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平成十八年二月十七日受領
答弁第五三号

  内閣衆質一六四第五三号
  平成十八年二月十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出沖縄県における泡瀬干潟埋立に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出沖縄県における泡瀬干潟埋立に関する質問に対する答弁書



一について

 中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業(以下「本埋立事業」という。)に関し、御指摘の「今行われている浚渫工事区域及びその周辺」を含むこれまで内閣府沖縄総合事務局(平成十三年一月五日以前は総理府沖縄開発庁沖縄総合事務局。以下「沖縄総合事務局」という。)及び沖縄県(以下「沖縄総合事務局等」という。)が調査を実施した区域(以下「調査実施区域」という。)での貝類の生息状況については、平成十七年九月に沖縄県が公表した報告書である「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)」に記載されている貝類のうち九十種の存在が沖縄総合事務局等によって確認されており、そのうち二十八種は同報告書の絶滅危惧TB類又は絶滅危惧U類に該当している。沖縄総合事務局等においては、希少性又は重要性のある種の保護という観点から、前述の九十種の生息位置の詳細については、明らかにしないこととしている。

二について

 環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二十一条第二項の規定により沖縄総合事務局が作成した本埋立事業に係る環境影響評価書(以下「評価書」という。)において、同法第十四条第一項の規定により作成された本埋立事業に係る環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)に対する沖縄県知事の意見に対する見解として、「工事中に天然記念物指定種や「レッドデータブック」、「レッドリスト」等の掲載種、その他貴重種・重要種に相当する種で、環境影響評価書に記載されている動植物以外の種の存在が埋立てに関する工事の施行区域内若しくはその近傍で確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置を適切に講じます。」と記載されているところである。
 御指摘の七種については、調査実施区域においてそれらの存在が確認されていないが、今後、沖縄総合事務局が評価書に定めた事後調査項目又は専門家の助言に基づき沖縄総合事務局等が自主的に設定した調査項目に係る沖縄総合事務局等の調査(以下「環境監視調査」という。)によりそれらの存在が確認された場合は、沖縄総合事務局等において評価書の右の記載に従って対応することとしている。

三について

 ジャングサマテガイについては、平成十七年九月二十九日に自然保護団体から沖縄総合事務局に提出された「新しく確認された貴重種の保全についての要請」において「泡瀬干潟埋立て予定地周辺で新しく確認された」との情報の提供を受け、沖縄総合事務局等がジャングサマテガイの存在の確認を目的として追加の調査を実施した。沖縄総合事務局等は同年十二月十九日に同調査の結果を沖縄県知事に報告し、同調査により生息が確認されたジャングサマテガイの保全措置について引き続き沖縄県の関係部局と調整しているところである。
 ジャングサマテガイは、本埋立事業に係る埋立区域だけでなく、埋立区域外にも生息が確認されていることから、沖縄総合事務局等においては、埋立区域外の生息環境の保全に万全を期することにより、ジャングサマテガイの保全に努めることとしている。

四について

 ジャングサマテガイについては、三についてで述べたとおり対応がなされており、また、御指摘の「未確認の七種」については、二についてで述べたとおり、今後、環境監視調査を通じて存在が確認された場合は、沖縄総合事務局等が評価書の記載に従って対応することとしている。
 したがって、「事業者のジャングサマテガイや未確認の七種への対応は、アセス書で示した見解に反する」との御指摘は当たらない。

五について

 アワセカニダマシマメアゲマキ(仮称)、ミル属の一種及びウミウチワ属の一種に関しては、沖縄総合事務局等において、これらの存在が泡瀬干潟埋立て予定地周辺で新しく確認された旨の情報を発表した日本自然保護協会に対して、存在を確認した場所等の詳細な情報の提供を依頼しており、今後詳細な情報の提供があれば、その情報を踏まえ、調査の実施について検討することとしている。
 また、沖縄総合事務局等が調査実施区域で平成十五年に生息を確認したニライカナイゴウナ及び平成十六年に生息を確認したオサガニヤドリガイについては、沖縄総合事務局等が沖縄県知事と調整した結果、本埋立事業に係る海上工事を行う際には工事の施工区域内に生息するものについて可能な限り採取し、工事の施工区域外へ移動する措置を実施することとしており、沖縄総合事務局等においては、適切な措置であると判断している。

六について

 鈴木俊一元環境大臣が、環境大臣在職中において、お尋ねの内容について国会で答弁を行った事実はない。

七について

 沖縄総合事務局が中城湾港泡瀬地区(以下「泡瀬地区」という。)の海域で行った大型海草の手植え移植については、沖縄総合事務局等が評価書の記載に従い専門家の指導、助言を受けるために設置した中城湾港泡瀬地区環境保全・創造検討委員会(以下「検討委員会」という。)の平成十七年度第一回会合において、大型海草の移植後二年が経過した時点で「短期的にみれば、被度においては一旦減少した後増加するまでにはいたっていないが自然藻場の変動範囲内であること、藻場の面積、生物生息状況においては概ね良好な結果が得られており、移植海草の再生産は図られ、生物生息環境も進展していると判断されることから、藻場生態系が維持されている。長期的にみれば、大型海草群落は遷移の途中ともみられ、今後もモニタリングを継続していくことが重要である。」と評価されている。沖縄総合事務局等においては、検討委員会の指導、助言に基づき、評価書において環境保全措置の一つとして記載した大型海草の移植を適切に講じることとしている。

八について

 沖縄総合事務局においては、大型海草の手植え移植の実験を平成十年七月より実施しており、大型海草の手植え移植の実験を行っている一地点である「St.TT」については、その後五年余り、移植当初以上の生育状況で順調に推移していたことを確認している。沖縄総合事務局においては、御指摘の状況は、平成十六年の夏に来襲した台風により生じた被害によるものと考えている。なお、これらの台風により、実験が行われた地点の周辺の海域における他の多くの自然海草も同様の被害を受けている。
 また、大型海草の機械移植実験や減耗対策実験については、手植え移植に比べ、より経済的かつ大規模な大型海草の移植手法の適用可能性を検証するため、沖縄総合事務局が実施したものである。
 その結果、検討委員会の平成十七年度第一回会合においては、台風時の大型海草の減耗を抑制する効果等について一定の知見が得られたと評価されており、沖縄総合事務局においては、これらの実験の結果を踏まえ、継続して調査を実施することとしている。また、沖縄総合事務局等においては、検討委員会の指導、助言に基づき、評価書において環境保全措置の一つとして記載した大型海草の移植を適切に講じることとしている。

九について

 沖縄総合事務局等においては、大型海草藻場について、評価書に記載した大型海草の移植による環境保全措置に従い、本埋立事業に係る海上工事を実施する前に大型海草の生育調査を実施し、その調査時点において大型海草藻場の生育被度が五十パーセントを超える大型海草藻場については、移植を実施しており、今後も同様の措置を行うこととしているところであり、「アセス書の趣旨にも明確に反するもの」との御指摘は当たらない。
 また、お尋ねの「大型海草の移植技術」の「確立」の意味するところが必ずしも明らかではないが、評価書を作成した平成十二年三月の時点での大型海草の移植技術については、沖縄総合事務局において平成十年度に開始した実験の結果から移植の実験を行った地点では海草の生育が可能であることを確認していたが、準備書に対する「海草の移植については、移植先で海草の生息・生育が可能であることを確認した上で行うこと」との沖縄県知事の意見も踏まえ、評価書においては、「熱帯性海草の大規模な移植及びその管理については、不確実性を伴うため、実施にあたっては専門家の指導、助言を受け、慎重に行うこととする。」と記載し、現在、沖縄総合事務局等がこの記載に従って対応しているところである。

十及び十一について

 環境影響評価法第二条第一項の規定による本埋立事業に係る環境影響評価(以下単に「環境影響評価」という。)は、沖縄総合事務局において、環境影響評価を実施した時点において一般的に認知されていた手法により調査、予測及び評価を行い、その結果について広く住民からの意見を聴取するなど、所定の手続が適切に行われている。
 なお、評価書には、「工事中に天然記念物指定種や「レッドデータブック」、「レッドリスト」等の掲載種、その他貴重種・重要種に相当する種で、環境影響評価書に記載されている動植物以外の種の存在が埋立てに関する工事の施行区域内若しくはその近傍で確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置を適切に講じます。」と記載し、現在、沖縄総合事務局等がこの記載に従って対応しているところである。

十二について

 中城湾港新港地区(以下「新港地区」という。)の埋立てに使用される土砂の大部分は新港地区の浚渫により発生した土砂(以下「浚渫土砂」という。)を活用しており、購入した土砂は埋立地の一部分である表層面に使用されているのみである。新港地区の埋立地においては、埋立てに用いられた浚渫土砂の性状から、地盤改良を行う必要があったため、埋立地の表層面に購入した土砂を敷き詰めたものであり、このような工法は、広く一般的に行われているものである。
 泡瀬地区の開発計画は、沖縄市が策定した沖縄市新総合計画(昭和六十二年)及び沖縄県が策定した国際都市基本計画(平成九年)に基づき、沖縄市が沖縄県とともに海に開かれた国際交流拠点を目指して進めているものであり、本埋立事業の実施に際して、沖縄総合事務局が新港地区の港湾整備に伴う浚渫により発生する土砂を泡瀬地区の埋立地の造成に有効に活用することとしたものである。

十三について

 本埋立事業に係る公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条に規定する埋立ての免許については、平成十二年に沖縄県に対して同法第四十七条に規定する国土交通大臣の認可をしているが、それ以前に本埋立事業に係る同条に規定する国土交通大臣の認可が沖縄県又は沖縄県知事から申請された事実はない。

十四について

 泡瀬地区の土地利用計画(以下「土地利用計画」という。)については、本埋立事業の実施に際し、沖縄総合事務局等が策定したものであり、沖縄本島中部東海岸地域の活性化を図るための経済振興策として、沖縄市からの要請に基づき、埠頭や交流施設、展示施設、ホテル等の誘客施設を一体的に整備し、地域の特性をいかした国際交流拠点の形成を図ることを目的としているものである。
 土地利用計画については、平成十四年三月に沖縄県及び沖縄市が作成した「中城湾港泡瀬地区開発事業の推進にかかる確認作業結果について」において、土地需要の見通し等の妥当性が確認されている。
 土地利用計画の詳細については、沖縄本島中部地区で不足が想定される宿泊施設を補うための四棟のホテル、コンドミニアム及びコテージの用地として約三十七・二ヘクタール、中城湾港内の栽培漁業を支援するための施設用地として約七・〇ヘクタール、沖縄周辺海域における海洋調査研究を支援する海洋研究所の用地として約〇・七ヘクタール、観光商業施設の用地として約十四・三ヘクタール、教育・文化施設の用地として約八・七ヘクタール等、合わせて約百八十六・五ヘクタールとなっている。

十五について

 沖縄総合事務局においては、沖縄総合事務局のホームページにリンクを設定するに当たっては、個々の事案ごとに適切に判断することとしている。



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