に基づいて海賊(被疑者)を逮捕、拘束するのか。また、その後の手続はどのように行われているのか。
  A ソマリア沖において海賊対策に従事している軍艦等が、拘束した海賊を沿岸国に引き渡した例はあるか。あるとすれば、その詳細を問う。また、沿岸国への引き渡しは、どのような法的根拠に基づいて行われたのか。
  B 公海上又は外国の領海内で海賊行為を実施した海賊(被疑者)に対する自衛艦(同乗する海上保安官を含む)による逮捕、取調べ、勾留、犯人引渡し等、及びその後の起訴や裁判等の司法手続きは、どのような法的根拠に基づき、どこで、どのように行っていくのか。
  C 公海上又は外国の領海内で自衛艦が拘束した海賊を沿岸国に引き渡すためには、当該沿岸国と何らかの取決めを結ぶ必要があるのではないか。また、新たな取決めを必要とする場合、その内容はどのようなものになるのか。
  D 自衛艦に同乗すると言われている海上保安官は、どのような業務を、何人程度で行うことを想定しているのか。
5 今後の対応
 (1) 海賊行為の犯罪化
  @ 「海賊行為」(国連海洋法条約第一〇一条)は、我が国の現行法上、どのような犯罪となるのか。
  A 我が国の領海内で行われる「海賊行為」、我が国船籍の船舶に対する「海賊行為」、邦人が乗船する(又は邦人が所有する財産を積載する)船舶に対する「海賊行為」以外の海賊行為(以下、「特定海賊行為」と言う)を犯罪化する場合、守るべき法益は何か。
  B 特定海賊行為を処罰するための手続は、どのようになるのか。
 (2) 自衛艦の派遣恒久法
  @ 政府が、海上自衛隊の艦船を海外派遣する必要性が認められると考えるケースとして、どのようなケースがあるのか。
  A 政府は、海上自衛隊の艦船を海外派遣する場合において法的整備が必要であると考える事項として、どのようなものがあるのか。

 右質問する。



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