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令和七年十一月五日提出
質問第四二号

持続可能な保護司制度の確立に関する質問主意書

提出者  藤原規眞




持続可能な保護司制度の確立に関する質問主意書


 保護司は、犯罪をした人又は非行のある少年が、実社会の中で健全な一員として更生するよう、保護観察官と協働して保護観察等を行うなど、更生保護の中核的役割を果たしており、地域社会の安全・安心にとって欠くことのできない存在である。
 近年、保護司の担い手確保が困難となり、高齢化が進んでいる。昭和五十年には六十歳未満の保護司が、四十四・七%以上を占めたのに対し、令和七年では二十二・三%と半減している。
 保護司の総数をみても、平成二十七年の四万七千八百七十二人から令和七年は四万四千七十人と、十年間で三千八百二人減少している(七十五歳以上の特例再任を除く)。
 再犯防止推進白書によると、保護司高齢化の背景として、地域社会における人間関係の希薄化といった社会環境の変化に加え、保護司活動に伴う不安や負担が大きいことが指摘されており、持続可能な保護司制度の確立には課題も多い。
 保護司法、保護司会及び保護司会連合会に関する規則によると、保護司の活動には、保護司活動と保護司会活動がある。
 保護観察や生活環境調整などは、保護司の中心的活動であり、保護司会活動は、犯罪予防活動に位置づけられる。後者は、犯罪や非行をした人の改善更生について地域社会の理解を求めるとともに、犯罪や非行を未然に防ぐために、毎年七月の「社会を明るくする運動」強調月間などの機会を通じて、「講演会」、「住民集会」、「学校との連携事業」などの犯罪予防活動を促進するものである。
 この保護司会活動は、地域によって活動の幅が異なる。同活動に熱心な地域では、現役世代にとって、活動への参加が負担になるケースが散見される。
 他にも観察所が開催する「定例研修」や、各保護司会が自主的に行う「研修会」などがあり、参加する行事や活動等の多いことが負担となり、保護司になることをためらう現役世代が一定数存在すると聞く。
 さらに、保護司が民間ボランティアであり、無給であることは社会的に認知されているが、保護司が年一回、六千円ほどの会費を徴収される「金銭的負担」については知られていない。
 加えて、夫が保護司に選任されると、妻が更生保護婦人会への加入を促されるケースが都内と福岡で確認されている。これは、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会において纏められた報告書にある「保護司の家族への支援の充実」という施策の意に沿わないものであり、家族の負担増ではないかと考える。
 以上を踏まえて質問する。

一 政府は、保護司の高齢化の背景として、地域社会における人間関係の希薄化といった社会環境の変化に加え、保護司活動に伴う不安や負担が大きいことが指摘されているにもかかわらず、今後も、保護司の委嘱に際して、保護司活動に加えて(観察所が開催する「定例研修」以外の)保護司会活動への参加を、現役世代に対しても退職者世代同様に義務付けるのか。
二 現状、ボランティアである保護司から年会費が徴収されている。保護司が報酬制になじまないことは、同活動が、崇高な社会貢献の取組、自発的な善意を象徴するものであることから理解できるが、年会費を徴収する必要があると考えるか。あるとすれば、年会費の使途につき、把握しているところを示されたい。
三 夫が保護司に選任されると、配偶者が更生保護婦人会への加入を促されるケースが散見される。夫婦にボランティア活動を求めることは、家族の負担を増し、保護司委嘱候補者の忌避につながると考える。夫が保護司になった場合、配偶者の更生保護婦人会加入は不可欠と考えるか。不可欠であるとしたら、その理由をお示し頂きたい。
四 地域の保護司会で年に一回開かれる「保護司総会」において、保護観察所所長名で、永年勤続の保護司の配偶者に対して「内助の功賞」が贈られている地域がある。この表彰対象者は、更生保護婦人会に加入している配偶者に限られるのか。
五 保護司の高齢化は、現代における若者文化や非行副次文化の理解が困難になることから、青少年の保護観察対象者に対するアドバイスや支援において、様々な支障が生じると考えられる。今後、保護司の若返りを図る上で、どのような実効的施策を検討していくつもりか、政府の見解を示されたい。
 
 右質問する。

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