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令和五年六月十六日提出
質問第一三四号

部活動の実態把握と公私間格差の改善に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




部活動の実態把握と公私間格差の改善に関する質問主意書


 令和四年十二月、スポーツ庁と文化庁から「学校部活動及び地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が発表された。本ガイドラインは主に義務教育である中学校の生徒の学校部活動と地域クラブ活動を主な対象としているが、高等学校段階の学校部活動についても原則として適用するとしている。
 このガイドラインでは、都道府県は「部活動の在り方に関する方針」を策定し、学校設置者は「設置する学校に係る部活動の方針」を策定し、校長は「学校の部活動に係る活動方針」を策定することとされている。部活動顧問は年間活動計画並びに毎月の活動計画及び活動実績を校長に提出することとし、校長には活動方針、活動計画及び活動実績を学校のホームページへ掲載等により公表するよう求めている。
 またこのガイドラインの趣旨には、私立学校については実情に応じて適切な指導体制の構築に取り組むことが望ましいと記載がある。つまり、私立高校であっても都道府県の方針を参考に「部活動の方針」を策定し、方針・計画・活動実績を公表することが求められている。
 高校では、部活動によって夢を追うなど人生計画に部活動が必要な場合もあり、必死に取り組みたいと思っている生徒が多数いることも事実である。国の定める平日二時間程度・土日三時間程度・休養日週二日という活動時間を踏襲していなくても、学校が実態に合った方針と計画を策定して、公表・報告しているかどうかが重要であり、長時間の充実した活動を行っている学校は、正々堂々と公表すれば良いと考える。
 実際に十四の都道府県では、高校の休養日や活動時間の上限について、国の基準より緩和した方針が策定されている。無理な活動時間による拘束や、上級生からの暴力、指導者からのセクハラやパワハラなど、ガイドラインが作られた経緯を鑑みれば、自発的な活動を縛るのではなくその高校の方針と実態を公表することを目的とすべきである。特に私立高校においては、学校としての実績を求めがちで、原則として人事異動が無いことなどから、閉鎖的な部活動運営になり易く、改善が求められてきたところである。
 しかし、実際に高校のホームページを見てみると、部活動の方針や実態を公表している学校はほとんど見当たらない。公立高校で「部活動の方針」を掲載しているか、学校運営方針の中に記載がある程度である。確かに、スポーツ庁のFAQを見ると、法的な拘束力はなく違反に対する処罰はありませんと記載があり、公表しないことやガイドラインを遵守しなくても良いこととなっている。このままでは、自治体によって方針が定められている公立高校と、方針を策定も公表もしなくて良い私立高校では、更に公私間格差が広がることが懸念されることから、以下、政府の見解を質問する。

一 私立高校が部活動の方針を策定しているかどうか、政府は把握しているか。把握しているならば全国で何%の高校が策定し、公表しているか示されたい。
二 部活動の方針の策定と公表については義務化すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
三 令和二年三月の文化庁発表による、文化部活動等の実態調査報告書によると、都道府県立と私立の高校の運動部・文化部を合わせた部活動全体の活動時間の比較がある。平日三時間以上の割合が都道府県立で約十%、私立で約十五%。土日七時間以上の割合が都道府県立で約六%、私立で約九%となっており、私立の長時間活動の割合が高い。長期休業中においても同じ傾向が見られる。部活動の活動実績について、少なくとも国のガイドラインや自治体の方針を超えるものについては報告を義務化し、実態の把握に努めるとともに、実態とかけ離れた公表・報告をしている学校にはペナルティを課すことも検討すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
四 指導者や上級生による暴行・ハラスメントや、公表している活動とかけ離れた長時間の活動などを防ぐため、活動実績の報告に対して第三者による実態調査が行えるよう、制度整備を行う必要があると考えるが政府の見解を伺う。
五 長崎県の私立高校では、教員の部活動指導による残業代の未払いについて和解が成立した。ガイドラインでは、部活動の方針・計画・活動実績を公表することを求めており、実務時間の増加が見込まれる。実際の活動時間・就業時間に合わせて教員や指導者の賃金が支払われるように、行政から指導を行うべきと考えるが、政府の見解を伺う。
六 公立高校の部活動だけが様々な制限を受けてしまうと、部活動に打ち込みたい生徒は私立を選択せざるを得なくなる。そうなると経済的に私立高校に通うことができない場合は、本格的な部活動をあきらめることになる。経済的な理由で夢をあきらめることが無いよう、公立高校の部活動の底上げと、私立高校との活動ルールの均等化を進める必要があると考えるが、部活動の公私間格差について政府の見解を伺う。
七 部活動の公私間格差を解消するため、公立高校における部活動指導員、外部指導者の充実及びトレーナーや専門家の導入などを実施すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
八 令和五年の第二百十一国会の質問主意書第八二号の答弁において、「『トレーナーの資格』の具体的な内容が必ずしも明らかでない」と示されている。NESTA PFT、JATI−ATI、NSCA−CPT、JHCA−FCなど、いくつかの有名な民間資格が存在する。またJSPO−AT(日本スポーツ協会)や、日本体育協会の公認アスレティックトレーナーなどもある。国はこうした資格から、部活動の指導に適した資格を把握していないのか。また、理学療法士や柔道整復師のようにトレーナーの国家資格を創設する必要性についてどう考えているか、政府の見解を伺う。

 右質問する。

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