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答弁本文情報

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令和五年六月三十日受領
答弁第一二三号

  内閣衆質二一一第一二三号
  令和五年六月三十日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員前川清成君提出住民訴訟制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前川清成君提出住民訴訟制度に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「第二段目の訴訟が提起された件数」、「第二段目の訴訟における和解が成立した件数」及び「和解が成立した各事例」については把握していないため、お答えすることは困難である。

二について

 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十二条の二第一項第四号本文の規定による訴訟(以下「第一段目の訴訟」という。)について、損害賠償等の請求を命ずる判決が確定し、普通地方公共団体の長が当該請求に係る損害賠償金等の支払を請求した場合において、当該判決が確定した日から六十日以内に当該請求に係る損害賠償金等が支払われないときは、同法第二百四十二条の三第二項の規定により、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償等の請求を目的とする訴訟(以下「第二段目の訴訟」という。)を提起しなければならないこととされているが、当該損害賠償金等が支払われないことは当該請求の相手方の判断によるものであり、その理由については個別に把握していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三について

 御指摘の「第二段目の訴訟における和解」の成立の状況を把握しておらず、また、御指摘の「平成二十四年の兵庫県高砂市、令和二年の沖縄県の事例」の指すところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、第二段目の訴訟において、和解を行うことは地方自治法上禁止されていない。また、普通地方公共団体が和解や権利の放棄を行う場合には、同法第九十六条第一項第十号及び第十二号の規定により、当該普通地方公共団体の議会の議決が必要であり、その是非については、当該議会において適切に判断されるものである。
 なお、平成十三年十二月四日の衆議院総務委員会において、芳山総務省自治行政局長(当時)は、「和解はないと思います。」と答弁しているが、その後に、「和解というのは、議会の議決、九十六条で、どういう事由でございましょうか、議会にお諮りをして議決をすればあり得るわけです。」とも答弁しており、第二段目の訴訟において和解が成立する場合があり得ることを否定していない。

四について

 お尋ねの訴訟について詳細を承知していないが、一般論として、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第四十六条各号に掲げる場合には補助参加人(同法第五十三条第四項により、訴訟告知を受けた者が訴訟に参加しなかった場合において、参加することができた時に参加したものとみなされる場合を含む。)に判決の効力は及ばず、第二段目の訴訟において第一段目の訴訟の判決について争い得るものである。そのこと自体は問題ないと考えており、御指摘のような方策について検討する必要があるとは考えていない。
 なお、平成十四年三月十九日の参議院総務委員会において、片山総務大臣(当時)は、「第一段目の訴訟で、訴訟の判決は原則として今言われた元首長や職員個人に及びます」と答弁しており、第一段目の訴訟の判決の効力が第二段目の訴訟に及ばない場合があることを否定していない。

五について

 民事訴訟法第四十六条の効力については、昭和四十五年十月二十二日最高裁判所第一小法廷判決において「判決の確定後補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力」と判示されており、第二段目の訴訟において訴訟当事者が和解することや裁判所が和解の勧試をすることを禁ずるものではないことから、御指摘のような方策について検討する必要があるとは考えていない。

六について

 総務省で確認した限りでは、お尋ねの「政府は、前記答弁に先立ち、前記最高裁における議論」を把握していたかどうか、また、御指摘の「専門家」が誰であるのかについては確認できなかった。

七について

 住民訴訟制度は、普通地方公共団体の執行機関又は職員の財務会計上の違法な行為等を是正又は防止することを目的とするものであり、第一段目の訴訟において、財務会計上の行為の違法性や責任の所在が明らかになることで、その意義は確保されるものと考えている。また、普通地方公共団体が和解や権利の放棄を行うことは地方自治法上禁止されていないが、同法第九十六条第一項第十号及び第十二号の規定により、当該普通地方公共団体の議会の議決が必要であり、その是非については、当該議会において適切に判断されるものである。したがって、第二段目の訴訟において和解がなされることをもって、住民訴訟の意義が失われるものとは考えておらず、御指摘のような見直しの必要があるとは考えていない。

八について

 第二段目の訴訟が、普通地方公共団体の長に対する損害賠償等の請求を目的とする訴訟である場合には、地方自治法第二百四十二条の三第五項の規定に基づき代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表するものとされている。監査委員は、同法第百九十八条の三の規定において、その職務を遂行するに当たっては、常に公正不偏の態度を保持することとされ、同法第百九十七条の二の規定により、当該普通地方公共団体の議会の同意がなければ罷免されず、身分の独立性が保障されており、また、監査委員が住民監査請求を棄却していた場合でも、第二段目の訴訟を提起しなければならない義務がある。加えて、七についてで述べたとおり、普通地方公共団体が和解や権利の放棄を行うことは同法上禁止されていないが、当該普通地方公共団体の議会の議決が必要である。したがって、御指摘のような見直しの必要があるとは考えていない。

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